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『人は右/車は左』(詠み人知らず)
連作短歌『人は右、車は左』は作者不詳の現代短歌作品群です。
この連作短歌には暗喩によって、性的マイノリティの人物(作者)による社会への憎悪、静かな怒り、殺意、そんな負の感情が込められています。
本作は初出の時期と文体等から、平成前期頃の作品だとされていますが、当時は「LGBT」という言葉やそれに纏わる運動も、日本国内ではあまり知られていませんでした。今よりもっと性的マイノリティに対する風当たりが強く、マスメディアでも酷く差別的な扱いを受けていた時代です。
LGBTそれぞれに関する理解もなく、特に国内でトランスジェンダー/トランスセクシュアルという概念が一般に認識されたのは本作の書かれた2000年代初頭からで、それまでは単なる性的指向として扱われ、当事者ですら混同していた場合さえありました。
そんな時代に、表立って言葉にすることが出来ない負の感情を暗喩の形で詠んだ『人は右、車は左』。
今回は23首の中から一部を抜粋して解説します。




