マリッジ◎マリッジ ~愛にもどかしく
――マリッジ ◎ マリッジ
あなたと私。
『二人の結婚指輪物語』
本当にあった愛の話。
あなたの優しさに触れられて、私は幸せです。
* * *
私の指輪とあなたの指輪。
お日さまに重ねてかざしてみると多角形。
綺麗だなっていつも見ていた。
あなたが、私が好きなのを選べばいいよとすすめてくれた指輪。
秋田のジュエリーショップで買った、マリッジリング。
一人に一つ。
二人で二つ。
初恋彼氏とのバージンマリッジ。
大切な大切な宝物。
肌身離さず、愛を感じたい。
* * *
――結婚十年目で、大事件が。
ごめんなさい。
私の指輪、うちの中でなくしたみたい。
ぽろぽろぽろぽろ泣いた。
俺には、直ぐには無理だけどさ。
又、マリッジリングを買うよ。
指輪で別れたくない。
俺たちの方が、大切だよ。
とても申し訳なかった。
ずっと連れ添うからとのあなたの声にうなずいた。
切なくなって、泣きながら。
あなたの胸に包まれた。
私の引っ越しが多くて、生活も大変だったね。
その時は、東京にいたっけ。
東京のジュエリーショップは、秋田とは違い、キラキラとしていた。
でも、なくした指輪とは、比べたくなかった。
愛に重さはないから。
秋田も東京も変わらないよ。
それになにより、あなたの想いの方が、輝いていたよ。
胸が締め付けられたわ。
* * *
新しい指輪は、重ねてみると二重まる。
太陽に透かしてみなくても、すぽっとまるに入ってしまうわ。
あなたの指は、節が太くて指輪も大きいまるなの。
私は細い指で、ジュエリーショップの方に驚かれたわ。
少し豪華になりました。
私のには三つのメレダイヤ。
こんなに素敵なもの。
最初の指輪より倍の高さになったのに、どうして買ってくれるの?
私が初めての妊娠をしているから?
ストレスのないように。
もし、お別れのことがあっても、涙しないようになの?
それに、あなた……。
どうやって苦労して働いてくれたのだろう。
涙しかないよ。
* * *
もう、お互いに指の形に合ってしまったね。
こうして年輪を重ねていくのね。
あなたと私、なじみゆく。
新しい指輪にしてから、絶対になくさないようにしている。
中が見えるボトルにしまっているの。
なくした指輪と今ある指輪。
二つの指輪、合わせて二十数年経つね。
二人合わせて四十数年か。
ありがとう。
あなた。
あなた。
ありがとう。
これからもよろしくね。
Fin
――特別な日におくる。
* * *
私は、あなたのお蔭で、結婚記念日をまた一つむかえられました。
今度こそ、なくさないで、共に髪に霜の降るまで仲のよい夫婦でありたいです。
古き恋人は黄金なり。
とこしへの愛は変わらず。
真白 小雪
この物語は、2017年の夫と私の結婚記念日に向けて書かれたものです。
あなたは読まないかもしれないけれど、そっと贈りたいと思います。