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栄光なんて必要ない  作者: Izumi
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デート 2

ミランダが見てみたいと言い、二人が立ち寄った店はカジュアルな服を扱っている店だった。

壁一面に様々なTシャツがディスプレイされ、店内にはヒップポップが流れている。

ミランダはハンガーに掛けられたTシャツをめくる様に次々と見て行く。


淳は服に興味が無いので店内の様子を見ていた。

安いせいか中々の盛況ぶりだ。

店員は日本人は一人で、あと4人はK国かC国の人間のようだ。

この店の賃貸料はいくらなんだ?とか、いくら売り上げたらペイするんだ?等、経営の事しか頭に浮かばない。

ここで少し不思議に感じたのは、この街の家賃で、この単価で、この人数を雇えるんだろうか?

という事だった。

この規模の店でこの単価なら、従業員は3人程度でないと利益は出ない。

従業員が日本人ではないせいか・・・?


ミランダは一本のジーンズを手に持ち淳の所へ来て、試着するので見て欲しいと言う。

『鏡で見れば自分で分かるだろ?』と淳は思ったがミアからちゃんとエスコートしなさい!と言われていたので、店の奥にある試着室の外でミランダの着替えを待つ事にした。

淳の横には店員が一人立っていて、一緒に着替え終わるのを待つ。


ミランダがカーテンを閉めて何秒後か・・・小さな悲鳴が聞こえた。

「HELP!!!!」

それを聞いた淳は急いでカーテンを開けようとすると、横にいる店員が淳の行動を阻止しようと襲いかかってきた。

何度もマックスと練習したクラヴマガの型そのままに、相手の右腕を取り、そのまま肘を顔面に打ち込んだ。鼻にヒットした様で相手は顔を押さえ、床に転がり脚をバタバタさせている。

大急ぎでカーテンを開けるとミランダは目の前にいない。

いや正確には床が1メートル四方に開き、3メートル下のマットレスの様な床にミランダは落ちていた。

周りにはミランダを見下ろす様に男が3人立っていた。

そのうちの一人は店員だ。

仰向けに倒れているミランダと目が合った瞬間、淳はその穴に降りた。

ミランダを押さえようとしている男の顔面を殴り、ミランダから引きはがす。

ミランダを自分の後ろに回し、男達と対峙するとショルダーバッグから拳銃を取り出した。


『もしもの為に持って来て正解だった』

アメリカにいる時に護身用に買った銃だ。手のひらサイズで持ち運びに丁度良い。

2発、相手の足元に立て続けに撃ち込むと、


「Freeze!」(動くな)と叫んだ。


そして先程殴った男の腹にレーザーで照準を合わせ弾丸を打ち込む。

それを見た他の二人は逃げ出した。


「Stop!」

そう言っても止まらない。

淳は逃げる相手に、更に銃を2発撃ったが当たらなかった。

男達は階段を駆け上がり逃げて行った。


腹に撃ち込んだ相手を見下ろし、

「Only you will not let go」(オマエだけは逃がさない)

銃口を顔に突きつけ、淳は鬼の形相で言った。

ミランダが淳に泣きながら抱き付いてきた。

一度ミランダを抱きとめ、その後バッグから携帯を取り出す。

セオに連絡するのだ。ミランダと一緒にいる時に何かあったらすぐ自分に連絡する様に以前言われている。

相手に銃口を突きつけながら、セオドアと話す。


「セオ、今原宿のクロースショップにいるんだけど、ミランダが誘拐されそうになった。

犯人の三人のうち一人は捕まえた。警察に通報してもいいんだけど、どうすればいい?」

「それは、私の方で手配する。ジュンはそいつを逃がさないでそこで待っていてくれ。

それよりミランダは?無事なのか?怪我してないのか?」

「大丈夫だ。確認はしてないけど、あっても多分かすり傷だよ。いまミランダと代わるね」


「ミランダ!大偉丈夫か?怪我はないか?」

「大丈夫。ちゃんとジュンが助けてくれた。それよりパパ、早く来て!」

「いま行く!愛しているよミランダ!」


ミランダとセオドアの話が終わり携帯を切ると、淳ができるだけ優しい笑顔を作りミランダの目を見て

「もう大丈夫だ。ミランダが無事で良かったよ」

ミランダは涙を拭きながら頷いた。


淳の携帯が鳴っている。

画面を見るとミアからだが、この状況下ではミアよりもミランダの方が心配でミアの電話は後でコールバックすれば良いと判断しバイブにして放置した。



5分後、スーツを着た一人の白人が穴へ飛び下りてきた。

ミランダを抱き寄せ身構える。

「とまれ!誰だ?」

「ジュン・クニミとミランダ・エッガーだね? 私はデヴィット・エスパー、キミ達の敵じゃない。

セオドア・エッガーの依頼で来た。」

「セオの?」

「聞いていないか?・・・まぁ、間もなくエッガーも着くだろうが電話で確認してくれて構わない」

ジュンは再び携帯でセオドアに連絡を取る。

「セオ?・・エスパーって男が来たけど、セオの依頼だと言ってる。」

「そうだ、私が頼んだ。彼に犯人の身柄を引き渡してくれ。

前に話した事のあるCIAだ。 私ももう着く。 くれぐれもミランダを頼む。」


電話で話している間に、かービン銃を構えた人間が3人立って犯人を囲んで銃口を向けていた。

淳は銃を下ろし、ミランダの肩を抱き直した。


「その銃は・・・S&W製 M&Pボディガード380か?ほうレーザーポインター付か・・

さすが良い銃を持っているが、よく日本に持ち込めたものだ。 

キミには興味があったんだ。今度メシでも奢るから色々話そう。

じゃないとキミが日本では持ってはいけない物を持っていると誰かに口が滑ってしまいそうだ。」


エスパーが一方的に話す。

淳は無言でエスパーの顔を見ながら聞いていた。


セオドアが着いた。

ミランダが駆け寄り胸に飛び込んでいった。

セオドアはミランダを抱き締め、淳に礼を言い、エスパーにも礼を言った。


「それじゃ、ミスターエッガー、詳しい事は後で連絡します。」

そう言って、連れの男達が犯人の両脇を抱えている後ろからエスパーは帰って行った。

エスパーを見送ってから、現場から離れた。


地上に上がってみると、警察が立ち入り禁止のテープを片付けている最中だった。

普通、刑事が名刺を出しながら自己紹介をして事情聴取をする流れになるのだが、CIAが絡んでいるせいかソレは無かった。

野次馬が人混みを作り、その中を掻き分ける様に警官に案内され道へ出るとセオドアのリムジンがスッと前に停まり、三人はそれに乗り込んだ。





それから・・・


ミアとマリアは服屋の向かいにあったカフェで淳とミランダの様子を見ていたのだが、

いきなり警察が来て立ち入り禁止のテープが張られ、周囲を固める様子を見て驚き焦った。

何かあったに違い無いのだ。


事件に巻き込まれたのか・・・

二人は無事なのか・・・


店を飛び出し立っている警官に事情を尋ねた。

が、警官も命令されただけで詳細は分からないという答えを聞いて激昂した。


ミランダに電話しても圏外のアナウンスがながれ、

淳の電話は呼び出すが応答しない。

いよいよ二人に何かあったと気づいた。


2人の顔は青ざめ、無理やり中に入ろうとしたが警官に止められ口論となる。

あまりの暴れ方に警官が複数で対応し、一人づつパトカーの中で両脇に警官が付き職務質問を受けるハメになる。

するとすぐに別の警官がパトカーに近づき、窓を開けると

「国見淳クンのお母さんですか? いまミランダ・エッガーさんのお父さんが迎えに来てお帰りになりました。お二人とも怪我無く無事ですよ」

ミアはパトカーから急いで降り、別のパトカーから同時に降りて来たマリアを連れて大至急家に戻る為に車を走らせた。













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