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カフェリンダは異空間の奈々ちゃんとつながっている!

もう少しラストまで引っ張ろうかな・・・。

奈々や椿姫や京子、雅樹、セラ・・・みんなをもっと動かしたい。

「青いノートが・・・異空間に・・・旅立った・・・」

「ドキンちゃん椿姫、奈々ちゃんに何かメッセージ書けばよかった!」

椿姫がポツリと言う。


「ダメ・・・ね。異空間から来た・・・神秘の青いノートは・・・こちらの世界のエッセンスは・・・運べない・・・。神秘の青いノートは・・・元の場所に戻るだけ・・・」


「だめなんだ・・・ガッカリ。でもちゃんと奈々ちゃんのところに届くと良いな」

椿姫の不安をセラが振り払う。


「京子さんが正常空間に帰って来てからの時間を異空間に変換すると1ヶ月ちょっと。さっき無意識の領域で捉えた感覚だと今頃奈々ちゃんは独りっきりではなくなっている。もしかすると新しく異空間に運ばれた人の波に乗って青いノートは異空間に帰ったのかもしれない。だとすれば奈々ちゃんがノートを見つける確率はかなり高いと思うよ」


「奈々ちゃんは必ず見つけると思うわ。ちょっと鈍臭いって言うか鈍いところがあるから見過ごすかもしれないけれど、必ず変化には気が付くわ!」

リンダが確信を持って言う。


カフェリンダから忽然と消えた神秘の青いノート。

その後に気配すら残してはいない。

しかし、カフェリンダに集う面々はそれぞれに消えたノートに想いを乗せていた。


『奈々・・・必ず青いノートを見つけて。あたしは異空間での記憶を実感として残していないけど、青いノートが教えてくれた。奈々と過ごした大切な日々を。奈々・・・必ずここに、カフェリンダに帰ってきて』

京子は心の中で強く、強く奈々との再会を願った。


「カフェリンダは異空間の奈々ちゃんとつながっている! みんなの想いはきっと奈々ちゃんに届くわ」

青いノートがあったテーブルを愛おしそうに触るリンダ。


「ところで京子さん? 異空間に行く前と異空間から帰って来てからで何か変化は感じる?」

「セラ君? それってどういう事?」

京子が訝しげに聞く。


「僕は今、なぜ奈々ちゃんと京子さんが異空間に行かなければならなかったのかな? という視点で考えいるのだけれど・・・。今のところ何の発想も出来ない・・・。なぜ二人は選ばれたのか? きっと何か共通点があると思うんだ。だから何らかの変化から仮説を立ててそこから遡及的に導けないかなと思って」

「・・・・・」

無言になる京子。


体に書かれた見知らぬ名前や青いノートに書かれた異空間での出来事。

理解できないヒントをもとに不安な気持ちで辿り着いたカフェリンダ。

空白の時間を取り戻すために読むノートはやはり理解に苦しむ事態。


思えば正常空間に帰って来てから自分自身を省みる心理的な余裕などなかった。

しかし今、京子はセラの問いに答えようと懸命に考えていた。


「ここに来る前は何が起こっているのか訳が分からなくて自分を振り返る余裕なんかなかったし・・・。ここに来てみんなと会ってからは・・・なんだかすごく楽しくてリラックスできていたから当り前のように感じて意識していなかったけど・・・そう言えば・・・」

京子は探り探り言う。


「何か変化を意識できた?」

セラが柔らかく問う。


「・・・なんだろ? カフェリンダとみんなの雰囲気のせいかな? 頭がすっきりして体調もいいみたい。 あたしこのところ頭痛酷かったり、体を動かすことは好きなんだけどなんだか体にキレがないって言うか違和感感じてたんだけど・・・。なんか今はすごくすっきりしてる感じだよ」

京子の言葉に椿姫が反応する。

「なるほど・・・」

セラは小さく呟いた。


「京子ちゃん元気で椿姫うれしい」

そんなセラを横目に、飛び切り大きな笑顔で京子の腕にしがみつく椿姫。

「椿姫に会えたからだよきっと!」

と、椿姫の頭を撫でながら京子が言う。


「京子ちゃん大好き! お兄ちゃん! しっかりしないと椿姫を京子ちゃんに盗られちゃうんだからね」

京子にしがみつきながら、じとーっとした目でセラを見る椿姫だが、セラは既に中空を見つめ思考に耽っている。

「って、だめだ・・・お兄ちゃん思考モードに入るとなんも聞こえないし、見えてても目に映ってないから・・・。京子ちゃんといちゃいちゃしてやきもち妬かせようとしたのにっ!」

椿姫がついその企みを洩らす。


「んっん~! 椿姫? 全部聞こえてんだけど? また京子のこと男扱いしたね? ひどいよこの子は~しかも京子を自分の恋のために利用するとは~許さん! こちょこちょの刑!」


「必殺! バックハグこちょこちょ! 喰らえ椿姫」


そう言うと腕にしがみついていた椿姫をグッと後ろから抱きしめ、その脇腹と言わず脇の下と言わずくすぐった。


「きゃはは~やめて京子ちゃん! くすぐったいの苦手! ごめんごめん~かっこいい京子ちゃんといちゃいちゃしてたらお兄ちゃんのオオカミ的な部分が呼び覚まされるかと思ってつい~」


「もう!椿姫は京子のことなんだと思ってるわけ~こちょこちょこちょ~」

「きゃはは~。も、もうしません! 許して京子ちゃん~」


「そんな笑いながら謝られても誠意が伝わらないな~。もっと心から真剣に謝ってもらわないと~」

「って無茶だよ京子ちゃん~きゃはは~」

京子の腕にがっちり取り押さえられた椿姫は逃げることが出来ない。

ただただ無抵抗に、こちょこちょの刑に処されるのであった。


そんなふたりの姿を微笑ましく見つめるリンダとドキンちゃんは全く助ける気もなく、カフェリンダに椿姫の笑い声が響いた。


「反省してるの椿姫? ん?」

背中から抱えるようにしてくすぐる京子は椿姫の顔を横からうかがいながらサディスティックに聞く。

「反省してます反省してます~。ごめん~きゃはは~なさい~」

「じゃあ許してやろう」

やっと京子の腕から解放される椿姫。


「京子ちゃんひどい! 椿姫はくすぐられるの苦手だってのに~。でも・・・ちょっと癖なりそう・・・。京子ちゃん椿姫が道を誤ってお嫁さんにいけなくなったら責任とってよね!」

今度は逆に椿姫が京子の顔を見上げながら流し目で言う。


「ちょ、ちょと! 何言ってんのこの子は! もう結局京子のこと男扱いして~」

京子がむくれ、そんな姿を見て椿姫が笑う。


セラは中空を見つめながら再びソファーに向かう。

カフェリンダの空気が再び張り詰めようとしていた。 







 

 


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