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島を探検してみよう


「ヒャッハーーー!!」 


 ケモ村を飛び出し、ジャングルの中を爆走する。足で。

 ジャングルに入ってからは、触ると地面から野太いおっさんの声が聞こえる気がするつるを掴み、ター斬ごっこも交ぜながら逃げまくった。

 そう、今俺は逃げているのだ! 女豹からな!


「待て! この色欲魔っ!!」


 メリーとのチョメチョメ帰りを見られた日の夜、寝てたらメチャクチャ身体を揺すられ起こされた。「おいキサマ……メリーと関係を持ったのか?」「ムニャムニャ……なんだよいまさら、羨ましいんなら明日抱いてやっから、今日はもう寝かせろよ……」っていう会話の後、馬乗りでとにかくボッコボコにされた。

 翌朝、ラニーニャのゲ○療法で傷を治してもらうと、タイミング良く縄を持った女豹がやってきやがった。だから逃げた。

 ラニーニャという尊い犠牲を払い、数分ぐらいの足止めには成功。けど、筋肉バカの女豹はあっという間に距離を詰めてきやがった。ター斬ごっこをしていなければとっくにお縄についていただろう。


「待てと言われて待つヤツはドMだけだバーカ!!」


 奇跡的な連続蔓渡れんぞくつるわたりにより、女豹がどんどん小さくなっていく。


「――――――――っのバカ……!」


 ほとんど聞き取れない捨て台詞ぜりふを最後に、女豹は走るのをやめた。


「勝った! 第三部……」


 こっちはこっちで決め台詞を言おうとしたら、次の蔓がどこにもなかった。


「あ」


 加速に次ぐ加速をしながら蔓渡りをしまくった結果、俺は時速百キロぐらいで空中をかっ飛んでいってしまった――


       卍


「…………あー、チョーいてぇ……」


 島のほとんどがジャングルでホント良かった。空中に投げ出されたものの、着地点に木々が生い茂ってたからなんとか九死に一生を得た。日頃の行いって大事だね。


「そろり。女豹は……追ってきてねぇな」

 

 近くにあった木に身を隠し、辺りの様子を窺ってみる。

 静かなものだった。虫の鳴き声とかおっさんの声で「もっとぉぉぉぉぉぉ!」といった、変な幻聴が聞こえてくるだけだった。この辺の土には怨念でも染み込んでいるのだろうか?


 女豹はいたが、ケモ村に戻ればあっさり出会でくわしてしまうに決まっている。アイツは耳も鼻も良い、バレない方が難しいからな。しかも今は逃げたから、怒りのボルテージが上がっているだろうしな……


「しばらくは戻れねーな。んー、なら、今日はジャングル探検でもして過ごすか」


 もともと予定の一つに入っていたことだし。そろそろ本格的に動き出さねーと不味いし、丁度良いと割り切ることにした。


        卍


 腹が減っては近くに成ってるリンゴモドキやバナナモドキを食い、移動している間は適当な木を折り矢の材料を回収したりして、目的地を目指していた。

 んで、材料は丁度良い荷物持ちのラニーニャに渡していく。


「ひじり。もうもてないぞ」

「あ? なら四○元ポケットにしまっちゃいなさい」

「そんなきゅうきょくチート、ラニーニャはもってないぞ」

 

 そうか。無いなら仕方ない。


 え? なんでラニーニャがいるのかって? 知らねぇよ。気づいたらいたんだもん。


 目的地であるラニーニャの生まれ故郷、ち○こ岩を目指して歩いてたら、

 

「ひじり。ゆみをわすれてるぞ」

「あ、いっけね」


 と、いつものように隣にいたんだから。 


「って、おい。なんで普通にいんだよ? お前は女豹に頭から喰われたはずじゃ……」

「フォンはそんなことしてないぞ。ラニーニャミサイルっていってひじりになげられたラニーニャをキャッチしてくれただけだぞ」

「あー、そうだった。そうだった」


 女豹が縄を持って入り口で仁王立ちしてたもんだから、隙を作るためにラニーニャを投げたんだった。んで、「女豹! 受け止めねーとラニーニャがケガするぞ!」って言ったらキチンとキャッチしてくれたんだった。

 その隙に、俺は女豹の股下をヘッドスライディングで通り抜けて逃げ出したんだ。もうちょっと余裕があれば、通り抜けながら女豹のパンツを下げることも出来たんだが……、惜しいことをした。


「ひじりはラニーニャのあつかいがひどいぞ」

「えー? メチャクチャ大切に扱ってやってるだろ?」

「…………」


 いつも以上の無表情っぷりで睨まれました。

 

 つーことでラニーニャのご機嫌を取る為「一つだけ願いを叶えてやろう」って言ったら、「じゃあ、きょうはずっといっしょにいてほしいぞ」だって。チョロインだな。


       卍 

 

「ち○こ岩、とうちゃーーーーく!」

 

 前回来た時に付けておいた秘密の目印を頼りに、迷わずちん○岩に辿り着いた。けっこう近場に不時着していたらしく、カッ飛んでから一時間も掛かってないはずだ。


「ひじりとであったばしょだな、なつかしいぞ」

「数日前のことに懐かしいもクソもねぇだろ。それより、ちょっと登ってくっから、お前はここで待ってろ」


 たぶん五十メートル以上はあるち○こ岩。登るのは大変だろうが、島全体を俯瞰をする為には登るしかない。幸い、岩肌はデコボコしてるから経験のある俺なら登るのは不可能じゃない。ロッククライミングはけっこう好きだったからな。


「どっこらセックス」


 岩肌を掴み、片足を岩に掛けたところで、


「ダメだぞ」


 ラニーニャに服を引っ張られました。

 このガキは女豹並みに怪力である。つまり、俺のバランスを崩すをことなど容易たやすい。


「ゼウスッ!?」


 運悪く尻から落下。しかもラニーニャが矢の材料を地面に置いていたせいで、俺の美尻びけつに軽く刺さってしまっていた。


「イッテェェェ……! おい、何考えてやがるこのバカ!」


 立ち上がり、刺さった枝を抜き美尻を撫でなからラニーニャを叱る。

 

「ひじり、やくそくがちがうぞ」

「あ゛?」

「さっきやくそくしたぞ。きょうはずっといっしょにいるって」

「おいおい。そりゃしたけどよぉ、こういう場合は仕方ねぇだろ?」 

「しかたなくないぞ」

「あ゛? じゃあ何か……俺に、お前を背負ってこの岩を登れってのか? 無茶言うな!」

「そんなこといわないぞ」

「? じゃあどうやって登んだよ?」

「ラニーニャが、ひじりを運ぶんだぞ」

「は?」


       卍


 自分の半分の身長しかないラニーニャに背負われ、岩を登っていくシュールな姿を想像した。

 が、現実は全然違かった。シュールなことに、変わりはないけどな。

 

「なぁラニーニャ。お前って一体なんなの?」

「ひじり、いまははなしかけないでほしいぞ」

「……はーい」

 

 ホント、ラニーニャって何なんだろう? 今までカモノハシでいっか! で済ませてたけど、さすがにコレは無視できないよなぁ。


 そう。空を飛ぶのは、さすがに無視できそうにない。


 正確に言うなら、飛んでいるというより『浮いている』といった方が正しいんだろう。スピードも全然無いし。強風が吹いたらそのままどこかへ流されてってしまいだしな。

 とはいえすごいことに変わりはない。あと楽だ。クレーンゲームで持ち上げられたぬいぐるみ気分でいればいいだけなんだから。……原理とか考え出したら、んな呑気のんきじゃいられねぇだろうけどな。

 現在、ち○こ岩の半分ぐらいまで来てしまっている。原理不明の浮游方法ふゆうほうほうで、だ。落ちたらまず助からない。なのに、どうやって浮いているのか分からない。そりゃあ考えるのもやめちゃいますよ。翼が有るわけでもない。何かを噴射してるわけでもない。ただ浮いているだけなんだから。

 これなら、でとんでるだぞ。とか言われたほうがまだ安心できる。

 ホント、我ながら奇妙なガキを拾っちまったもんだ――


      卍


 考えるのをやめボーっとエロいことを想像していたら、無事、ち○こ岩の頂上に辿り着いた。

 ラニーニャは疲れたと言ってすぐ横になりやがった。浮くのにエネルギーを消費してる感じはしなかったが、やはり何かを使っていたのだろう。その辺も含め、帰ったら色々聞いてみるか。

 

「さて……へー、こうなってやがったのか……」

 

 ぐるりと辺りを一望する。

 ち○こ岩の頂上が割りと平べったいからちん○岩じゃねぇなってことはさておき。島の周囲がこうなっていたとは、予想もしてなかった。


「あの水溜まり、海じゃなかったんだな」 


 俺が全裸で寝てた砂浜。あそこからは確かに水平線が見えていた。だが、その水平線の先は、全て陸地だった。


「湖ってとこか……しかも、綺麗な円形をしていやがる」


 陸地はどこも距離感が一緒だった。隕石の落ちた中心地から、ヘリにでも乗ってクレーター全体を見ている感じだ。


「その場合、中心に島があるのはオカシイけどな」


 隕石なら、真ん中が一番穿いちばんうがたれてなきゃオカシイ。けれどもここは逆に盛り上がってる。そもそもこの世界に隕石なんて降るわけねーし。


「つまりこの島は、意図的に、しかも誰かの手で隔絶された場所、っつーことか……」


 証拠に、陸地には誰がどう見ても砦としか言いようがないデカくて立派な人工物が建っているのだから。

 ケモガール達の家がボロ小屋なら、あの砦は煉瓦れんがとかも使ってるし、城といってもいいだろう。


「しかも四つか……完全に島を包囲してやがるな」


 東西南北に同じ建物があるんだから。これならバカでも島に対して存在していることが分かる。目的が何なのかは絞りきれねーけど、ケモガール達の生活を見た限りじゃあ、手を出したりはしてねーんだろうな。


「となると、監視が目的かな……。どれ、見てみるか」


 手を丸め筒状にして、そこから砦を覗いてみた。人類で一番視力が良いと言っても過言ではない俺だから出来る技である。他のヤツじゃあ数キロ先の人の動きなんて分かるもんじゃあない。


「……装備はまぁまぁだな。フルアーマーのヤツはいねぇけど、皆ちゃんと鎧を着てやがる。にしても、なんか慌ただしいな」


 聞いていた通り、人間どもの装備は十三、十四世紀の西洋騎士と酷似していた。重そうな金属の鎧を身に纏い、ほとんどの兵士がいそがしそうに歩き回っている。


 念の為、他の三つの砦も確認してみた。そしたらどこも同じように忙しそうだった。


「……不味いな。ラニーニャ起きろ! ケモ村に帰るぞ!」


    卍  卍  卍


「クソ……あの変態め、どこへ逃げた?」


 今日はあの方が来る。だから、捕まえておかないとマズイというのに……


「アイツは違うと思っていたが、やはり人間。頭は良いんだな……」


 雄叫蔓チンドラゴラを使って逃げたり、臭いを辿って奴を探してみれば、有るのは排泄物だけ……


「……チッ」


 思い出しただけでイライラする。


「今後のため、足の一本ぐらい折っておくか……」


 折ったらどうなるか想像して、メリーが甲斐甲斐かいがいしく奴を世話する場面が浮かび、やめることにした。


「見つからない……そろそろあの方が来てしまう……なら」


 あの変態はわたしの裏をかくのが上手い。ならばと、このまま奴を探すより直接あの方をお守りしたほうが安全。そう思ったわたしは、村に戻って変態があの方に触れないよう、護衛役をやらせてもらうことにした。


――――――――――


 村に入り、静か過ぎることに気づく。


「……誰もいない、ということは」


 あの方が来ているということ。

 急ぎ、オオババ様の家に向かった。


 暖簾のれんの隙間から、家の中の様子をそっと覗く。

 ……いつも通り十人の村人全員が床に座って、オオババ様の寝台に座る、あの方を見詰めていた。


「あら? フォンちゃ~ん。そんなとこにいないで、こっちにいらっしゃ~い」

「!? は、はい!」


 集会が終わるまで待っているつもりだったのに、見つかってしまった。しかも返事をしてしまったし、どうしようか? わたしが中に入ってしまったら、怖がる者が……


「フォンちゃ~ん。早く、いらっしゃ~い」


 マズイ……あの方を、魔女であるラミエル様を怒らせてはいけない! 


「し、失礼します!」


 意を決して暖簾をくぐると、思った通り、皆の冷たい視線が待っていた。

 ロクオウ姉さんとエル、それともちろんメリーからは嫌なものなんて一切感じないけれど、ゼブミさんを始め他の皆からは痛いくらい冷たい何かを感じてしまう。


「フォンちゃん。こっち」


 ぽんぽんと、自分のすぐ隣を叩くラミエル様。座れ。ということだろう。端を通り、皆の邪魔にならないようにしてラミエル様の元を向かった。

 

「元気だったフォンちゃん?」


 皆の前なのに、ラミエル様はわたしを隣に座らせた途端、頭を撫でてきた。相変わらず、自由な御方だ……


「は、はい……」


 ラミエル様の両手が、わたしの成長を確かめるよう、優しく全身を撫でていく……


「……あぁ……」


 わたしの成長と違い、ラミエル様は出会って何年も経つというのに、見た目が一切変わっていない。美に対して色々いろいろうといわたしだが、この方が綺麗だということは、嫌でも分かってしまう。

 鉄錆びに似た色合いの手入れが行き届いた長い髪。んだ湖のように青く綺麗な瞳。鈴の音を思わせる声。メリーとまた違い、わたしを蕩けさせるような甘いかおり。ずっと触っていたくなる、さらさらな生地の紫の服。その服に覆われた、柔らかくてしっとりしてて、なのに弾力のある大きな胸とお尻。……アイツがいなくて、本当に良かった。

 ……なんで、アイツのことを思い出す? っていうか、思い出したら、ムカムカしてきた……!


「あら? 気付かれちゃった」


 のどの奥からたまに聞こえる、ゴロゴロという音が止まった。それでようやく、わたしは皆の前で、あられもない姿をさらしていることに気付いた!


「うに゛ゃっ!?」


 撫でられたせいだろう。いつの間にかわたしは、ラミエル様の膝の上で、お腹を晒して寝転がっていた!


「しっ、しししし失礼しましたっ!」


 飛び起き、すぐにラミエル様の前にひざまずいた!


「いいのよフォンちゃん。そうなるように私がしたんだからん」

 

 にっこり微笑み、許してくれるラミエル様。この御方は本当に、妖艶という言葉がよく似合う。


――――――――――


「ロクオウちゃん。エレーンが亡くなって新しく村長むらおさになったばかりで悪いんだけど、重大な決断をしてもらうわ」

「は、はい……!」

 

 再びわたしを隣に座らせたラミエル様は、真剣な声音でロクオウ姉さんに詰め寄る。

 

王都おうとで動きがあったの。それも、何か大きな動きが、ね」

「王都で……?」

「そう。それも兵のほとんどがいなくなるような、重大な事が、ね」

「!? 兵のほとんどがって! つまりそいつは!」

「そうね。最悪、また戦争が始まるのかも、ね」


 瞬間、空気が凍り付いた。過去を知らないわたしだけが、普段通りでいられたと思う。


「なんで、どうしてさ!? 私達はこんな島に閉じ込められて、もう……反逆だってする気もないっていうのに!!」

 

 ダン! と、ロクオウ姉さんは強く床を叩いた。


「……戦い続けている者は、ずっといたわ。今だってきっとそう。だから、反逆者がどうとか、それが決め手ではないのでしょうね」

「なら何が!?」

「……ごめんなさい。それは、分からないの」


 相手はラミエル様だというのに、ロクオウ姉さんは敵意を剥き出しに詰め寄っていく。

 苦しそうに、悔しそうに歯を食い縛り、身体を震わせるロクオウ姉さん。こんなに感情をあらわにしている姉さん見るのは、初めてだった。

   

「あの……ラミエル様? それで、決断と言うのは何なんでしょうか?」


 少し、沈黙が続いていた。その沈黙を破ったのは、恐る恐る手を挙げてきた、メリーだった。


「あら? メリーちゃん…………少し、雰囲気変わった?」 

「ほえ?」

「……皆年頃だし、そういうこともあるわよね……。ううん、何でもないわ。それで、決断の話だったわね」

「はい」

「……簡潔に言うと、ココを出ていくかどうするか。っていうことよ」

 

 全員がざわついていた。でもそれより、わたしの気持ちの方が、ざわついていたと思う。


「ココを……? 島を、オオババ様が眠るこの島を、出ろというのですか……?」


 今度は、わたしが狼狽うろたえる番だった。


「フォンちゃん……」

「だいたい、オカシイじゃないですか……? この島にいる限り、人間は手を出さない約束だったのではないのですか? 人間と獣人が交わした大事な約束だと、オオババ様は仰っていました。それが、今更何故……」

「フォン……」


 そっと、両手で顔を覆ってしまった私を、ラミエル様が抱き締める。


 その時だ、


「アローハー!」


 入り口から、今一番来て欲しくないヤツの声が聞こえてきた――


     卍   卍   卍


 水着美女が密室に集まっている光景というのは、堪らないものだと初めて知った。

 テレビなんかの映像では何度も見たことが有った。だが、実際と画像とでは、こんなに差があるのか! と、驚きを禁じ得ない。

 密室で水着美女達と出会う。するとまず、画面では味わえない美女特有のフレグランスな香りが鼻孔を刺激してくる。化粧っ気なんてないはずなのにね! 次に来るのは視界。平面な映像では決して見れない、たくさんのリアル凹凸! …………堪らない。堪らなすぎる! 下半身にはどんどん、色んなものが溜まっていくというのに……!


「はっ! イカンイカン、そうじゃない!」

 

 なぜか元DBの家に集まっていたケモガール達。さっきち○こ岩の頂上から見てきた光景を伝えるため、そこそこ急いで村に帰ってきてみればこの誘惑である。全員で俺を視姦しかんしやがって、ん? この場合、視男しだんか? まぁいいや。あとで馬面以外全員抱いてやる! 

 だが、今はダメだ。今は伝えることを伝えなきゃいけねぇからな! 


「なんで全員集まってんのかは知らねーが、都合が良いや。ここを取り囲んでいる奴らのことで話がある。そのまま全員よーく聞いて、く……れ……」


 水着美女達の誘惑は断ち切った。胸の大きさも可愛さもより取りみどりで、断ち切れたのはホントに奇跡に近いと思う。だというのに……水着美女を上回る、こんな誘惑が待っているだなんて……


 ――乳神ちちがみ様がいた。


 全身を紫の衣でほんのり包んだアカン存在。乳神様がそこに。

 乳神様がダメなら、おっぱ○お化けでもいい。とにかくそんな乳の化身が、DBのボロベッドの上で女豹と抱き合っていたんだ――


「……ジーザス」


 なんだあのけしからん乳は……牛か? 牛の獣人なん? なんで重力に逆らってあんなに張ってんの? 普通垂れるでしょ? なに? 固いの? 未知の物質で出来てんの? ねぇ? 


「オ゛イ゛? キサマ、何をしている……?」


 女豹の声に、意識が反射的に目を覚ます。


「プルプル、俺はっ……何を……?」

 

 自分が怖い。気がつけば無意識で移動を完了し、乳神様の前に立って両手をワキワキさせていたのだから……

 距離にしてあと五センチ。女豹が声を掛けてくれなければ、確実に揉んでいただろう。


「ふぅ……助かったぜ女豹。あと少しで、俺は卑劣なレ○プ犯になるところだった」

「は? キサマは元から卑劣だろうが?」


 危ない危ない。これだけ魅力のある乳だ。身体が勝手に反応するのは仕方ないが、レイ○はいけない。だって、これ程の逸材とは今後もよろしくやっていきたいからね。一度切りの関係なんて、有り得へんやろ。


「という訳で乳神様。揉んでいいですか?」


 キョトンと、エロそうな垂れ目で見つめてくる乳神様。なぜか少し呆けている。早速俺に惚れたのだろうか?


「よし、死ね」

「マウエ゛!? カラノ、ユガッ!」

  

 揉もうとして少し丸まっていたのがよくなかった。女豹の足が丁度心臓部に当たり、真っ直ぐ天井に向かい衝突。落下した。


「申し訳ございませんラミエル様! すぐにこのゴミを捨ててきます!」

 

 乱暴に腕を掴まれ、身体が浮いたところで、

 

「……待ちなさいフォン」


 乳神様に止められた。


「その子が何者でどこから来たのか、すぐに説明なさい」

 

 若干じゃっかん雰囲気が変わった乳神様だったが、そんなことはどうでもよかった。んなことより乳神様を口説いて、夜のデートコースを考えるのに頭がいっぱいだったから。 

ヤバイ! あの乳は反則でっせ!

魔女とかなんか気になるキーワードがあったけど、どうでもいいよ! 

アレはヤバイ! 百センチを越えている……! なのに垂れてない! どういうこっちゃ!? 

見た目も美人だし……ああ! なるほど! 魔女って美魔女とかそーいう歳の 


次回「そして事は動き出す」


アレ? 乳神様? どーしたんすか? って、ギャアアア!! やめて! 漢として死んじゃうぅぅ!!

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