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栄光なんて必要ない  作者: Izumi
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自分にできる事

夕食が終わり、部屋に戻った淳がいつもの様にパソコンの電源を入れた時、部屋のドアがノックされた。


ドアを開けてみるとミランダだった。

「ちょっと相談があるんだけど・・・入っていいかな?」


ミランダは淳の机の椅子に座り、淳は向かい合う様にベッドの上に座った。


一息入れて話出した相談というのは戦争に関しての事だった。


「戦争のニュース見てるんでしょ?

あれアンタの事だから、何か止める方法でも思い付いてるんじゃないかと思って・・・。」

ミランダに上目遣いで見られている。


「いきなりじゃん・・・。しかも無茶ぶりで。」


「だって、ジョン・フォイ・ノイマン以来の天才なんでしょ?

まして政治にも武器にも兵器にも詳しいんだから、それくらいできるでしょ?」


ジョイ・フォイ・ノイマンはアインシュタインが世界一の天才と呼んだアメリカの数学者で、20世紀の科学史において最重要人物とされている人物である。


ゲームの理論を構築し、コンピューター開発も手掛けている。

宇宙人とか火星人、悪魔と呼ばれている人類史上最高の天才と言われている人間だ。


「すごい人間の名前出してきたな・・・」


「いいから・・・どうせ何か考えてるんでしょ?言いなさいよ!」


「あのさ・・・CIAでも苦労してるのに何でオレごときが良い方法思いつくんだよ?」


「完成形じゃなくていいから、取り敢えず考えが固まってる所まで話して!」


「あのなぁ・・・」


「面倒臭い男だわねぇ・・・・・いいから!まず淳が理解してる現状の解析から話して!早く!」


ミランダが半分イライラしてきたのを見た淳が話出した。



「まずアメリカが考えている大前提として核爆弾を使用させない事が絶対条件となってる。

つまり第三次世界大戦に繋がるリスクは避けるって事だ。

大戦になって核ミサイルの打ち合いになれば放射能の影響はおろか、地球の気温まで変化させて生物が生きて行ける環境じゃなくなる。

人間だけじゃなく生物の殆どが絶滅するんだ。

だからこそ、アメリカは派兵しなかった。もし核が無いならアメリカはすぐ軍を派遣しただろうし、すぐに決着している。


核ミサイルを使わせないでロシアを敗退させるプランが必要で、アメリカは今それを注意深く進行しているんだと思う。

その為に必要な事は戦闘で圧倒する事ではなく、戦闘する気を折る事。

ヤル気を無くさせる手段が必要なんだと考えているんだと思う。



今世界中でやっている経済制裁の目的はロシア国内の経済を麻痺させてあらゆる物資を手に辛い環境を作る事。

例えば軍で言うなら弾薬や食料等の戦闘で必要な物だ。

砲弾や銃の弾が無ければ武器を持っている相手には向かって行けないし、食料がなければ戦闘なんて不可能だろ?


更に国民生活に重圧をかけ戦争を主導している政権に不満を向けさせ、ロシア国民の手で政権を打倒させる事だ。

実はこれが一番効果があるんじゃないかと思う。

信じていた仲間や友達に裏切られるのが一番心折れるだろ?


この作戦の一番の利点は核ミサイルが使えなくなる事だ。

自分に反抗してくる相手が自国民なら警察が対応するだろうから核ミサイルは撃たないだろうって事だ。

アメリカの一番の願いはコレだと思う。」


ミランダは淳を睨む様に見ながら黙って聞いていた。

時折、淳の言葉に頷いたりしながらだったので話の内容は理解していると淳は思って話している。


そしてニヤリと笑って

「そこで、ミランダに提案なんだが・・・」


ミランダは首を傾げながら、淳の顔を見た。

無言の質問である。


一拍置いて淳が話を続ける。


「ハッカー集団がロシア政府に宣戦布告してハッキング攻撃してるよな?

実はあれだって事実を知らせて国民生活の不満を政府に向けさせようとしてて、経済制裁と同じ目的なんだけど・・・

テレビ放送をハッキングして戦争映像を流すのは良いアイディアだと思うんだけど、それだけじゃ不十分だと感じてて・・・」


「で?」


「ロシア国民の携帯電話に直接情報を送れないかな?って思ったんだ。

ロシア国民の電話番号が必要になるんだけど、それ調べて入手できないかな・・・って。」


「アンタ・・・軽く言うけど、それって犯罪行為だからね!」


「あ、やっぱり?捕まっちゃう?」


「逮捕よ、逮捕!」


「ダメかぁ・・・」


「ただし、手はあるかな・・・」


「え?」


「だから捕まらない方法。」


「マジで?それ凄いな・・・」


「ポーランドのハッカー組織がロシアの個人や会社のメルアドを1万5千件と携帯番号2000万件取得したって話を聞いた事ある。

それを使えば何とかなると思う。」


「それ本当?」


「本当だよ。その手の話題は業界内で速く伝わるし、みんな裏も取る。」


「マジか・・・それが使えるなら、あとはシステムを作るだけだ。」


「分かった、それは私が何とかする。」


「ミランダが作るつもり?」


「うん。淳が作るより私が作った方がはやいと思うから」


淳は両手を上げてお手上げのポーズをした。


「これは今の私に出来る事だよね?」


「そうだ、ミランダが適任だと思う。だから頼もうと思ってた。」


「ちゃんと考えてたんだね・・・良かった。安心したよ。」


「安心って?」


「私のナイトらしく優しい心を持ってて。」


そう言いながらミランダは微笑んで淳の部屋を出て行った。




そしてミランダは部屋戻った瞬間から、猛然とプログラムを作り始めた。

自ら自分のCIA監視担当官に連絡し、腕利きのプログラマー数人を紹介させZOOMで打ち合わせしながら手分けして作業を進めた。

CIA内部でも早急に作戦として承認され、正式に予算も承認された。


数日後、ミランダが造ったプログラムはCIAを通じてアメリカのミクロソフト社から世界に向けて発表されたのだが、プログラムは淳の構想を大きく超えていた。


ソフトが無作為にメルアドや電話番号を選び、誰でも直接メッセージを送れる様にしたのだ。

悪意を含む余計なメッセージは送れない様にNGワードも設定してある。

動画も、ファイルも送れる。

淳のアイディアを超えた、ミランダのファインプレイだ。


プログラムはMシステムと呼ばれ、世界中の人間がこのシステムを使って西側で報道されている動画をロシアの国民に送った。



だが、ミランダは満足していなかった。

当たり前だ、戦争は続いていて犠牲者は増えているのだ。




「ジュン!もっと出来る事を探そう! 私も頑張るからジュンも頑張ろう!」



頑張ったのはミランダで、オレはちょっとだけ提案しただけだ。

ミランダは本当に凄い・・・




ジュンはミランダを見直していた。














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