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織姫と彦星  作者: 京衛武百十
7/10

引き裂かれそう…

高校は、織姫と同じところに行った。正直、勉強には身が入らなくて本当にギリギリで辛うじて織姫が選んだ学校に滑り込んだ形だった。


それでも彼女と同じ学校に通える喜びと、もう部長と織姫のことを気にしなくてもいいということで私はすごくホッとしてたとも思う。


だって、部長が通う学校はここよりずっとレベルの高い進学校で、恋愛なんかにうつつを抜かす暇もないって話だったし。実際、私が連絡を取らないようにしたら向こうからも連絡が来なくなったし。だからそのまま自然消滅って形にできたんだ。


さあこれで、織姫との関係は進展しなくても余計なことで気を揉む必要もなくなったと思ってた。


思ってたのに……


なんで…?


どうしてこうなるの……?


高校でも織姫と一緒に美術部に入ったら、そこにいた先輩に、また織姫のタイプそのままの人がいたんだよ。


しかも、フリーで。


一目見た時に嫌な予感はしてた。中学の時の美術部の部長と同じ空気感を持った人だった。決してイケメンって訳じゃないのに嫌悪感を感じない、穏やかで物腰の柔らかい人だった。見た目だけで選ぶような女の子は選ばないだろうけど、織姫ならって感じの……


案の定、入部してから一ヶ月も経たないうちに織姫は先輩に対して熱い視線を向けるようになってた。


どうしよう…


どうしよう……


もしここで中学の時と同じことをしたら、今度こそ織姫に嫌われるかもしれない。いくら彼女が優しくても、一度ならず二度までもってなったらさすがにおかしいと思うかもしれない。


そうやって私がオロオロしてる間にも、織姫は先輩に話しかけたりしてた。そんなのを見せられると、気が気じゃなかった。


それどころか、休憩時間に二人きりで話しているところを見た時、私はもう頭がおかしくなってたんだろうな。


予鈴が鳴って織姫と先輩がそれぞれの教室に歩き出したのを見届けると、先輩の後を追って、


「あの…!」


って声を掛けてしまってた。


その後はもう、中学の時と全く同じ。暇を見付けては先輩のところに行って、言ったことも先輩の前で見せた態度や仕草も、あの時と殆ど同じ。それなのに先輩は、


「ありがとう。友達からということでよかったら……」


と答えてた。


私…なにしてるんだろう……


いっそ断ってくれたら、もしかしたら織姫のことを諦められてたのかな……


先輩に『友達からということでよかったら』と言われた瞬間、ものすごい自己嫌悪で頭の中がぐちゃぐちゃになって、もう、ボロボロと零れる涙を拭くこともできなかった。


「わ…わわ、彦星さん…!?」


たぶん、先輩には嬉しくて感極まって泣いてしまったように見えたんだろうな。


その時の先輩の優しさに、私は本当に体が引き裂かれるような気分になってたのだった。



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