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栄光なんて必要ない  作者: Izumi
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反日主義

大臣執務室で矢部がインターネットの動画配信を見ている。


元民放の女子アナが開設しているチャンネルで『桜田LIVE』という番組だ。


この番組は政治色が強く、外交問題や安全保障問題を多く取り上げ専門家を招き討論をライブ中継するといった番組で、女子アナ時代に培った人脈を駆使し割と有名な専門家が出演させ、感心の高い時事問題を地上波番組よりも専門的な解説で配信している。

新聞社の論説委員や政治編集部委員長、現役の議員や現職の大臣まで出演する事もあり、政治に関心を持つ人間しか見ない番組だ。

チャンネル登録者は22万人を超えていて、ある意味地上波よりも影響力は強い。

スポンサーが絡んでいないので、意見をハッキリ言えるのだ。

保守系の考えを持つ人間にこの番組の支持者は多い。

過去、一番最初に総裁選に出馬した時には矢部自身も出演した事がある。


そこに淳が招かれ出演しているのだ。

『高校生から見た日韓情勢』というタイトルで、司会の桜田淑子サクラダヨシコと1対1で座りインタビュー形式で対話するというスタイルだ。



淳が高校一年生である事、13歳で帝国大を卒業した後渡米し15歳でハーバートに留学し卒業した事が紹介され、それから対談に入った。


桜田淑子は23時から始まる報道番組のメインキャスターだった。

視聴率も高くその時間帯では一強であり、落ち着いた雰囲気で中年層から大人気だった。

話す速度はゆったりとしているが、言葉の強さは格別な強さを持ち、見ている人間に話を聞かせながら一つ一つを考えさせる独特のモノを持っている。

現在76歳であるが、背筋が伸び姿勢が良いせいか凛とした雰囲気で柔らかい物腰であるが怖い印象も持ってしまう。


「さっそくですが・・・国見君から見た現在の日韓情勢とはどんな印象なのでしょうか?」


矢部はイヤホンの位置を付け直してPCの画面を向いた。


「率直に申し上げると、時間の無駄という印象です」

桜井が少し驚いた様に淳を見た。


「それは、どういった事でしょう?」

「長い時間をかけて積み重なってきた意識は簡単に変わらないという事です」

淳がキッパリと答えた。


PCを見ていた矢部もニヤリとした。


「長い時間というと・・・?」


「朝鮮民族が持つ、我が国に対しての憎悪感情はいつからなのかご存じですか?

9世紀からです。

日本が他国から倭と呼ばれ、それを日本という国名を呼ばせようとしていた頃です。

時代でいうなら平安の前、奈良時代ですね」


「そんな前からですか?」


「朝鮮半島は新羅シラギ百済クダラ、中国はトウの時代ですね。

今から1400年前の話です」

淳は苦笑いをしているが、桜田はただただ驚いていた。


「私は1910年の日韓併合から始まった物だと思っておりましたが、それ以前から既にあったという事ですか?」


「韓国併合は大きな出来事でしたが、その以前から反日感情はありました。

836年の遣唐使再開の際、難破した場合の船を救助を日本側が新羅に要請した所、新羅が『日本の様な小国が大国である新羅に対して要求を迫るのは納得できない』と答え、日本が怒ったのが切っ掛けです。

その後何度か新羅は対馬に侵攻を始め、894年には返り討ちに遭い220名を射殺、300名を討ち取られています。

その後、新羅が滅亡し高麗コウライになっても侵攻を試みています。

日本侵略は朝鮮民族の悲願だったようです。」


「日本侵略・・・」

桜田は顔をしかめた。

淳は説明を続ける。


「その後、衛正斥邪思想エイセイセキジャという思想が出てきて・・・

それは現実の論理よりも理念的価値を優先する考え方で・・・

例えば国際的な合意より国内倫理を優先したりする事が重要だったりします。

一種の純化思想で、絶対王政の搾取の為に身分制度を正当化する理由にしてたりしていました。

西洋文明を拒否し承認や企業を見下す思考、中華思想による序列を守るという考え方ですね。

朝鮮日報では、現代韓国左派の反米・親中の民族主義思想の源流になっているそうです」


桜田はコレを聞いて納得した様に大きく頷いた。

「確かに現在の韓国の行動と一致していますね。ですがその嫌悪する相手である日本に併合を求めてきました。何故でしょう?」


「日韓の歴史を見ていると、仲良かった時期と悪かった時期が交互になって移り変わっています。

実際、衛生斥邪で西洋文明を否定した派も倒されて貿易が盛んになりましたし、それは国内情勢によって変わります。

日韓併合も李朝を倒した一進会が中心となって請願してきた事ですからね」


「なるほど・・・。」

桜田は興味を持って聞いていた。

これまでの評論家で、歴史に基づいて話をする人間がいなかったからだ。


淳は話を続ける。


「韓国は日本をよく下に見ている印象がありますが、それも昔からです。

新羅は唐から冊封サクホウという国家序列に関する地位を得ていましたが、日本は冊封を拒否しました。

あくまでも下には入らず独立して唐と対等な関係でいようとした為ですが、新羅にしたら冊封も貰っていない下等な国だと見下しています。

日本は、新羅など唐の属国でという認識で、やはり見下しています。

この頃から、もう国民性の違いは出ていると思います」


桜田は楽しそうに淳の話を聞いている。

高校生だが、内容に興味が湧いたのであろう。

「そんな昔から続く思想が、努力したとしても簡単に変わる訳が無いと仰る訳ですね」


「はい、増して韓国は徳治主義です。徳治主義って桜田さんは御存じですか?」


「恥ずかしながら勉強不足で・・・申し訳ありません」


「とんでもありません、僕も日韓史を見るまでは知りませんでした。」


一瞬、ボクという言葉を使って『しまった』と思った。


以前桜田が、総裁選前の総理候補と対談している時に、その総理候補が自らを「ボク」と言った時に

「仮にも国家の話をしている時に自らをボクとは何事ですか!」

と一喝した事があったのだ。

その候補は結局総裁選で負けたので、桜田の喝が影響したのではないかとまで言われた事があったのだ。


淳の言葉が止まった。

桜田は柔らかな笑顔を浮かべ

「気になさらず、どうぞ。」と言った。


それを聞いて淳がホッとした様に話を続けた。

「徳治主義は、中国の孔子による統治論からきた儒教の政治理念です。

徳のある人間が徳を持って人民を治めるべきだ、という物です。

この場合の徳とは、真っ直ぐな心で相手に恩恵を与えたら自分も恩恵を受けられる、という物でして

国家統治は法令や刑罰、では無く道徳や礼儀で治めるべきだ、という考え方ですね。」


「現在の中国では机上の空論のような理想論ですね」

桜田が笑いながら言った。


「そうですね、中国国家主席が強硬な政策を行なってもクーデターが起きないのは、鄧小平が軍を完全に掌握して以来ですから、軍を握らなくては統治できないのが中国の真理なのでしょうね」

淳も苦笑いしながら答えた。


再び桜田が

「話を元に戻しましょう。徳治主義についての話です」


「通常、日本や欧米の様な法で人民を治める法治ではなく、徳によって治めるのが徳治だと申し上げましたが、元々は絶対王政の搾取を都合よく解釈する為に産まれた思考だとするなら徳のある人間が言う事に間違いはなく、徳を持った王の言う事が法になります。

つまり、王が人民を一方的に支配できる事になり、王の都合や気分によって判例は変わるのです。

現在、韓国は王政ではありませんから主権は国民にあり、国民の徳が高ければ法では無く徳のある国民の言う事が正しいという事になります。

なにせ、自分達は世界一優れた民族だと自負している国民ですから・・・。

となれば、政府が結んだ国際条約も国民が拒否をすれば、拒否が正しい事になります。

これが韓国が国際法を守らない理由だと思います。」


「なるほど・・・だからデモやストライキが多いのかも知れませんね。」

桜田はイチイチ納得している様だ。そして・・・

「結論として国見君は今後の日韓関係をどうするべきだと思っていますか?」


淳は高校生に聞く事じゃないだろ?と内心思ったが、


「どうもこうも、黙って韓国の国内情勢が変わるのを待つしか無いんじゃないかと思います。

それまで放っておけば良いんですよ。

さき程も述べた通り、日韓は良好な時期とそうでない時期が交互に推移しています。

現在が険悪な時期なら、いずれまた良好な時期がくるでしょう。

それまでは関わらない方が良いと思います。

どんな条約を結んでも、主権を持つ徳の高い国民が言う方が正しいのですから簡単に破棄されてしまうので」

そう言って笑った。

桜田も苦笑いしている。


「歴史的な観点から、韓国は中国に大きな影響を受けてきました。

中華思想が基になっていると仮定した方が納得できる事例が多い。

ですから、いずれ中国に帰属する方が自然です。

大戦によって38度線で国家が分断された方が不自然で、中華思想の徳治国家に西欧の法治国家の思考を強要しても結局は無駄な苦労だったと思います。」


「今後も反日は続くと?」

桜田が聞くと


「1400年間、何世代もの人間が伝えてきた事です。

ですから子供の運動会でクラス対抗リレーの最中に反日のプラカードが自然に掲げられ、周囲も全く違和感なく見ている。

彼等にとっては日本の漁船が大漁旗である旭日旗を掲げる事と同じです。

反日運動は盛んになったり弱くなったりする事はあっても無くなる事は絶対に有り得ないと思います。」




配信を見ていた矢部は笑いながらPCを閉じた。


そしてこの後の閣議で矢部発案の

韓国に、【助けない・教えない・関わらない】の非韓三原則を非公式に発表したのである。

外務省・経済産業省・文部科学省・財務省等の大臣は了承し、閣僚内の常識となった。


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