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もうひとつの奇跡、愛機CBRハリケーンII型との再会

奈々を背中に乗せバイクで走る雅樹。

死神との対決に備えて相棒を探し彷徨う。


風がふたりの横を切り裂く様に流れている。

俺は国道14号線を東京方面に向けて移動している。


もちろんバイクの後ろには奈々を乗せている。

来るべき死神との対決に備えてのいわば予行練習だ。


そしてもう一つの大切な目的を果たすためバイクを右折させ千葉大学方面に走らせる。


大切な目的。

それは死神との対決に際しての相棒を探す事だ。

京子ちゃんがシボレーコルベットを決戦の相棒にした様に、俺は俺の心が踊り高ぶる相棒を欲していた。


CBR250RハリケーンII型。

青春を共に走り抜けた相棒だ。


当時のCBRでなくてはダメだ。

自主規制により飼い慣らされ羊と化した現行型ではなく、キッチリ45馬力を叩き出す当時の狼が必要なのだ。


それならば警察もいない異空間、リッターバイクをチョイスすれば良いかと言えばそれは違う。


かつて弟が駆った刀1100、ZX10に跨ったがとても操り切れる代物ではなかった。

ZX10をオーバー200km巡行でも全く臆する事なく操れる弟とは訳が違うのである。


要は‥分相応が一番と言う事だ。

慣れ親しんだ当時の愛機こそ俺に力を与えてくれるはずなのだ。

背中の奈々と共に‥。


とは言うものの、既に絶版になって久しい機種。

おいそれとは見つかるまい。

だが俺は不思議と絶望していなかった。


なぜか出会える気がするのである。

きっと、この異空間で奇跡的に奈々と巡り会えた事が大きな自信となっているのだろう。


だか、ただ闇雲に探したのでは拉致があかない。

そこで俺は学生達の集まるエリアとしてJR東日本総武線西千葉駅近辺を探索の場としたのだ。


最近の若者はあまり車に興味を持たないと言う。

しかしいつの世にも逸る男はいるものだ。


俺はこのエリアにかつての愛機が潜んでいる事を確信してバイクを走らせる。


西千葉駅を通り過ぎて初めの信号を過ぎると道路にギャップがある。

『なにも変わってないな‥』

そう呟きメットの中でシニカルに唇を歪ませて軽く微笑む。


背中の奈々がギャップの振動に驚きいよいよギュッとしがみついてくる。


千葉大の正門を右手に見て左折しようとしたその時、信号待ちの車列にだらし無く横たわる当時の愛機CBRを見つける。


やはり何かがこの異空間にはある。

コイツは俺の『願い事』に呼応し、俺をここに呼び寄せたのだ。


だらし無く横たわるこの身を引き起こし高ぶらせてくれと。


俺はバイクを停めて奈々を傍らに降ろすと、相棒をこの異空間に蘇らせるために一歩一歩近づいて行った。



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