第2話
沖縄がどんなトコロか分かっていなかった。
3度目の沖縄。
淡い野心を持って沖縄に来た。
一緒に来たのは身長179センチの向井オサム似の29才の親戚のむーくん。
アジアでいろいろビジネスをしているらしいちょっと怪しいヤツだ。
正直、どのくらい稼ぎがあるのか全く分からない…。しかし、かなり稼いでそうな余裕を感じる。
僕達は親戚なのだが、ここ10年程会ったことはない。
なぜ、こんな僕らが一緒に沖縄に来ることになったかは6月のとある日にさかのぼる。
「あき彦、むーくんが選挙に出るんだって。美佐子さん(まーくんの母親)から電話があって、いろいろアドバイスほしいんだって。」
僕の母親からこのような電話が6月のとある日にあった。
あ、僕は4年前から選挙系な人間になってしまった大変かわいそうなヤツだ。この4年間で3敗している。
僕は、33歳。無職。元公務員。未婚。彼女なし。貯金なし。選挙3敗。
人に誇れることは何もない。ダメダメな人間だ。
そんな、僕に母親の田舎である東北の田舎町からパスが来た。
「とりあえず、電話してみるわ~。」と母親には返事をし、僕はワクワクを隠せなかった。
僕は、選挙が大好きなのだ。自分の選挙よりも人の選挙の方が面白い。これまで人の選挙を3回手伝った経験がある。
僕はむーくんに電話した。
「花畑ですけど…。」
「あ、あっくん!」
「選挙に出るって聞いたんだけど、今はどんな感じなの?」
「今日は、地元新聞社の取材があって、いつもはビラを配っているよ。」
「とりあえず、俺はそっちに行けばいいのかな。」
「あ、来て来て。今日からでもいいから。」
「あ、そう。じゃあ、新幹線で行くわ。」
「了解。ありがとね。駅まで迎えに行くから時間分かったらメールして。」
こんなあっさりした会話から僕らは10年ぶりに会うことになったのだった。