第十九話 スライムと絶品料理④
「おいおい、マジかよ」
目的の木の実の目の前まで辿り着くが、その周りを飛ぶサンダーバードがいた。
「あの鳥を倒さないと木の実は獲得できないの?」
「多分な。アイツはラビリンスの実を守ってると思う」
三人はそこから少し下がった場所のモンスターが現れない場所に戻る。
「どうやって倒す?」
「何も役に立たなくて、本当に申し訳ない」
「元々、私達が受け入れた事なので気にしないでくださいよ」
「下に降りてくれればな。ライムはサンダーバードに攻撃を出来るスキルはあるか?」
ケンもパンサーのシンバも空中にいるモンスターに攻撃が出来るスキルを持っていない為、どうにかして地上戦に持って来なければならない。
「あるにはあるんだけど…」
ライムのレッドドラゴンはスキルや攻撃の範囲が広すぎるので、ラビリンスの実を傷つけてしまう可能性がある。その為、レッドドラゴンを出す事が出来ない。
「地上戦にするには」
ケンがボソボソと独り言を言いながら、頭をフル回転させる。すると、ある作戦が頭をよぎる。
「いける!これならアイツを地上に降ろすことが出来る」
ケンが思い付いた作戦はこう。
まず、ライムがサンダーバードの注意を引く。その隙に、カールがラビリンスの実を獲得。カールがラビリンスの実を獲得するまでケンが護衛。カールが獲得したのを確認すると、急いで三層に三人揃ってダッシュ。
一見、サンダーバードに追いつかれるようにも見えるが、逃げる先は狭いダンジョン。襲って来たとしても、ジャンプをすれば攻撃が当たる範囲なので、地上戦にする事が出来る、という仕組みである。
「真っ向勝負をする必要はないんだよ」
ケンが作戦を説明すると、二人は感心していた。
再び三人はサンダーバードのいる広場に足を運ぶ。
「じゃあ、行ってくるね」
ライムはそう言うと、ラビリンスの実から離れた場所を目指して走る。
そこそこ距離が取れた時に、ラスのスキル〝体当たり〟を使う。すると、ラビリンスの実の近くを飛び回っていたサンダーバードはライムに襲い掛かっていく。
「今です!」
ケンの合図と共に、カールとケンは急いでラビリンスの実の収穫に向かう。
ライムは逃げに徹している為、サンダーバードの攻撃を躱し続ける。
「取れたよ!」
「よし!お〜いライム。もう戻って…え!?」
ケンはカールがラビリンスの実を獲得したのを確認すると、ライムに戻るよう呼びかける。しかし、サンダーバードはラビリンスの実が獲得されたと分かると、標的を変えてカール目掛けて襲ってくる。
「急いで中に!」
気付くとライムも二人に合流していて、急いで広場から出る…はずがその道をサンダーバードが急降下をして塞いでしまう。
ケンはサンダーバードに道を塞がれた直後にシンバの〝乱撃爪〟を発動する。
「今だ!」
サンダーバードはシンバのスキルを受けると、衝撃で飛んでしまう為、塞ぐ事が不可能となる。それを利用し、ライムとカールは広場を出る事に成功する。
ケンは一人、先程のサンダーバードのように、道を塞ぐようにして立っていた。
「ケン!逃げないの?」
「よく考えてみたら、モンスターを倒しながらサンダーバードも倒す事は無理なんじゃないかって思ってな」
「じゃあ、どうするの?」
「コイツは俺一人で倒す!カールの護衛はお前に任せたぞ」
「でも…ケンは大丈夫なの?」
「任せろ!」
ケンはニコッと笑う。
ライムはケンを心配そうに見るが、言う通りにカールと共に走り出す。
ケンは二人が行ったのを確認する。
「さて、カッコつけさせて貰ったお礼をさせてくれよ」
サンダーバードはラビリンスの実が遠ざかり、取り返す事が不可能だと悟ったのか、ケンを標的に変えていた。
「来い!!」
読んで下さりありがとうございます!!
見事に④で終わりませんでした。すいません。⑤は本日の16時に投稿します。是非読んでみて下さい。
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