第0話 創世神話
「本日付で汝らを≪守護霊獣≫より解任する!」
『知ってた』
「あ、やっぱり?」
「まあ、そりゃあ予想もついてたからな」
「そうですの、ばればれですの」
「ま、まあそういうことで君たちは今日から自由だから。
手伝ってくれたお礼に、前に聞いていたものをあげといたから」
「そうか。んじゃ、俺は早速転生してくるわ。来世で会ったら「よろしく」な」
『ちょっとまて、逃げんなーーー』
◇ ◇ ◇
―――≪創世神話≫それは、かつて世界が生まれたころ話である。
初めに世界が生まれ、世界は自分を管理する≪管理神≫と管理神を助ける≪眷属神≫を産み出した。
しかし、神を創ると同時に歪も産まれてしまった。
その歪から、神たちを亡き者にし、世界を作り変えようとする≪邪神≫が産まれた。
...そして、残りの歪からこの世界を気ままに生きる≪原初≫が産まれた。
海龍、不死鳥、吸血鬼、天使、悪魔...etc
さらに、原初と管理神たちは様々なかたちで新たに生物を産み出した。
竜、鳥、アンデット...そして人
自由な存在として、眷属として、時には眷属たちの糧として。
邪神はそれらを模倣した≪悪神≫を産み出した。
そして、管理神率いる善神グループと邪神率いる悪神グループ両軍は世界の覇権をめぐり、衝突した。
原初たちは最初は関わらなかった。彼ら束縛を嫌い、どちらにも与しなかった。
それでも、管理神たちの説得と、邪神の目的が世界の造り変えだと知ると、その重い腰を上げた。
なんだかんだ言っても、彼らはこの世界が好きだったのだ。
原初たちの参戦により、押されていた善神グループは押し返し、ついに邪神たちを封印した。
そして世界には平安が訪れた。
邪神たちが創り上げた、魔物を産み出すシステムは世界に根付いてしまったが、人々は逞しく、魔物を糧としている。
この戦いのあと、神と原初しか使えなかった魔法をそれ以外の存在が使えるようにしたが、そのせいで属性が不安定になってしまった。
原初たちは、管理神から≪英雄≫の称号と≪守護霊獣≫の任を与えられ、各々の属性が安定することに努めた。
そして属性が安定し、原初たちはその任を降り、それぞれ自由気ままに暮らした。戦友とともに暮らすもの、辺境に館をたて、眷属とそこにすむもの、そして、転生するもの。
――――――――――――――――――――――――――世界の始まりからここまで約1万年。これが創世神話である。