#1 チーター現る
「おぉ~、かっけぇ~」
俺、つまり、佐藤健は今、スパイ映画を見ていた。
敵の基地に潜入し、相手の計画を阻止するというシンプルな内容だ。しかし、演じる俳優のセリフや動き方がとてもそれだけの内容とは思わせないのだ。
「俺もこうなりてぇ~」
そんなことを考え、携帯を手に取る。
「おい、聞こえるか。今すぐあの計画を実行せよ。ああ即急にだ。」
誰と話しているかって?勿論、一人だ。俺が一人でしゃべっているもだから返事なんか帰ってくるはずがない。いや、はずがなかった。
『承知致しました。天界への転移を開始いたします。』
「…へ?」
音声が流れ終わると同時に、俺の部屋の床が白く光りだし、俺の全身も白い光に包まれた。
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「いててて…。な…なんだ…ここは……」
光が収まったかと思い、周囲を見回すとそこは見たことのない白い空間だった。
「やあこんにちは。」
声のした方向を見ると、そこには小学生くらいの子供がいた。
「誰だ…あんた…」
「僕は、この世界の~神だよ」
「は?神?おい、坊主おまえゲームのやりすぎだ…」
「誰が坊主だってえ~?」
俺は突然何かにつままれ、持ち上げられた。
「どう?これで信じた?」
はっ?まさかマジでこいつ…
「ああ、信用する!だから下ろせッ」
「おっけー」
「いでっ」
神か。そんなもんほんとにいたんだな。
「で、俺になんか用?」
「あ~、うん。実はねー、君には転移してもらいたいんだ。異世界にね!」
「い、異世界?」
「あ~、えっと異世界っていうのは~…
って感じ。」
「ほお~。で、なぜにそこへ?」
「実は、君のこれからの人生、ろくなことが起きない。それに同情してね」
「そんなにやばいのか?」
「うん。かなり」
「な、なんかありがとな」
「いいよ。そう、そして異世界では、不自由なく生きてもらいたい。その気持ちを込めてステータスをいじらせてあげるよ」
「お、おう」
「タケルのステータスオープン!」
と、神が叫ぶと、俺の目の前に半透明なウィンドウが出現した。
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名前:タケル 職業:学生 年齢:19
種族:人間
所持金:34000円
HP:100/100
MP:0/0
攻撃力:10
防御力:10
魔法力:0
精神力:50
体力:50
スキル:-
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と、こんな感じだ。
「これをいじっていいのか?」
「どうぞ、お好きなように」
「じゃあそうさせてもらう」
職業か、やっぱ裏組織のボスだろ。あ、せっかくだし。他のも裏組織で便利そうなやつにしよ。
といい、できたものが
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名前:T 職業:ボス 年齢:不詳
種族:人間 Lv,不詳
所持金:∞
HP:999,999/999,999
MP:∞/∞
攻撃力:999,999
防御力:999,999
魔法力:999,999
精神力:999,999
体力:∞
スキル:気配消去 威圧 言語理解 変装 絶対防御 意思疎通
全武器術対応
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と、こんな感じか。
「へえ~。そういう系が好きなんだあ。じゃあ、僕が君に必要そうなものを追加してあげる。『鑑定』と『全属性対応』」
「どんなものかはわからないけどありがとう」
「どういたしまして。じゃあもう準備いい?それじゃ転移を始めるね。たのしんでね~」
「ああ、ありがとう」
と、最後の会話をし、俺の意識は遠のいていった。