第十六話 スライムと絶品料理①
「モンペアも賑やかになったね」
ライムとケンはダンジョンに行く途中に周りを見渡す。
始めたての頃は、人は沢山いたものの、それぞれの目的の為に歩いている人が多くいたので、賑やかとは言い難かった。
それが今ではまるで祭りのように賑やかになり、村に店を構える人も現れた。店では食料の販売や、装備の依頼、様々な事がマネーを使い行われている。
「後で食料店に行ってみない?」
ふと、ライムがそう言う。
「俺も興味あったし、いいぞ。でも、その為にまずは、マネーダンジョンに行くか」
ライムもケンも、同棲をする際にシュンにお金を払ったり、装備依頼の際にもお金を使ったりしている為、マネーダンジョンへ向かうこととなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「結構貯まったし、もう村に戻ろっか」
ライムとケンは暫くモンスターを倒し続けた為、沢山のマネーが既に貯まっていた。
「そうだな。いや〜楽しみだな!」
「やはりスイーツ目当てですか?ケン氏」
「当然!」
そう、健は大のスイーツ好きであった。
というよりも、大の甘い物好きで、それは茜のスライム好きに匹敵する程である。
二人は村に着くと、一番近くにある食料店に足を運ぶ。
「お客さん、いらっしゃい!」
店に入ると、そんな威勢の良い声が聞こえる。
「何を選ぶかは、こちらで」
男は近寄ってくると、メニュー表をライム達に渡す。
ここは、イートインではなく、テイクアウトのようだ。
「ケンはどれにする?」
二人は置いてある椅子に腰掛ける。
「ケン、聞いてる?」
ライムがケンを見ると、目を輝かせてメニュー表を見ていた。
「え、あ、ごめんごめん。俺はこのフルーツタルトにする」
ケンが指差したのは、フルーツが山盛りになっているタルト。効果も、HP20回復、MP10回復と、申し分ない。
「じゃあ、私もこれにしよ」
「お前、甘いの食べられないじゃんか」
「ここは、ゲームだから味ないよ。しかも、お揃いじゃん」
ライムはそう言うと、ニコッと笑う。
ケンはパッと顔が赤くなる。
ライム達は、レジの様な場所に近づく。
「フルーツタルト二つ下さい」
「フルーツタルト二つね。ちょっとお待ち」
そう言うと、レジのおじさんは、店の奥へ行く。暫くすると、申し訳なさそうに帰ってくる。
「すまねぇ、今フルーツを切らしてて、フルーツタルトが作れないんだ。収集職に頼んだら、蒼の鱗ばっか取ってきてな」
その言葉を聞いて、ケンはピンとくる。
「その人って、今いますか?」
「いるけど、それがどうしたんだい?」
「出来れば、会って話がしたいんです」
そう言うと、おじさんは、再び店の奥に行く。そして、すぐに戻ってくる。
「今、店の裏にいるから、そこに行ってくれ。俺は別のお客さんもいるからな。」
ケンが振り返ると、新しいお客さんが入って来ていた。
「分かりました。ありがとうございます」
ケンとライムは店を出て、店の裏に向かう。
「ケン、どうしたの?」
ライムは状況が掴めず、困惑していた。
「まぁ見てなって」
ケンとライムが店の裏に回ると、そこには一人の青年がいた。
「やっぱり!」
「この度は、自分のせいで…すいません」
ケンは嬉しそうにそう言うが、青年は頭を下げる。
「あ、いや、これは違うんです」
ケンは慌ててそう言う。
「貴方は、ライムを助けてくれた方ですよね?」
ケンはこの男こそ、ライムが眠っていた際に守ってくれていた男だと、確信していた。
ライムは状況を理解する。
「助ける?」
青年は、理解が追いつかず困惑していた。
ケンがその後、詳しい事を説明する。
「あぁ、あの時の君たちかい。大丈夫だったかい?」
「はい、その事なんですけど…本当にありがとうございます!」
「いやいや、あれは自分が勝手にやった事だし、気にしないで」
「でも、何かお礼をさせてください!」
ライムは頭を下げる。ケンはその隣で静かに見守っていた。
「そ、そんな…」
青年は困惑するが、すぐに口を開く。
「僕はカール。君たちの名前は?」
「私はライムです」
「俺はケンです」
「ライム、ケン。実はね、今収集職の仕事でダンジョンに行くことになったんだ」
その後、カールは説明を続ける。カールは収集職の為、戦闘が得意ではなく、ダンジョンでは倒されてしまう。
よって、ライム達に戦闘を手伝って欲しいということだった。
「良いかな?」
「勿論ですよ!」
「俺もついて行きます」
「頼もしいよ」
そうして三人は、ダンジョンに足を運ぶこととなった。
今回も読んで下さり、ありがとうございます!!
話は変わって、皆さんは青い星を見たことがありますか?夜空を見上げてもそう見ないですよね。
しかし、今ならなんと見ることができちゃうんです。夜でなくても、曇ってる夜でもです!
方法は下の白い星をクリックする。ただそれだけです!!




