太陽が昇ってしまえば他の灯(あかり)は必要なくなるだろ? 奈々は俺の太陽だからね
もう少し甘々やったら千葉城から家に帰って戦いの準備の続きに移ろうかな。
ラストシーンを迎えたらその段階でプロローグを加筆する予定。
サイドストーリーもいくつか検討中。
もう少し登場人物が欲しいな…
「んっ‥苦しい‥雅樹さん?」
「あ、ああ、ごめん」
俺は抱きしめていた腕の力を抜く。
「やっぱり‥奈々は、壊れても雅樹さんのそばから離れない‥。むしろ壊れちゃったら絶対に離れないんだから…」
「奈々‥なんだかちょっとキャラ変わってきたよね‥?」
「ん? 何か言いましたか雅樹さん? 何か不都合なことでも?」
さっきまで泣きべそをかきそうな顔してた癖に、今度は小悪魔の顔で俺を見上げる。
「何も不都合なことなんてないさ…。なんだか段々とお互いに本音で話せるようになってきた感じで嬉しいよ…」
「嫌いにならないでね…」
打って変わって神妙な顔で言う。
「嫌いになんかなる訳ないでしょ? 奈々の本当が聴けるのが一番うれしいし、泣いたり笑ったり怒ったり疑ったり…どの奈々も俺にとっては大切な奈々だよ。もちろん笑っている時が一番うれしいけどね」
「ギィーってやって、ガブっでも?」
小首を傾げて見上げる奈々。
「それは勘弁…それやられちゃうとちょっとね…」
「『それやられちゃうとちょっとね…』ってどういう事? 嫌いになるってこと?」
俺の胸ぐらを掴まん勢いで言う。
「そりゃあ、暴力はね~。痛いのは嫌だし…」
「だ・め・! ギィーってやってもガブってやっても絶対、奈々を嫌いになちゃ嫌っ!」
顔がくっつきそうな距離で奈々が言う。
「『嫌っ」って…。奈々がそう言うことしなければいいと思うんですけど…穏やかにお話しするとか」
「そ・れ・を・言うなら奈々がギィーってやらなければならないようなことを、雅樹さんがしなければ良いと思うんですけど! それに雅樹さんは何があっても奈々を嫌いになっちゃ嫌!」
ああ…なんという不条理…。
しかしこれ以上エスカレートしたらそれこそまたガブリっだな…ここらが潮時。
「わかったわかった! 俺は何があっても奈々を嫌いになったりしないし大好きだから~もう存分にギィーってやってガブってやっちゃって下さい…」
「だから~そう言うことしなくて良いように雅樹さんは奈々だけを見て奈々だけを強く抱きしめて、不安にさせたり、奈々のことを放っておいたり、不埒なことを言ったりしたり、奈々以外の女の子によそ見したりしないで、奈々がちゃんと『愛されてる』ってことを実感できるように言葉にしたり態度で示したりしてくれさえすれば…奈々はもう何も望まないし何も要りません…。奈々の願いはたったそれだけです…」
「…」
たったそれだけって言う感じではないですが…。
「ん? 雅樹さんどうして黙ってるの? 奈々のささやかな願い事…ちゃんと守ってね?」
願い事は守らないだろ…って言うより言い付けを守るって感じなんですけど…。
「ん? 雅樹さん?」
可愛らしく小首を傾げているうちが花…。
このまま無言だとそれこそまたつねり攻撃は必至…。
俺は慌てて返事をする。
「もちろん…守るよ奈々…」
もうほとんど恐る恐ると言った感じで返事をしている俺。
「良かった…。話し合えば分かり合えるものですね」
話し合いって感じじゃないけど…。
まぁ奈々が元気ならそれで良し。
めそめそ泣かれるのは勘弁。
そんな姿も愛おしくて可愛いけど…そこからの切り返しは結構しんどい。
「俺は奈々の言い付け? を守るけどさ、奈々はどうなのかなぁ~。女の人の心ってさ、たとえ風を繋ぎとめられたとしてもそれ以上に捉えがたいって昔から言うからね~」
俺はわざと意地悪く言う。
「言い付けじゃありません! ね・が・い・ご・とっです! それに奈々は心かわりなんてしませんからご心配なく!」
ことさら強調する。
奈々がこんな表現をする時は大抵怒っているか拗ねている時だ。
「雅樹さんの方が全然怪しいと思います…これまでの経緯から仮定すると…」
「俺? 俺は心配ないよ? 太陽が昇ってしまえば他の灯は必要なくなるだろ? 奈々は俺の太陽だからね…もう他の灯は必要ない。だから奈々がずっと燦々と輝いて元気にここに居てくれればいい」
そう言いながら俺は自分の胸を叩く。
「…。心の中だけでなくずっとそばにいます…」
やっと奈々の高ぶりが治まったようだ。
子猫の様に小さな陽だまりになる。
つくづく言葉は不思議だ。
人の心をかき乱すことも出来れば、穏やかに心安くすることも出来る。
大切な想いはきちんと言葉という形にしてしっかりと伝えて行こう。
大切な者を失くさないために。
大切な奈々が心穏やかでいられるように。




