7話
大変遅くなりました。デスマーチならぬ、デススタディをしていました。
桜ちゃんと僕は公園のベンチの上で二人座っていた。
あれから、どうにか仲直りしたもののどうしても気まずさは残ってしまうもので、僕と彼女はただ無言でベンチの上で石像の如く座っていた。
気まずさに耐えかねた僕が口を開いたのはあれから20分ほど経った後だった。
「そういえば?もう夕方だけども帰らなくて大丈夫かい?両親が心配してると思うけど?」
僕の質問に桜ちゃんは眉と瞼をぴくりと動かし、「大丈夫だよ」と元気に答えた。
明らかに怪しかった。正直桜ちゃんが何を隠していようと僕には関係のない話だった。でもこれは彼女の家族に関わる話で、まだ小学生の彼女がそれを隠すということは何かしらの事情があるはずだった。
「桜ちゃん、家で辛いことでもあったかい?」
こういうのは遠回しに聞くほうがかえって面倒になることが多かった。なので僕はあくまでもストレートに彼女に聞いてみることにした。
「何もないよ?お母さんもお父さんも優しいし、どうしてそんなことを聞くの?」
恐らく彼女の両親に関わることだろうと直感で判断した。あくまで彼女は何かを隠している。それを知られると自分に困ることがあるかもしれないから。彼女は必死で何かを悟られないようにしているのだ。
「いや、心配になってね。両親が心配するといけない。急いで帰ってあげなさい。」
彼女は静かにベンチから降り、「さよならおじさんと」僕に言い帰って行った。
言い知れない不安感が小波から大波に変わる予感を感じた僕は携帯を取りだし電話をかけた。