世界の変革 -目には見えないもがいっぱい-
調子に乗ってもう1話投稿してみます。
最後までお楽しみください。
「あらワカちゃん。その顔を見ると、ちゃんと 見える ようになったのね。」
母さまの発言によって、私の認識は確かなものになった。
母さまの傍には、碧眼金髪の見るからにエルフなお兄さん。
副神殿長の隣には、頭頂部の寂しい小さな緑のおっさん。
秘書さんの横には、秘書さんと瓜二つながらも、黒尽くめのお姉さん。
12個の眼光がこちらを刺すように、また、暖かな眼差しをかけ、
その後ろに佇むモノに目を向けた瞬間、揃ってぎょっとした顔になった。
「主よ。なぜ今我の顔をみて皆驚いた顔をしたのだ?」
「知らないよマティウリス。きっと君が美人だからだよ。」
「ふはは。主は冗談が上手い。我に向かって美人とは。初めて駆けられた言葉よのう。」
二人でそんな温度の下がる言葉を交わしていると、
神殿長がまず戻ってきた。
「お坊ちゃま。そちらの黒きものがお坊ちゃまの『導きの標』にございますか?」
「うん。その導きの標ってのが何かわからないけど、あの椅子の反対側から現れたのは彼だよ。
マティウリスっていうの。 あ、正確には、天魔7柱の一人、強欲のマティウリスだって。」
その名を告げると、折角復帰した副神殿長はまたどこかへ旅立ってしまった。
なんだよもう。
俺の標は化け物か?
「ワカちゃん。ところであなたの技能はどんなものがあったのかしら?」
色々スルーすることにしたであろう母さまが、そう言って本来の目的を果たそうと私に問いかけた。
私はマティウリスと確認したように、2つの加護と4つのスキルがあることを伝えると、
今度は母さまもまた旅立たれてしまった。
「主よ。どうやら我々は小奴らの許容範囲の上限を振り切る存在らしいな。」
「そうみたいだね。マティウリス。ん、、長いからマティって呼ぶね。
ちなみに、周りの標の柱たちはどんな人たちなの?」
私のマティウリスがそんなにすごいのか、じゃあ、比較対象のあっちの3柱はどんなものなのだろうか。
気になる。
周りの人達がホワイトアウトしているうちに、私は彼に解説を貰った。
直接聞いても良かったのだけれども、彼らも彼らで、主人たる人達と同様に違う世界に旅立ってしまっていたのだ。
それによると、まず、
秘書さんの秘書さん。
彼女は影族という種族にあたるそうで、影のあるもの全てに身を変えることが出来、隠密として活動することの多い種族らしい。
彼曰く、彼女自身の身体能力は平均的な影族と同等らしいんだけど、変身のクオリティは高いらしく、褒めていた。
次に、副神殿長の隣のちっさいおっさん。
予想もついてはいたけど、ゴブリンらしい。
然しながら、ただのゴブリンではなく、『ゴブリン・ロード』という上位種で、指揮能力が高く、
それなりに頭も良いらしい。が、所詮ゴブリンだと一蹴されてしまった。
最後に母さまの隣のエルフさん。
金髪碧眼はハイ・エルフに当たるそうで、力の強さはこの中ではダントツだそうだ。
彼曰く、母さまの中にもエルフの魂の欠片があるらしく、ご先祖様にエルフの血が入っているみたいだ。
どうりで若々しくて、美人なわけだ。然し、ないすばでぇ。イイトコどりだね母さま。
そんなマティウリス先生による講義が終わった頃に、みなさん揃ってお帰りになられた。
「ワカちゃん。あなた、すごいもの持っていたのね。歯が生えたら直ぐに流暢うにお喋り始めたから、
頭はいいのだと思っていたけども、これは予想外だったわ。
それで、その、マティウリスさんはあなた に 仕えるえているのよね?」
「はい。母さま。マティは僕 に 仕えていますよ。
ちゃんと僕 が 主です。ね?マティ?」
「是だ。主。話が主はワクスタインである。」
そのやり取りを見て、6者6様にホッとした顔を見せる面々。
確かに私はマティがどれだけすごいか知らないな。聞いてみよう。
「ねえマティ。君のことを見てみんなびっくりしちゃったみたいだけど、それは何でかな?」
「主よ。驚いたのはそれだけが原因ではないと思うが、我を見て驚いたのは恐らく、
我が先代の魔王の側近7柱の1柱だからだ。」
え
まじか。
位階高くないっすか。
◯◯組 組長 の下についちゃってる直参の組長ってことよね。
わー。それおやっさんポスト。
それの、主ってことは、、、、
俺組長やん!若頭ちゃうやん!
「まぁ、先代とも言ったからわかるだろうが、我が魔王様は現魔王様に敗れ、その配下についていらっしゃる。
その影響もあって、主従の楔が弱くなっておったのか、主に召喚され、今に至るわけだ。」
ほう。現魔王様の下にいる、先代魔王勢力のトップの一人。
あ、アカン。これでも十分にハイポストだ。
「ちなみに、先代魔王様の治世下には人間族との交渉によく参っておったものよ。
そういえば、主の家名はアヤムと申したな?さすれば、主の父君にも職務の際に会ったことがあるぞ。」
今日何度目のマジカ。
俺の記憶に無い父上にも会ったことがあるってかい。
てか、先代魔王の時のポスト、外務大臣じゃないか。
どうりで所作は気品があるし、博識だし、美人なわけだ。
「やっぱり、彼から聞いていたマティウリスさんと同一人物なのね。
歓迎するわ。ようこそアヤム家へ。私が彼の母親のエリシアよ。よろしくね。」
「母君。セルナック卿には世話になった。これからは主のもと益々世話になる身。よろしく頼む。」
「ふふふ。彼がどんなお世話をしたかは存じ上げませんが、楽しくやりましょう。」
母さまがにこやかに彼に笑いかけると、マティもその美麗な顔を少しだけ傾け、
破壊力満点のほほ笑みを放った!
母さまに 500のキュンキュンダメージ!
秘書さんに1000のキュンキュンダメージ!効果は抜群だ!
秘書さんの秘書さんに9999のキュンキュンダメージ!一撃必殺!
おうふ。男の俺でも今の笑顔は来るものがあるな。
おっさんブラザーズは男の魅力耐性があるのか、効果がないようだ。
「おっほん。そ、それでは、無事に導きの儀も終了致しましたので、次に魔力測定と参りましょう。」
そう言って、未だ惚ける秘書と1柱を正気に戻し、戸棚から水盆を持ってこさせ、水を張り、
テーブルの上へ置いて私に近くへ来るよう促した。
水盆は何かの金属で出来ているようで、鈍い光を放っていた。
その水の中には何か分からないが、色々なものが沈められていて、神秘的な雰囲気を持っていた。
「それでは坊っちゃんにはこれより魔力測定を行って頂きます。
ご存知かとは思いますが、この世界には魔法が存在し、その力は個々の魔力、魔石の力によって顕在化します。
今日、これより、坊っちゃんの今の時点での魔力の方向性をお調べし、
如何ようにその才能を伸ばしていくかの標にしていただきたいと思います。」
そんなマニュアルでもあるかのような説明を受け、私は説明通り、その水盆の縁についている握り手に手を添えた。
どこかの釣り少年の漫画のようだけど、やってみよう。
教わったとおり、握り手を軽く持ち、深呼吸をして、水盆の底に描かれている模様を見る。
「主よ。力まないでも良い。己が中の渦巻く力を感じ、それを手に送りこむのだ。」
マティはからのアドバイスをもらうと、確かに、体の奥のほうで何か今まで感じなかった気配を感じる。
熱いんだか冷たいんだかは分からないが、それがあることは間違いなく分かった。
それを少しずつ伸ばすようにイメージすると、力が体の内側から送り出されているのも認識できた。
あとは、これを手にまで伸ばして
「こうだ!」
手にまで送り込まれた力を、水盆の持ち手に伝えて開放すると、水盆の水に揺らめきが起こった。
水の色が黒く染まり、中に沈んでいたであろう魔石は赤と、青、紫に輝き、渦を巻いていく。
「主よ。そろそろ止めよ。水盆が持たぬわ。」
慌てて力を送るのを止めると、したり顔の母さまと目があった。
「やっぱりセルくんの子供ね。炎属性と、水属性、それとレアな闇属性のトリプルだなんて。
しかも何なのよ。あの光の強さは。私の時なんか水属性と風属性しか光らなかったけど、今の光りよりも小さかったわよ。」
母さまの少し拗ねたような声色の感想の聞きとげ、どうやら成功したようだとほっと胸を下ろす。
しかし、
副神殿長の顔を見ると、それはまた狼狽えたような表情となっていて、
「ありえん、輝きが渦を巻くなど、、」
とぶつぶつ呟いていたが知ったこっちゃない。
「さ、ワカちゃん。それじゃぁ、今日の目的はお終いよ。美味しいものでも食べて帰りましょう。」
母さまが楽しげにそう告げると、
「さようですな。坊っちゃんにも類稀なる才能の兆しが見えました。これは将来も明るいでしょう。
リン、お客様をお見送りして差し上げろ。」
「はい。副神殿長。奥様。こちらになります。」
そう言って、ドアを開け、退出を促し、玄関ホールまで見送られると、
そこには来た時には見えなかった光景が待っていた。
大人たちの後ろには、多種多様な人、モノノ怪、魔族、妖怪、怪物。
待合の椅子に座っている人達の傍らにも何がしかのものが連れ添っていた。
その大きさは多種多様で、小人ほどのものから、2メートルを超えるものまで、
本当に色々なものがごった返していた。
「うわぁ。この世界って実はこんな感じだったんだね。」
「ふふふ。ワカちゃん。ここは特別なの。本当は彼ら『守護者』達は私達の魔力を使わないと顕在化出来ないのよ。
と言っても、ワカくんくらい魔力量が多かったら、常に顕在化出来るかもしれないけどね。」
「主よ。恐らく母君の言うとおり、我の常時顕在化は可能であろう。我の力を莫大に使うような機会が無ければ、
主の魔力量からすると三日三晩魔力の回復を行わなくても、問題ない量があると思われるぞ。」
「そうなんだ。じゃぁ、マティはずっと出てもらっててもいいんじゃないかな。僕はまだチビだから、ボディーガード的な意味も含めて。」
「まぁ、それはいい考えね。私も今日の儀式が終わったら、ワカちゃん一人でお出かけするのも許可しようと思ってたところなの。
マティウリスさんがボディーガードしてくれるんだったらそれ以上のものは無いわね。」
「母君。安心してくれ。我が主に害為す者には指一本触れさせん。」
そう言いながら、花道通りまで戻ってくると、左手に折れ、叙◯苑、つると◯たんのあるビルだったところへ入っていく。
今日は地上階だったので、つると◯たんじゃないな。
入ったお店は、人で溢れており、活気のある食事処であった。
「さぁワカちゃん。何食べようかしら。」
初めての外食ってやつです。
心が踊る!
給仕さんがメニューらしき物を持ってやってくると
そこには字onlyのメニューが書かれておりました。
「母さま。僕はこの弥勒鳥のオムライスがいいです。」
「はいはい、ところでマティウリスさんはお食事は出来るのかしら?」
「ああ、問題ないぞ母君。顕現しているときは食事も取れる。
契約前は必須だったのだが、今は主の魔力で生きている。今ではある意味一種の娯楽だな。」
「そうなのね。じゃぁ、お好きなモノを注文して頂戴。」
「馳走になる。それではこの、大王桃のパフェを頼む。」
ぶっ……
マティウリスさん。そんな恐ろしく美しい見た目でそんな可愛らしい物が好きなんスカ。
おうふ。
先に出てきたパフェを見たその微笑みと言ったら、女性をイチコロにするね。
ほら、周りの女性のお客様たちの目がハートになっとるぜ。
本人は素知らぬ顔で幸せそうに桃パフェにぱくついてらっしゃいますけどね。
あー、これがいわゆるギャップ萌えってやつですね。
じゃあ、おまけだ。
「マティ。唇にクリーム付いてるよ。ほらとってあげる。」
「おう、スマヌ主よ。」
そう言ってショタ美少年が完璧イケメンの唇についたクリームを拭い、口に運ぶ。
あ、
お姉さん一人撃沈。
そっちも撃沈。
ふふふん。こんな感覚は全世界共通なんだね。
「ワカちゃん、今の狙ってやらなかったかしら?」
母さまから鋭い指摘が入るも、しらばっくれ、その後運ばれてきたオムライスに頬を落とす。
うぉっ。このオムライス美味い。たいめ◯けんのトロトロオムライスもうまかったけど、
この玉子の味が濃い。これはすごい。是非違う料理で試したい。
こんな濃い玉子でプリンなんか作ったら、とんでもないものが出来そうだな。よし。
「母さま。この弥勒鳥の玉子美味しいです。お家でも食べられますか?」
「あら、そんなに気に入ったのかしら。いいわ。じゃあ今度から玉子は弥勒鳥のものを注文してあげる。」
いやっほい!
これで夢のプリンに一歩近づいた!
きっとマティも気にいるよ。うん。間違いないね。
程なく食事も終わり、お会計の時にまた驚いた。
なんと、契約の環をかざして支払いをしているようだった。
便利!
「母さま、お金は全てそれで払うのですか?」
「そうね、私はできるだけどうしているわ。勿論、田舎の方に行くと、この読取機が無いところもあるから、
そういうところに行くときは、いくらか現金も持って行くけどね。
ちなみにワカちゃんの環にももうお金のやり取りをする機能はあるわよ。基本的に家長権限で、使用者の登録と限度額が設定できるの。」
ほー、クレジットカードですな。
全くもって進んだ世界だ。
「さあ、お腹も膨れたし、帰りましょうか。」
「はい、母さま。」
「うむ。」
3人連れ添って短い距離だが帰途につく。
うちって、ここってことは、広場前のパチ屋じゃないのさ。
そこのエントランスをくぐると、中庭のある集合住宅になっており、正面にエレベーターがある。
うん。エレベーター。自動ドアは無いけどエレベーターはあるのよね。
そこに契約の環をかざすと自動的に自分のフロアまで行くらしい。
あ、これ、エレベーターと違う。
転移魔法っすね。
自宅のドアまで行き、また環をかざしてキーロック解除。
「おかえりエリス。」
そこには父上が待っていらっしゃった。
こんばんは。
ここまでお読み頂きましてありがとうございます。
マティのキャラは狙ってません。
俗世離れしているのは暫く蟄居していたからです。
次のお話ではようやく父上様が登場します。




