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栄光なんて必要ない  作者: Izumi
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デート 1

夕食が終わったあと、リビングでミランダがマリアと話している。

ミランダがマリアに何か頼んでいる。


「May I?」

「Don`t go alone!」

「Mom, Please !」


ミランダが食い下がっている。

淳は横目でその様子を見ていた。


ミランダは夕食前まで自室で画像共有のSNSを見ていた。

そこで同世代のファッションや流行のスイーツを見て情報を取り入れているのだが、

どうやら、そこで行きたい店を発見してしまったらしく、出掛ける許可を交渉しているのだ。

普通の親であれば高校生の子供に対して、「気を付けてね」程度の注意で送り出すのが普通だが、

ミランダは過去に誘拐されているので親としてはやはり怖いのだ。

『自分が一緒に行けば』とも思ったが女二人程度では心もとない。

『セオのボディガードを』とも思ったが、セオなら超厳重警戒の指令をしてしまう事が予想できて、それならヤリ過ぎて遊んでいても楽しくないだろうと思った。

どうすれば・・・と考えている時に、こちらをチラチラ見ている淳が目に入った。


「Good idea while I am!!!!」

マリアは小さく自分の閃きを褒めた。


「I hope you with JUN !」(淳と一緒なら良いよ)

ミランダは一瞬時間が止まった様に全てが停止した。

止まっているミランダにマリアが言う。

「ジュンは格闘技もやっているし、頭も良いから危険察知能力も高いでしょ。

淳と一緒なら行ってもいいわよ。」

マリアが淳をチラ見しながら言った。


ミランダは1分くらい黙って考えていたが、意を決して淳の方に身体を向けて

「ちょっと! 聞こえたでしょ?」

「き、こえた。」

ミランダの勢いに淳が押された。

「で?行けるの?行けないの?」


「行けるけど・・・いつ?」

「後で言う!」

そう言うと、マリアの方に顔を向け

「じゃ、ジュンを連れて行く。これでいいよね?」

「Good jyb !」

マリアはニヤリと笑った。


とこらが淳もミランダも気が付かなかったが、傍でそれを聞いていたミアもニヤリと笑っていた。




話は、15年前に遡る。

双子の姉弟を出産し三人目の子供を授かったミアが親友のマリアに妊娠を報告すると、マリアも妊娠したと告げた。

しかも悪阻が酷くちょっと日常生活が大変だと言っているのを聞いたミアが旭に相談し、マリアに『日本で出産してはどうか?』と提案したのだ。

マリアはセオドアに相談し、仕事が忙しく家を空けがちなセオドアも賛成したので日本に来て出産した。

出産日が殆ど変わらなかった為に、その後もしばらく日本で同居していたのだった。

なので慧も亮もマリアとは仲良しだし、ミランダも妹の様に感じる事もある。


その一緒に子育てしている時、ミアとマリアがよく話していた事が子供達の将来についてだった。

「もし二人とも無事良い子に育っていたら、結婚させよう」

よくある話だが、考えてみるとトンデモナイ!

中世ヨーロッパや日本戦国時代なら理解出来るが、本人達の意思が尊重される現代では考えられない内容である。

しかし、ミアもマリアも『本人がその気になれば問題無い』と話合った。


全世界にいる親にすれば、配偶者は優れている方が良いに決まっている。

淳は稀にみる天才児だしルックスも最高部類だ。

ミランダも電子工学の部門では天才と言われビジュアルも最高部類だ。

しかも本人達に記憶が無いとはいえ幼馴染であるし、お互いの家族も既に家族同様に同居している。

きっと最高のカップルになる!ミアもマリアもヤル気満々だった。


二人の母親が抱くその野望を果たす切っ掛けのチャンスがやって来た。

逃すハズが無い。

マリアはミアに小さくⅤサインを送り、ミアは親指を立てて応えた。


マリアは淳に歩み寄ると、最後に

「ジュン、悪いけどお願いね」

と優しい笑顔で微笑み肩を柔らかく抱いた。

後ろからミアが

「ジュン、しっかりミランダを守るのよ!」

と声を掛けた。

これで淳はもう絶対に断る事が出来ないと悟った。

そして人類稀にみる天才児であっても母親達の意図は読めていない。



夕食後、何時間か経ってからミランダが淳の部屋にやって来た。

日時と場所を教える為だ。

原宿にあるロブスターサンドの店で、いま流行っているらしい。

日曜のランチに合わせる事にした。


「ジュン、なんか無理に付き合わせてゴメン」

「いや、オレも食べたいから楽しみだよ。ハーバートにいた時、ボストンで食べた以来だもん」

「あ、セーラム通りの店?ノーススクエアの店も美味しかったよ」


共通の話題があるのだ。

ただ、同じ家で暮らしていても、学校で席が隣でもじっくり話した事が無い。

お互い周りの目が気になったのだ。

思春期ならではではないか・・・。

ただ、こうやって話してみると意外に楽しかった。

今までが不思議だったのだ。

アメリカの事、学校の友達の事、先生の事、日本の事、家族の事、ミランダは色々な事を話して30分くらいしてから自室に戻って行った。


ミアとマリアがチェックしていたのは言う迄も無い。

日曜まで時間はある。二人はお互いの子供に着て行く服装を細かく指導した。

元世界的トップモデルの二人である。

TPOに合った清潔に見えて堅苦しく無いカジュアルな服装を用意した。






そして・・・ミアとマリアが楽しみにしていた日曜がやって来た。


用意した服を身に付けた淳を見たミアは頷き

「本当にちゃんとミランダをエスコートしてよ!ちゃんと護ってあげてよ!」

と念を押した。

マリアはミランダの服を見て、やはり満足そうに頷き

「ジュンに迷惑かけないでね。ちゃんと女の子らしくして楽しんで来なさい。」

そう言って送り出した。


ミアがいつも学校の送迎に使っているミニバンで駅まで送り、二人は出掛けた。

雰囲気は悪くない・・・。ミアは安心した。

大急ぎで家に戻り目立たない服装に着替えると、やはり目立たない服装に着替えたマリアと共にマリアの愛車であるスポーツカーで原宿へ淳とミランダを追った。

『やはり気になる』というマリアの相談を受けて気付かれない様に二人の様子を見る為に尾行する事にしたのだ。

先回りして目的の店に入り陰のお席で二人を待ち構える。




淳とミランダが入って来たのはミア達のオーダーが目の前に運ばれて来た時だった。

その二人の容姿に周囲の客の視線が集中する。

日本を代表するティーンの街、誰もが可愛い、綺麗、カッコいい、に憧れる。

そこにファッション雑誌から飛び出してきた様な、現役モデル顔負けのビジュアルを持つカップルが来たのだ。誰だって嫌でも注目してしまう。

それを見た二人の母親は『当然だろう』とドヤ顔気味にニヤリとしながら見ていた。

自慢の子供なのだ。自分が褒められるよりも嬉しい。


隠れながら二人を見てミアが小さな声で嬉しそうに呟く。

「I may be prejudiced but nice couple・・・」(親バカかもしれないけど、素敵なカップル)

マリアが答えた。

「I think so too・・」

2人は笑顔でお互いの顔を見つめ合った。

ちゃんと育てたという達成感かもしれない。



淳とミランダは食べ終わると席を空ける為にすぐ外に出た。混雑していたからだ。

当然ミアとマリアも細心の注意で30秒後に後に続く。

この後真っすぐ帰るとは思えないので、どこに寄るのか当然気になっている。

「どうしよう・・・ジャパニーズLOVEHOとか行ったら・・・WWW」

「大丈夫、ジュンにそんな度胸はないわ!WWW」


淳はミランダを守る様にして歩き、ミランダは淳と離れない様に身体を寄せて歩いて

いた。

淳がミランダに歩調を合わせて歩く気遣いが見て取れる。

「ジュンって優しいのね・・・」

「教えた通りにやってるだけよ!」

「そろそろ手とか繋がないのかな・・・?」

「初めて二人きりになった時に、手を繋ぐなんてジュンには難しいわ」

2人の母親は楽しんでいた。


淳とミランダは若者向けのブティックに入った。

おそらくミランダの提案だろう。











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