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閑話 薔薇姫様の裏側で -子供扱いなんてされたくない-

ちょっと閑話です。

時は少しさかのぼって、


薔薇姫と黒蝶が真っ赤なバイクに乗って、プラクシティへ向かった頃。



「ワカ様。まだ起きていらっしゃいますでしょうか。」


「おお?ヌエか。どうしたこんな時間に?」


「はい。レイクタウン方面で動きがございまして。」



レイクタウンと聞いて、半分まどろんでいた俺の頭が覚醒した。


確かに間諜を放てとは言っておいたが、


まさかここまで早く動いてくるとは思わなんだ。



「で、何が起こった?」


「はい、まず、事前情報として、バンバには『青衣』という私兵部隊がおります。


 その数500。白兵戦を得意とし、その名の通り、青いマントに身を包む騎士のような連中です。」


「そいつらに、、集合がかかったか?」


「はい。今宵のうちに集合させ、明朝日の出とともに、という連絡が回っているようです。」


「ふーん、で、どうなの?」


「はい、戦力的には些かこちら側の数に不安がございます。


 個々の戦闘能力ではほぼ負けずの戦いができる面々だと私が判断いたしましたが、


 数による圧力がかかると、それがどう働くか、私でも判断ができかねる部分でございます。」


「戦争は数でするもの、、ね。


 きっと、向こうが朝から仕掛ける気満々だったら、今、先制パンチして出鼻をくじいたほうがいいんだろうな。


 でも、それには兵数も集団戦の練度もまだ足りてない、、か。


 ヌエ、もし、このままの戦力で明日を迎えた場合、うちは何人生き残る計算だ?」


「正直なところ、希望的観測でしかございませんが、二人残れば良いほうかと。


 もちろんこの計算には、マティウリス様やフェンリッヒ様、ワカ様は含まれておらず、


 純粋な若葉組としての戦力考察です。」



理解していると、目線で頷きながら、一帯の地図を思い浮かべる。


市街地戦。


ダメだ。爆弾の類が使えないなら、乱戦になるの市街地戦はホームのこちらの分が悪い。


なにせ街そのものが人質だ。


街と街との間の緩衝地帯で迎え撃てば、こちらとして心置きなく戦えるものの、


彼我の戦力差を鑑み、数で押されて囲まれた後には生き残るビジョンが無い。


今から仕掛けるのなら、今回は俺らがメインで、切った貼ったをやらなくちゃならない。


それでいいのか。あいつらの戦いは、あくまであいつらに殺らせないと。。




「ワカ様、配下の者から気になる情報を入手いたしました。」


「うん、聞くよ?聞くけどさ、その前に、


 今どうやって情報入手したのさ。この家には俺とヌエしか居ねえよな?


 どうやってリアルタイムで新規情報が入手できるんだよ?」


「え、私の魔法ですけど?『ライン』と言います。


 設定した物に付与すると、端末が私の脳波とリンクし、相互にやりとりが出来るようになります。」



おうふ。名前アウトっぽいけど、機能が全然違うからセーフだぜ。


「ええと、それでですね。


 母君と、ルールー様、今ご不在でいらっしゃいますよね?」


「ああ、何故?」


「お二人は魔導二輪に乗って、プラクシティ方面へお向かいになられたそうです。


 ちなみに、プラクシティには、この都市部一帯の魔導二輪乗りの女性達が集まるチームがあるようなのですが、


 そのチームが、今晩、重要度最高ランクの緊急招集指令を発布しているようです。


 魔導二輪に乗っていかれたお二人と、その集会に関連性を見出すのは少々強引かとも思われますが、


 関係があるのであれば、、何か起こるかと思われます。」



ああ、母さま。あなたは昔レディースだったのですか。ましてやルールーもなのか。


だがまぁ、しかし、ヌエの言うように、まだ情報として弱い。


何か決定的なものは無いのか。。



「ちなみに、こちらの紙が緊急召集令状のようです。


 チームからはこうやって緊急集会などがあるときには、魔道具専門の探求者たちが作成した、


 超遠距離可能:スーパーお手紙陣。というもので、この手紙を関係各所へ送り届けているとのことです。


 ちなみにこの手紙の所有者は現在妊娠中でして。この手紙はワカ様への報告が終わった後、返却の予定です。


 ご覧になられますか?」


「頼む。」



小さな紙片をめくると、そこには、見覚えのある字が並んでいた。



「ビンゴ、、だな。


 ヌエ、この薔薇姫というのは母さまで間違いない。


 その事実をいま掘り下げるつもりはないが、この二輪乗りたちの動向を逐一報告してくれ。


 お前も先に現場に行っておけ。今後は念話での報告で構わない。」


「畏まりました。では、また。」






「マティ。居るんだろ?出てこいよ。」


「ワカには気配遮断も通用しないのか。まったくどうしたことやら。」


「無駄口を挟む余裕があるということは、この戦を簡単に捉えている証拠だ。


 何か打開策の提案はあるのか?」


「ええ、ただひとつ。ぶっ潰せってやつだな。」



この脳筋め。


「ワカ様、ヌエです。今集会の会場と思われる場所に母上殿とルー殿が合流されました。


 あちらこちらから羨望の眼差して見られておられるようですので、恐らく位階が高いのだと思われます。」


「忍者は別れてレイクタウンとそちらに回せ。


 別ルートでの進行がないか念のため注意。既に街の中に入り込んでいる奴がいるかもしれない。


 白兵戦ができる奴らは、留守渕を残し、持てる戦力を持って、レイクタウンへ直行。何かあってからでは遅い。」

 

「畏まりました。すぐに。」


「ワカが直接出張るのか?」


「ああ、母さまに動かれると、力関係が微妙だ。使える力ならいいが、別に庇護なんか頼んでない。」


「で、本心は?」


「ただ心配なだけだこの野郎。わかってて聞くな。」



そう、家族が何かに巻き込まれそうなのだ。


助けがいる時に、助けられないところにいるより、近くにいるけれど、助けが必要なかった方がいい。


保険はかけておくものだ。





「ワカ様、魔導二輪の集団が動きはじめました。向かうは、ここ、レイクタウンです。」


「やっぱりか。よし、俺らは少し離れて待機。何か始まったら、状況を見て判断する。


 何も無ければいいんだけどな。」




ええ、なんとも言えないフラグでしたよ。


拠点を取り囲むバイクの集団。


中央で話し合う母さまとバンバ。


合図とともに一斉に躍り出る青衣達。


これは、あかんな。




はっ。


なんで母さまの魔法が?


っと、


母さまがやられる?





そんなことは、許さない。


許されない。


「マティ、介入するぞ。」


「は。畏まった。」



「こうして戦端は開かれたのだった。」



そんなこんなでワカは始まる前からあの場に待機してました。


3歳時なのに、夜遅くまで起きていちゃダメですね。

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