四話
物語が動き出します。
家の玄関前に着いたとき中で騒ぐ音が私の耳を叩いた。
「あぁまたか」
いつものことだった。何故お父さんとお母さんが喧嘩をしてるのか私には分からなかった。ただ決まって家に帰ると玄関前からなんとなく嫌な空気と騒がしい音が私を不愉快にさせる。
このまま、玄関前で立っていても仕方がないので私は裏口からこそっと泥棒のように音をたてず家に入り裏口そばの階段から二階に登った。
「大体あなたの稼ぎが悪いからあの子を私立の学校に通わせられなかったのよ!」
「私立の学校に行こうがいかまいがそれとあいつが揉め事を持ってくるのは別問題だろ!」
いつも両親が喧嘩をする理由は私のことばかり。
愛されていると言えば聞こえは良いが私には私のことを理由にして早く別れたいだけに見える。
それに比べておじさんはなんて素敵ななことか。
怒鳴らないし、落ち着いてるし、何より私を認めてくれる。
母さんは私にいつも期待ばかりする。
父さんは、私がなにか問題を起こすと全て私が悪いかのように言う。
おじさんは、昔言った。
「君がよく考えたうえで正しいと思うのならそれに間違いはないよと」
それなのに父さんは全てお前が悪いと決めつけてくる。
こんな、家にいたくない。
おじさんの子供になりたい。
でも、それが出来ないことは子供の私でも分かる。だからせめておじさんには元気な私で、おじさんが綺麗だと思ってくれる私でいなきゃ。
私はノートとペンを取りだし明日のおじさんとの会話を楽しみにしながらおじさんの言葉を忘れないように日課である日記をつけ始めるのだった。