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強行突破と新たな国

9話目です!


アルレディア王国からの脱出に成功したカケルたち一行。無事に森を抜けられるのか?

俺たち三人は恐るおそる後ろを振り返った。すると、大きな影が重い腰をあげていた。


「ぶおおおぉぉぉ!!」


ホースなんとかが大きな鳴き声をあげて前足で地面をガリガリしている。

鳴き声が合図だったかのように、これまでの静けさとは打って変わって周囲から魔獣の足音と近づいてくる気配を感じる。


「や、やばくないかこの状況?」

「このままじゃ囲まれるのう」

「囲まれてもわたしとエルフレッドが倒すから平気よ!」

「!?それ俺だけ死ぬ時のパターンじゃん!?」


俺の死亡フラグが立ちつつあった。


「仕方ない、強行突破じゃ」


そういうとエルフレッドはホースなんとかの方へ駆け出し、杖を振りかぶると、


「ゴオラァ!」


魔獣目掛けて振り抜いた。すると、ゴギャッという鈍い音を立てながら命中しホースなんとかは絶命した。言っていた通りワンパンで倒した。


「全力で森を抜けるのじゃ!」


エルフレッドの掛け声とともに俺たち三人は全力で走り出した。

30分くらい走っただろうか?気がついたら森を抜けていた。体力がないことに定評がある俺にとっては、これだけ長い距離を走れたことが不思議であった。


(死に瀕して眠れる力が覚醒したのか?)


ただ30分走れただけにも関わらず大袈裟である。


「もう森を抜けたから平気じゃ」

「追ってこないのか?」

「魔獣によりけりじゃが、あの森にいる魔獣は森の外までは追ってこんよ」


よく分からないがもう大丈夫だとのことだ。ちなみにエルフレッドとミラはまったく疲れた素振りを見せていない。


「このまま進めばシルクベスタに到着じゃ」

「衣服の都だわね!楽しみだわ!」

「やっと着替えられるー!」


年頃の女の子だからかミラも服に興味深々のようだ。こうして俺たち三人は、意気揚々とシルクベスタに向かっていった。





陽が登りはじめ、辺りが明るくなり始めた頃、前方に都市が現れた。白く丸い屋根の建物がたくさん建っており、アルレディア王国よりも大きな都市である。そう、ここがシルクベスタらしい。


「まず宿をとって、ちょっと休憩してから街に出るかのう」

「そうだな、夜通し移動だったからな。てかシルクベスタって簡単に入れるの?」

「それは心配せんでも平気じゃ。アルレディアは閉鎖的な国じゃが、シルクベスタは貿易も盛んじゃから問題ないのじゃ」

「なるほど」


そんな会話をしていると国の入口に到着した。入口には衛兵らしき人物がいるのだが、手持ち無沙汰からか欠伸をしていた。


「旅の者なのじゃが」

「ギルドカードの提出だけお願いします」


なんとも事務的な感じだ。あまり目を通しているみたいでもなく、すんなりと入国出来た。

まだ、早朝であるため人通りは少ないが、中には荷物の搬入を行っている人々もいた。

エルフレッドは宿がある場所を知っているようで、俺たち三人は路地を進んでいった。すると、ベットのような絵柄が書いてある看板がありその建物へと入っていった。


「部屋を二つほど取りたいのじゃが、空いておるか?」

「まあ、空いてなくはないのですが...今からですか?」

「ちょうど先ほどこちらに着いてのう、休みたいのじゃが」

「すぐにご用意いたします...」


宿の従業員らしき人物は、少し迷惑そうな感じではあったがすぐに部屋を用意してくれた。

部屋は2階にあるようで、階段をのぼりながら


「そうだ二部屋って、ミラと男二人だよね?」

「違うぞ、お主とミラが一つの部屋じゃ」

「え!?なんで!?昨日会ったばかりだよ!?」

「それならわしも一緒ではないか。ミラもよかろうな?」

「エ、エルフレッドが言うならしょうがないわ!」

「おいおい...」


部屋につくとベットが二つあった。一つじゃなくて俺はホッとしていた。部屋を見渡すと、やはり照明は魔光石であった。突然泊まったにしては部屋も広く快適そうだ。

そんなことを思いながらふとベットの方に視線を戻すといつの間にかミラが眠っていた。それも爆睡である。きっと一睡もせず移動したため疲れ果ててしまったのだろう。しかし、俺はと言うと、監獄で中途半端に眠ってしまったためどうも眠れなさそうであった。しかも、まだ知り合ったばかりの女性の近くで寝るのにも少し抵抗があった。


(そうだ、少し早めに街の方に行って服でも見てるかな)


そう思い、俺は一人宿を後にした。





宿を出発してから少し歩いたところに市場らしき場所があった。時間が早すぎるためか、ほとんどのお店が準備中のようだ。


(さすがに来るの早すぎたか...。とりあえず適当に時間潰すか)


そう思いながら俺は街を散策していた。

辺りを少し歩いていると、いきなり背後から声をかけられた。


「そこの兄ちゃん、その服どこで買ったん?」

「え?え?自分ですか?」


振り返ってみると、ターバンを頭に巻き日焼けをした少年が立っていた。首からネックレスのようなものをかけている。


「そうやで、珍しい格好やからどこで買ったのか気になったんよ」

(関西弁?どうしよう、ここは素直に答えるか...)

「これは地元の服屋で買った―。」

「兄ちゃんやっぱり敵だったんやな」


そう少年が言うと目の前から消えた。いや、正確に言うと突然背後に現れたのだ。俺は驚いて何も出来ないでいると、少年は懐から出した短剣で俺の背中を切りつけた。

俺は、いきなりの超常現象と切りつけられたショックと痛みでその場にうつ伏せで倒れてしまった。


(え、なんで...なに?まさかこんなところで殺されるの?)


俺は倒れながら少年の方を向いた。


「兄ちゃんには悪いんやけど死んでもらうよ...。そうしないと、そうしないと母ちゃんに―。」


そう言いながら少年は、目に少し涙を浮かべながら、僕ならできる僕ならできると独り言を繰り返していた。

すると突然、少年を遮るかのように空から来訪者が現れた。


「大変なことになっているようじゃのう?」


頼れるオジサンことエルフレッドがローブを身にまとい杖を担いで降ってきた。

読んでいただきありがとうございます!


そろそろ物語が動き始める予定です。

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