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織姫と彦星  作者: 京衛武百十
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織姫

織姫と彦星が、一年に一度、七夕の日にしか会えない恋人だなんて、誰が決めたんだろう……


どうして織姫が女性で、彦星が男性じゃないといけなんだろう……


愛し合ってるなら、別にどっちでもいいじゃん……


なんて思ってても、現実にはそれはあまりにも分厚くて重い壁だってことを、私は何度も何度も思い知らされてきた。


ねえ、どうして気付いてくれないの…?


私は、あなたを愛してるんだよ…?


織姫……




どうして私は、<女>なんだろう……


<彦星>なのに、どうして……








織姫と出逢ったのは、たぶん、小学校に上がったばかりの頃だと思う。クラスは違ったけど、明るくていつもニコニコしてて、あの頃からちょっぴりぽっちゃりさんだった。


勘違いしないでほしい。太ってるっていう意味じゃないの。なんて言うか、こう、柔らかそうであったかそうで、ふわふわしててって感じなの。


私は、たぶん、そんな彼女のことを一目見た時から心奪われてたんだと思う。


だけど私の方からは話しかけたりとかはできなかった。誰とでもすぐに打ち解けて親しげに話しができる彼女と違って、引っ込み思案で臆病で、人と上手く会話ができないタイプだったから。


でも、私は、彼女のことを見てるだけで幸せだった。彼女に会いたいから学校に行けた。学校は嫌いだったけど行けた。彼女に会いたかったから。


なのに、二年生になってすごいチャンスが巡ってきた。彼女と同じクラスになれて、席が隣同士になった。そしたら彼女の方から話しかけてきてくれた。


「わたし、わしざきおりひめ。あなたは?」


「ひこぼし…あるた……」


「ひこぼしちゃん?。じゃあ、おりひめのわたしとカップルだね!」


その時の彼女の笑顔は、今でも忘れられない。胸がどきどきして、顔が熱くなって、溶けてしまいそうな、太陽みたいな笑顔だった。そして、それが決定的だった。


私の心は完全に彼女に奪われてしまって、彼女のものになってた。もう、他には何も要らないっていうくらい……。




彼女と私はすぐに仲良くなれた。と言うか、彼女が私と仲良くしてくれたって言った方が正しいかな。積極的になれない私をいつも引っ張ってくれた。励ましてくれた。手を握っててくれた。彼女について行ったら、私は何とかなった。クラスの他の子ともそれなりに打ち解けられた。


私みたいな引っ込み思案で暗くてネガティブなタイプなんて、すぐにクラスでイジメられたりする格好の的だったと思う。でもいつも彼女と一緒にいたから、いつも彼女がいてくれたから、私はそういうのから救われてたんじゃないかな。


だから織姫、私、あなたには感謝しかないんだよ……。



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