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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

狂戦士シリーズ

狂戦士とミノタウロスの戦い

作者: 陰猫(改)

古巣の設定を引っ張り出しました

読んで頂けたら幸いです


神話の時代


一人の屈強な男がいた。

眼前には荒れ果てた荒野と牛の頭を持つ巨体ーー神話の怪物、ミノタウロスがいる。

「ヴオオオオオオオオオオオォォォーーッッ!!」

ミノタウロスは男に気付くと雄叫びを上げながら突進して行く。


そんなミノタウロスに男はーー


「うおおおおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」


同じく突進してその頭をミノタウロスの頭部へと轟音を響かせながらかち合わせる。

常人ならば、ミノタウロスから繰り出される突進を避けようとするであろうにあろう事か男はミノタウロスを真っ正面から受け止めたのである。

普通ならばそんな事をすれば死亡は免れないが、男はそれに屈する事なく、それどころかミノタウロスの頭に額を合わせ、微動だにせず神話の怪物とタメを張っていた。

額から滴る血はどちらのものか……。

長時間の睨み合いの後に行われたのは拳の応酬であった。

ミノタウロスが男の顔面を殴れば、男はミノタウロスのボディーを殴り、男がミノタウロスの顔面を殴れば、ミノタウロスはその頭部を殴る。防御を一切行わない攻めの応酬。

恐るべきは神話の怪物とタメを張る男であろうか。

ミノタウロスの一撃一撃を捌く事さえもなく、踏み止まり、逆にミノタウロスに対して拳を繰り出しているのだから。


男は常人ではなく、所謂狂戦士と言われる部類であった。


ミノタウロスと男の拳が真っ向からぶつかり合い、再び轟音が周囲に響き渡る。先に後退ったのはミノタウロスの方であった。

これまでミノタウロスは人間の騎士や戦士、狩人と言った猛者を倒して来た。だが、眼前の男はそのどれとも違う。

後ろに退いたミノタウロスに男の飛び膝蹴りが命中する。

衝撃でミノタウロスの左の角がへし折られた。


ミノタウロスはかつて無い戦慄を覚える。

目の前の男はかつて対峙したどのタイプにもない戦士であると。

ミノタウロスは再び雄叫びを上げ、男に突進する。今度は男が後ろに退いた。


「うおおおおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」

「ヴオオオオオオオオオオオォォォーーッッ!!」


一人と一匹は互いに拳を繰り出す。

先に相手を捉えたのはリーチ差でミノタウロスであった。

渾身の一撃に男の額が割れ、一筋の血が伝う。


ーー勝った。


ミノタウロスは勝利を核心し、その牛の口から笑みが零れる。


だがーー


「うおおおおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」


男は前進し、ミノタウロスのがら空きになったボディーに拳を叩き込む。肋骨が折れ、口から吐血するミノタウロス。


この一撃は序章に過ぎない。


男の拳が弧を描き、空を切り裂いてミノタウロスの顔面にめり込む。続いてリバーブロー、こめかみへの一撃。更に追い討ちの回し蹴り。

さしものミノタウロスも堪らず、数歩下がり、その頭を左右に振って肋骨の折れた箇所を押さえて膝をつく。

その脳天に男の踵落としが繰り出され、ミノタウロスは頭から地面に叩き付けられる。

男はそんなミノタウロスの頭を掴むと何度も地面に叩き付けた。

その巨体が動かなくなるまで何度も何度も。

両手がミノタウロスの血で染まっても何度も何度も。


何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……。


やがて、飽きたのか男は完全に動かなくなったミノタウロスの頭から手を放すと大きく息を吐き出し、額を押さえて膝をつく。

だが、男の本能は治まらない。

やがて、男は立ち上がるとフラフラとした足取りで前へと進み始める。狂戦士である彼に安らぎはない。


次なる戦いを求め、男はその場を後にした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] Twitterのリプありがとうございます! 戦闘描写がとても好きです( *˙ω˙*)و グッ!
[一言] 試しに拝読しました。 ミノタウロス相手に素手で戦う男、 まさに凶戦士ですね。 シリーズ化されているのですか。 他にも魔物が……
[良い点] 「うおおおおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」 「ヴオオオオオオオオオオオォォォーーッッ!!」 しかセリフがないというところが、パンチがありました。 二人とも凄いですね。
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