1章
22
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結局、夜になって戻ってきたチェザーレに事の次第を話したマリたち。
内容を聞いて少し考える素振りを見せたものの、何かを言うことはなく、城の外には出ないように言われただけだった。
それから2日は、ほぼ部屋に引きこもり、本を読んで過ごしたマリ。図書室に行く時はチェザーレが、バルコニーで本を読む時は傍にジアンが寝そべるという警護体制だった。
そして3日目。予定では髪飾りを取りに行く日で、そして、同時にマリたちがこの城を立つ日でもあった。
どうせならそのまま行こう、というチェザーレの言葉に従った形での出発になった。
朝食を運んできてくれたメイドが、国王が準備が出来たから執務室に来て欲しい、と言付かったらしく、3人で向かう。
またしても何処をどう歩いたのか分からないまま先日きた執務室に入れば、国王、アウローラ、ローウェンの3人が待っていた。
「お待たせしてごめんなさいね、チェザーレからエルディア魔法具店の魔法道具を借りたって聞いたら、こちらからはマリの着替えとお金を用意したわ。」
そう言ってそっと折りたたまれた服と金貨の詰まった皮袋を差し出すアウローラ。
沢山あるようで、ブラウス、パンツ、ワンピースがいくつかに、別の袋には丁寧に下着も入っていた。
「ありがとうございます…!」
ぎゅっと服と皮袋を胸に抱きしめて頭を下げるマリ。
「そこの狼からの不審な報告も聞いてる、こっちでも調べておくが用心に越したことはない。無事に帰ってきて俺に話を聞かせてくれ。」
相変わらず書類に埋もれた机に腰掛けながら言う国王にこくんと頷く。
国王の言葉に続いてローウェンがチェザーレとジアンを見ながら、
「3人とも我が国の大切なお客様です。出来うる限りの便宜を図るつもりでしたが、陛下がそれはマリが嫌がるだろうと仰られたので、我々はあなた方の無事を祈るしかできません。ですが、なにかあった時は、我々の名を出して構いません。必ずお力になります。」
そう、丁寧に言って締めくくった。
荷物をポーチに入れ、ポーチの存在を隠すために大きな肩掛けバッグに入れてから肩に掛ける。
ポーチの中がどうなっているのかは分からないが、ポーチに手を入れて中身を知りたいと思い浮かべれば、中身の一覧が脳裏に広がるし、アイテム名を思い浮かべればそっと手に収まるようだった。
そういう面でもこれは本当に超一級品なのだと思うマリ。
そうした諸々の準備を終え、見送るという3人の心遣いだけ頂いてから、城を出る3人。
「改めて、よろしくね。」
マリの両隣にいる、チェザーレ、ジアンを交互に見てそう伝える。自分も忘れるなとばかりにほっぺをぺちぺちと叩くエンにも、よろしく、と声をかけ、まずは魔法道具店へと向かった。
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「待ってたわよォ。出来てるからこっちへどうぞ?」
魔法具店に入った瞬間にレイノルフに声をかけられ、びくつくマリとジアン。
チェザーレは分かっていたのかスルーして奥へと足を進める。
「あのエルフ匂いがしなかったぞ…」
自分の鼻ですら気づけなかったことに悔しさを滲ませつつ、チェザーレの後を追う。
ソファに座る3人と、ジアンは床にそのままお座りでテーブルを見やる。
キラキラとした金色の髪飾りには小さな鳥のモチーフが付いており、鳥の胸元、長い尾の先、瞳には粒のような宝石が嵌っていた。
その横には鞘に納まった両手ほどのサイズの短剣。
それを手に取り、じっと見つめるチェザーレと、不思議そうにチェザーレの手元を見つめるマリとジアン。
「流石、エルフの細工だな…精霊の力を殺すことなく組み込んでる。」
そう頷いてそのままそっとマリの髪に髪飾りを付ける。
パチンと留めてから、短剣も手にして鞘から抜き、紅い刀身を検分し始めるチェザーレ。
「え?これ、私の…?」
困惑に満ちたマリの声に当たり前だろう、と視線を送り、鞘に戻した短剣も渡す。
「その剣も1級品よ?素材も細工師の腕も超一流なんだもの。」
そういってにこりと笑うレイノルフと、チェザーレを交互に見つめるマリ。
正直こんな大層な武器を貰っても扱える気など全くしないが、それでもチェザーレやジアンの負担は減るだろう。
「貸してご覧なさい、腰に付けてあげる。」
そう言って立ち上がるレイノルフに従って身を任せるマリ。
革のベルトを腰に回し、肩掛けバッグに隠れるように短剣を吊るしてくれた。
「あ、ありがとうございます…」
「そう警戒しないで?もうしないわよ。頑張ってらっしゃいな。」
苦笑混じりにぽんと背中を叩かれて言われ、立ち上がったチェザーレがレイノルフに紅い何かを渡した後に、店を出た。
この間みた青白いものとよく似ていたので、もしかしたらチェザーレの鱗なのかな、と思いつつ、街の外に向けて歩みを進めて行った。
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1章はこれにて完結でございます!
明日からは2章、星竜国編として進めていきます!
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