もう一人の7柱 -イケメン達の夜の会談-
こんばんは。
まだまだ調子に乗っています。
今回はやや短めです。
「我を呼ぶのは何奴だ?」
出ちゃった!
その姿は美麗。
マティよりも更に白い銀髪に狼耳。
お顔は人間なのだけど、犬歯がちょっと長いみたい。
背はマティと同じくらいか、ちょっと大きい。190あるかな、ないかな。
マティよりも筋骨隆々で、こちらは男ってか雄っていう美男子さんだ。
というか、天魔7柱のみなさん、さっきの写真によれば全員イケメンだよ。
びっくりするよね。
「はい。僕です。フェンリッヒさん。」
「む?何故我が名を知っておるか小僧。ん?何か嗅ぎ慣れた匂いがするなお主。何故だ。」
「あ、はい。えーとそれは。」
「おい、主よ。何がおk……」
「む、マティウリスか。ここはどこだ?」
「フェンリッヒ。お主か。少し待て。
して、主よ。これはどういうことか、説明を賜らん。」
あはははは。
怒ってらっしゃるマティウリスさん。
そらそうだよね。寝なさいって言われてベットに入ったはずなのに、
大きな気配がその部屋からして、駆けつけてみれば馴染みの7柱さんだもんね。
「ごめん、マティ。魔法を試してみたかったんだ。
最初は水魔法でコップに水を注いだんだけど、炎魔法はお家を焦がしちゃうかもしれないって諦めて、
じゃあ闇魔法って何かなっと思って、思いついたのがマティを呼び出した時の召喚だったんだ。
最初はイメージも無くやったからうまく行かなくって、でも、さっきマティが見せてくれた絵の姿を思い浮かべながらやったら、
うん、出来ちゃった。」
数秒の沈黙。
マティも、フェンリッヒさんも顔を見合わせ、どうしたものかと難しい顔をしている。
「ワカどうした?マティ殿も慌ててどうしたんだ?」
父上が寝室に入ってくると、同じように固まってしまった。
「ワカちゃんがどうかなさったの?」
母さまもやってきて、皆、一様に思考停止。
「なぁマティウリス。状況を鑑みるに、私はこの小僧に召喚されたということか。」
「ああ、そちらの幼子は我が主。我を導きの儀に際して呼び出した、ワクスタイン様だ。
ちなみに、神からの加護を2つ、スキルを4つ有しておられ、その魔力量は、スヴェンをして引けをとらん。」
「なにっ。スヴェンと同等の魔力量にして、加護持ちのクアッドスキルとな。なんとまあ。」
「その主が、今日 使えるようになった魔法で、試しに 行ってみた召喚魔法で呼び出されたのがお主よ。フェンリッヒ。」
「ごめんなさい。フェンリッヒさん。まさか成功するとは思わなくて。」
「よい。我が友が主よ。いや、これからは我が主でもあるのか。これも何かの縁、精一杯仕えさせていただく。」
「ありがとうフェンリッヒさん。」
と、本人に対しての謝罪は無事済んだらしい。
でも、さっきから父上のお顔がすぐれない。
「なあマティ殿よ、そちらにお座りになられているのは、やはり」
「ああ、俺と同じく、先代魔王様が天魔7柱の1柱、銀氷のフェンリッヒよ。」
「ああ、やっぱり。一昨年の魔王城会談にて、会場警備の統括をされていたところを拝見したと思ったが、間違いないか?」
「おお、そちらはどなたかと思えば、セルナック卿ではございませんか。
む、もしや我が小さき主は卿のご子息であられますかな?」
「ええ、そうなんですよ。私も息子の能力を測りかねておりまして、貴殿には迷惑をかけた。」
「いやいや。マティウリスと我、共に召喚し、更には顕現化させても全く動じないこの魔力量。恐れいった。
これ一重に我が主に相応しい証拠なり。卿のご子息は全くもって素晴らしい。」
小難しい大人の会話の中で、理解したことは、
フェンリッヒさんは私のことを認めてくださったということ。
父上は私の力をどう扱うか測りかねているということ。
マティは友人が召喚されてちょっと嬉しそうだということ。
母さまはニコニコして楽しんでらっしゃるということか。
しかし、私は一つ問題を見つけてしまった。
「ねえマティ。僕が今フェンリッヒさんまでこっちに召喚しちゃったでしょ?
その、先代魔王陛下の元にはあと5柱しかいないってことになるけど、大丈夫なのかな?」
その何気ない一言で空気が凍った。
今まで笑顔だった二人が顔を見合わせ、ブリキのおもちゃのように父上に向けて顔を曲げていく。
対する父上も、シマッタという顔を見せ、こめかみを抑えると、二人に向かって頷く。
「主よ。一度顕現化を強制的に解除するが宜しいか?」
「うん、様子見てきなよ。心配なんでしょ?」
「すまぬ。ゆくぞ、フェン。」
「応。」
光とともに、消えていく二人。
その光が完全に無くなった後、父上は私に向かい、
「ワカよ。お前はすごい力を手にしたのだな。
その力を振るってみたい気持ちもよく分かる。然しだ。その力はどうやらあまりに大きすぎる。
特に、召喚だ。」
「はい、父上。わかっております。今後むやみに召喚を行うことは致しません。」
「聡い子で嬉しいぞ。ワカよ。それでは今日はもう休みなさい。本当にな。」
最後の一言が妙にプレッシャーのある言葉だった。
でも、ちょっとだけまだ気になることがある。
「父上、最後に一つだけ教えて下さい。」
「どうした?」
「先代魔王陛下は今どうされているんですか?」
「ああ、それか、それはな」
「上に住んでるぞ。」
ここまで読んで下さいましてありがとうございます。
イケメンが薄暗いベットルームでショタっ子を取り囲みながら会議って、
ちょっとぐっと来ませんか?
来ませんか。
そんなところで、魔王様登場フラグです。
他の7柱さんのキャラ設定はまだできていない部分もあるので、
こんなのどーですかーっていうのがあれば、是非是非教えて下さいね!
たこさんでした。