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瞬間移動と魔法

10話目です!


突然見知らぬ少年に切りつけられたカケル。

果たしてどうなるのか!?

「大変なことになっているようじゃのう?」


そんな呑気な声とともにどこからとも無くエルフレッドが降ってきた。少年は突然の出来事に少し動揺しつつも、短剣を構えて牽制していた。


「な、なんなんお前?まさか、お前もなんか?」


少年は何やら意味不明な質問をしているが、エルフレッドは何もせずに少年を睨んでいた。


「邪魔するならお前も死んじゃえ!」


そう言うとまたしても少年が元いた場所から消えた、と同時にエルフレッドの斜め後ろに現れ、短剣を胴体目掛けて突き刺した。しかし、


「え?なんで...」


短剣は少年の意思と反してエルフレッドには刺さらなかった。どうやらエルフレッドのローブは防刃素材で出来ているようだ。一瞬の出来事で呆気に取られていたエルフレッドだったが、すぐに反撃に出た。

担いでた杖を少年の足元に向けて薙ぎ払い少年を転ばせると、少年の胸元に杖をめり込ませて、


「本当に殺したかったら、首とかの急所を狙うんじゃったな」


と言った。少年の攻撃もそうだったが、エルフレッドの動きも一瞬すぎて少年はなす術なしと言った具合だ。

少年はエルフレッドの凄みのこもった言葉を聞いて、殺されるとでも思ったのか突然泣き出した。


「僕は、僕はこんなことしたくなかったんや...。ただ...母ちゃんに―。」

「なにか勘違いしてるようじゃが何もせんよ。じゃが何でこんなことしたのかは聞いとかんとのう」

「うぅ...え?オジサンも兄ちゃんも敵じゃないの?」

「敵ではないぞ、それとわしはオジサンじゃなくてエルフレッドじゃ」


そんなデジャブのようなやり取りをしていた。


「でも兄ちゃんのこと殺そうと...」

「平気じゃ」

(え?)

「大袈裟に倒れておるが軽傷のようじゃしすぐ治るのじゃ」

(え?軽傷なの!?)

「それならいいんやけど...」

「いやいや、よくないでしょ!これメッチャ痛いからね!?」

「ほれ、元気じゃろ?」

「せやな!」

「おーーーーーい!」


俺は被害者のはずなのに全然ケアをしてもらえず、それどころか大袈裟呼ばわりである。しかし、そんなやり取りのお陰で少年の好戦的な態度はなくなっていた。





俺たちは一度宿に戻ることにした。ちょっとした戦闘になったがアルレディア王国の時とは異なり、あまり騒ぎにはならなかった。シルクベスタは国外から訪れる人が多く、こうした小競り合いは日常茶飯事らしい。

俺は宿に戻り、自分の部屋を覗いたがミラはまだ爆睡中だった。そのため俺たち三人はエルフレッドの部屋に集まった。


「なにから話してもらおうかのう」


エルフレッドはベットの上に、俺と少年は床に座っている。俺は胡座をかいているが少年だけ正座スタイルだ。この構図だけ見るとまるで説教をされているみたいだ。


「まずは名前じゃね?なんて名前なの?」

「えっと、小田 優太です」

「え?オダ ユウタってきみ日本人なの?」


俺は少年の名前を聞いて驚いた。なにせ、明らかに日本人の名前だったからだ。


「そうやで。やっぱり日本を知ってるってことは、兄ちゃんも参加者なんやろ?」

「参加者?何のことだ?」

「とぼけてももう意味無いやろ...って本当に何も知らないの!?」

「さっぱりなんだが...」

「じゃあ首元見せてよ!」

「??まあいいけど...」


カケルは布と服をずらして首元を見せた。もちろん何もない。


「本当や...。でもこんなことってあるの?」

「どういうこと?」

「えっと、参加者だったらこういうネックレスを着けてるんやけど」


そう言ってユウタは首にかけられたネックレスを見せてきた。羽のようなデザインのネックレスだった。


「つけてないってことは、参加者じゃあらへんってことやな」

「そ、そうなの?てか、さっきから言ってる参加者って何?」

「知らないならええねん。それよりこのオジサン何者なの?」


これまで会話に参加せずに、話を聞いていただけだったエルフレッドの話題を出してきた。


「わしはエルフレッドじゃ。こやつとはアルレディア王国で知り合ってのう、じゃがこやつが捕まったから脱獄手伝って逃げてきたのじゃ」

「えーー!?兄ちゃん犯罪者なん!?」

「ち、ちげーよ、冤罪で捕まったんだよ」

「よく分からんけど...」

「まあいいや、ところでさっきの瞬間移動?みたいなのって何だったの?魔法とか?」

「ああ、あれね」


そう言うと正座していたユウタが目の前から消えた。すると背後から肩を叩かれた。


「うわお」

「驚いた?」


変な声をあげながら振り向くと、つい先程まで目の前にいたユウタが真後ろにいた。


「これはこのネックレスの力らしいんやけど、今のところ見える範囲しか移動できへんねん」

「いやいや、十分すごいけど!?」


どうやら本人も原理は分かっていないようだ。


「ちなみに魔法とかって使えるの?」

「使ってるのは見たことあるけど使ったことはないねん」

「なるほど。エルフレッド、魔法ってどうやったら使えるの?」


俺は、この世界の住人であるエルフレッドに聞いてみた。


「魔法を使うには、主に三種類の方法があってのう、一つ目が魔法陣を介した行使じゃ。これは魔法陣に自身の魔力を流し込むだけじゃから魔力さえあれば誰でもできるのじゃよ。じゃが、魔法陣は対応する一種類の魔法しか使えないし、魔力が足りないとそもそも使えないのじゃ。二つ目が詠唱による行使じゃ。使いたい魔法の発動に必要な、言葉を唱えることで魔法を使う方法じゃな。これは感覚を掴むのが非常に難しくてのう、皆が使えるわけではないのじゃが複数使えるようになると魔法陣より便利なのじゃ。そして三つ目が魔法アイテムじゃ。これは、その物質自体に魔力を有していて特定の魔法が使えるという代物じゃ。例えるなら、自身の魔力を必要としない魔法陣のようなものじゃな。魔法アイテムによって発動できる魔法は強力なものが多いのじゃが、そもそもほとんど存在しないのじゃ」

「なるほど...てことは魔力のない人は基本的に魔法を使えないの?」

「そうじゃな」

「ちなみに魔力の量ってどうやって決まるの?」

「家柄や環境も影響するかのう、あとは使うか使わないかとかじゃな。まあ、基本的に何もしなくても歳とると増えるのじゃがな」

「ふむふむ」

(つまり、自分に魔力がないのは異世界から来たからってことか...てことはユウタも魔力がないのか?)

「ユウタ、ギルドカード作った時って記録玉どうだった?」

「え、なんやそれ?ギルドカードなんか作ってへんよ?」

「え?作ってないの?」


そう言いながら俺はエルフレッドの方を見た。


「ギルドカードを作るのが義務付けられてるのはアルレディア王国ぐらいじゃよ。そもそも冒険者をやるか、国外に出ない限りあまり使わないからのう」

「そうなのか、じゃあユウタは元々シルクベスタにいたのか」

「ちゃうで、元々は違う国にいたんやけど最近この国に来たんや。入れたんはこの力のお陰や」


ネックレスを見ながらそう言った。どうやら衛兵の目を盗んで入国したようだ。


「そういうことか。エルフレッドって今魔法陣って持ってるの?」

「持っておるが、それがどうしたのじゃ?」

「ちょっと確認したいことがあって借りたいんだけど」

「いつかみたいにならないならよいぞ」

(そういえばこっちに来た時に、エルフレッドの魔法陣を一つおじゃんにしちゃったな)

「その節は申し訳ありませんでした」

「ほれこれじゃ」


エルフレッドは模様の描かれた一枚の紙を取り出し渡してきた。


「これって何の魔法のやつなの?爆発とかしないよね?」

「当たり前じゃろ。これは水をつくる魔法のものじゃ」


そう言いながら魔法陣の上にコップを置き、手を添えて呪文を唱えた。


「ボルビック」


するとコップの中に水が満たされていった。呪文に何か聞き覚えがあったが思い出せなかった。エルフレッドは、水の入ったコップを手に取り飲み干すと、


「これが魔法じゃ。ちなみに呪文は唱えなくても魔力さえ流せればいいのじゃがな」


とドヤ顔で言ってきた。てか呪文はいらないのね。

読んでいただきありがとうございます!


やっと物語が動いたと思います!

魔法の説明とかが、分かりにくいようでしたらすみません!

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