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竜王のいる異世界  作者: 土師 冴来
一章―異世界来訪編―
13/116

1章

13

――――



朝食後、チェザーレは体を動かしてくる、と言い残して出ていった。

マリは宛てがわれた部屋に戻り、エンと共に再び読書に耽る。

1冊目を読み終わり、次の本を選んでいると、外から歓声にも似た湧き上がるような声が聞こえ、首をかしげながらバルコニーに出てみるマリ。

そこで気づいたがバルコニーでチェザーレの部屋と繋がっていた。

とても広いバルコニーから下を見れば、騎士団と思わしき軽鎧の人達が訓練をしているようだった。

その中に一際目立つ赤毛を目にして、身体を動かしてくる、と出ていったことを思い出す。

模擬戦でもしているのか、何人かと入り乱れて剣をぶつけ合っている姿をなんとはなしに眺めるマリ。

ふと、チェザーレが上を向いてマリに気づき、ぶんぶんと手を振ってから手招きする仕草に変える。

ここまで見に来い、とでも言いたげな仕草に、そこまでの道のりが分からないんだけど…と顔をしかめるマリ。

誰かに道を聞かねばならないのかと行き渋っていると、下にいたチェザーレの背に唐突に深紅の竜の翼が生え、そのまま軽くジャンプする様にバルコニーまで飛び上がってきた。


「せっかくだから近くで見てくれ。お前の護衛は強いぞ?」


自信満々にそう告げるチェザーレにぽかんとしたままのマリ。地上からこのバルコニーまでは建物3階相当の高さがあった。それを軽く飛ぶだけで飛び上がってくるのも、背に生える深紅の竜の翼にも驚いていると、いくぞ、と抱えあげられる。

お姫様のようなそれではなく、荷物のように小脇に抱えられて。

暴れたら落とすからな、と脅されて今まさに振りあげようとした拳をそっと収めるマリ。

それに笑ってから身軽に階下の訓練場に戻った。




「…大丈夫ですか?」


チェザーレの腕から解放され、3階から飛び降りるという恐怖から座り込みそうになるマリに心配そうに声をかけたのはローウェンだった。

こちらへどうぞ、と訓練場の端にあるベンチへと座らせてくれる。

それに礼を言ってから、隣に座るローウェンからこれから副長とチェザーレ様が模擬戦をするんですよ、と教えられた。


「あの、金髪の女性ですか?」


「そうです。彼女はアイリア。国王陛下の姪御様ですが、皇位継承権を放棄して、騎士団に入った剣の達人ですよ。」


そう言われてチェザーレと楽しげに話す女性を見るマリ。

綺麗な金髪はポニーテールに括られ、毛先が首筋を撫でるぐらいの長さだ。顔立ちはハッキリとした美人で、国王と同じ碧眼。

背も高く、しなやかそうな身体と、逆に動きを阻むのでは?といらない心配をするほどの張り出た胸元に視線がいく。


そんなことを思っていると、チェザーレとアイリアが剣を構えた。

審判らしき騎士が、さっと手を振り上げた瞬間、カキンという金属音と共に、剣を失った手を押さえるアイリアと、その綺麗な顔に剣先を突きつけるチェザーレがいた。


「……」


あまりの早業に言葉にならず、思わずローウェンを見るマリ。

それに苦笑で返し、


「彼女が強いのは間違いありません。ですがあくまで人間の範疇では、なのです。」


要はチェザーレはその範疇にいない、ということだった。


(顔以外にも目立つ要素があるとか…)


昨日に引き続きどんよりしだしたマリに、戦力としてはこれ以上はありませんよ、と太鼓判を押すローウェン。


「ローウェン!久しぶりに|()らないか!」


チェザーレに一礼してこちらへ来るアイリアの背後からローウェンにむかって声が掛かる。

少しの思案の後に立てかけてあった刃を潰した鉄の剣を持って立ち上がるローウェン。

席を入れ替るようにアイリアが座り、ローウェンが訓練場の中心に魔法陣を発動させる。


「あれは魔法制限魔法陣。魔法の被害をあの訓練場の中だけに収める結界魔法の1つ。初めまして、異世界のお客様?アイリアと申します。よろしく」


そう説明してにこやかにアイリアが笑いかけてくる。


「マリ、です…手、大丈夫ですか?」


「え?ああ…大丈夫よ、少し痺れるぐらいだから」


ありがとう、とより笑顔を深めるアイリアと共に訓練場の中心に立つ2人を眺める。




「魔法は中級まででお願いします。それ以上はこの結界では耐えれませんので…」


チェザーレと対峙するローウェンが念を押すように言う。

分かってるとばかりに笑い返すチェザーレにふっと息を吐いて審判の騎士に目配せし、剣を構えるローウェン。

対するチェザーレは今度は構えることなく自然体で立つ。

すっと審判の騎士の手が振り上げられた。

合図と共にチェザーレに切り掛かりながらアイスブルーの瞳が輝く。


穿け(つらぬけ)、アイスピラー!』


チェザーレの足元から串刺しにすべく氷の槍が2本生え、同時にローウェンの剣が迫る。

アイスピラーが生える瞬間に背後に軽く飛んで回避し、斬りかかってくるローウェンの剣を同じ鉄剣で受け止める。

思いのほか強い押し込みに楽しげに笑って力を緩めることでいなし、再び距離を取るチェザーレ。

すぐに体制を立て直し、チェザーレを視界に入れるローウェン。


疾れ(はしれ)、アイシクルエッジ!』


続けてローウェンの背後の宙に3本の氷の剣が浮かび、ローウェンを追い越してチェザーレに迫る。


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