世の中に絶対は無いのです。 -魔法のちから-
こんばんは。戦闘シーンは難しいですね。
「さあ、ショータイムといこうじゃないか。」
「母君は私の後ろに。」
マティウリスはわかってるね。何も言わなくても察してくれるからすごく助かる。
なお、俺は今、猛烈に、怒っている。
「おい、そこの鎧。覚悟はできてるな?」
「おおおお、お前が何故ここにいる!
ふん、しかしな、お前たちが来たからといって、戦況は変わるまい!
私の私兵の青衣達が500もいるんだぞ。しかも精鋭揃いだ。先ほどとは違う!
純粋な戦闘集団だからな!」
「そうか、じゃあ、今から俺が全部片付けるな。」
「は? は???」
うん、青衣ね。確かに戦闘技術は高いようだね。
でも、ね。
「揃いの装備で見分けやすかったからなぁ。全部ターゲットは完了済みさ。
目かっぽじってよく見てな。
『焔の渦』 !」
俺から広がる炎の渦は、四方に飛び去り、その青き衣を赤く散らす。
高熱の火炎、まとわりつく炎に為すすべなく、青衣達は一人、また一人と倒れていった。
「命まではとってない。みんな酸欠でオネンネさ。」
これが俺のやり方だ。やっぱり人を殺すのは嫌だ。
だから、できるだけ、殺さず済むなら殺さない。
無力化出来るなら、それでおしまいだ。
「この、、ガキが!!!突!」
ギンッ
オーガンの斬馬刀が横槍を入れる。
「オーガン、引け。」
「ですが、ワカ様」
「いい、ここは俺が蹴りをつける。」
「畏まりました。お気をつけて。」
舐められたと思ったのであろうバンバは青筋を立て、
まっすぐ、射抜くように睨みつけてくる。。
怯むわけもない。大丈夫、問題ない。
俺が今やりたいことがただひとつ。
俺の家族に手を出した、目の前のこいつを、ぶっ潰す。それだけだ!
「突!突!突!」
レイピアによる3連撃が三回。
9連撃を放ってくる。
が、問題ない。俺は疾風脚を使い、避ける、避ける、避ける。
避けるのも面倒になったので、牽制に魔法を放ってみた。
しかし、奴には吸収されてしまい、ダメージは無いのだ。
にやりと笑ったバンバは、続けざまにレイピアを放つ。
それでも、避ける、避ける、避ける。
偉い人は言った。
当たらなければどうということではないと。
でも、ふと気がついしてまった。
このままでは、俺には決定的な一打が無い。
俺のスキルは、心眼、疾風脚、料理と自動地図。
戦闘方法は基本的には膨大な魔力で持っての魔法連発のゴリ押しがベタと思っていた。
しかし、相手は魔法吸収の鎧。
ちゃんとした戦闘としてのファーストバトルが、
自分の得意スキルカットだという、特殊ルール発動という、想定外の状況に、実は、どうしようか迷っていた。
あ、あれか。
お決まりのあれをやってみればいいか。
よし、いってみよーやってみよー!
「水魔法、、、、、、、、たくさん!」
適当だなってツッコミは甘んじて受ける!
俺は雨あられと魔力を練り込んだ水玉をバンバへ打ち込んだ。
打ち込んだったら打ち込んだ。
これでもかってほど撃ち込んだ。
しつこいってほどに(以下略。
最初はニヤついていたバンバもだんだんとその途切れない水玉にうろたえ始め、
数が1000を超えたあたりから面白いように表情が青ざめてきた。
恐らく体内に貯めることが出来る魔力の量にも限界が有るのだろう。
さっきの母さまに放った、吸収した魔力を放つチャージ&アタックには、貯めの動作が必要のようだから、
今はひたすらに魔力を吸い続けている状況だ。
そんな開放する隙なんか与えないわ。
ふはは、
どうだい。腹ン中パンパンだろう。
いかん、、なにか青い衣違いの人が見えた。
ピシリ
吸収し続けていた宝玉にヒビが入る。
おお、案外早かった。ざっと各玉1万発ってところだ。
あとはもう簡単ですね。
実はちゃんと狙って打っていた水玉を、更に密度を上げて宝玉に向かって、、
打つべし。打つべし。ひたすらに打つべし。
先ほどからの水玉が当たる衝撃で、
延々と体と脳を揺さぶられ、既にグロッキーになっているバンバは、
有り余る俺の魔力に空を満たされる気持ち悪さに、どうにもぬけ出すことが出来ないようだ。
油断しちゃだめじゃん。絶対防御なんて無いんだから。
バリン。
宝玉がはじけ飛ぶ。
出来たー!
魔力のオーバーフロー。
大量の魔素が宝玉から溢れ、あたりに魔素によるモヤがかかる。
そうしたらあとは締めるだけですね。
周囲に浮かべた6この水球。温度変化をつけて氷に変換。
形は尖った槍。
あ、なんかスピアっぽいな。
スピアスピア、、竜騎士!ドラグーン!
「ゆけ!『アイスドラグーン』!」
色々な思念とか緑色の光とかを載せて響かせながら、飛んでいきそうな掛け声にしてしまったが、
間違いなく、自動追尾型 物理 攻撃です。物理ですから問題ない。
右から飛んできて、ぶつかり飛ばす。左から飛んできて、ぶつかり飛ばす。
四方八方十六方。氷の槍になぶられ、責められる。はー我ながら、えぐいえぐい。
あ、一応、緊張感がないとか言わないでね。あえてふざけてないと、殺っちゃいそうなんです。
バンバもついにボロッカスになってきた。いい具合だ。目も虚ろだし、生気もない。ライフはゼロよってね。
「よし、そろそろいいか。」
そう言って奴の周りにスピアを集め、高速回転で周囲の温度を下げていく。
その中心に、更に追加の水魔法で、水の柱を立ててあげれば。
はい。
バンバの氷漬けの出来上がり!ね、簡単でしょ?
「ワカ。これはその、どうなんだ。」
「え?何が?何か問題?」
「ああ、私でもちょっと引く。」
マジカ。
魔族に引かれた。ショック。
「ん、まぁ、あれだ。青衣にやられて連れて行かれた天使たちの保護。
ついで、周辺状況の復旧と、魔導二輪の回収。
あとは、あ、巻き込まれがいないか念入りに調査な。
では、行動開始。」
うちの部下たちは優秀だ。事後処理をさくっと終わらせて再集合までわずか15分。
さて、あとは、母さまの容体はとりあえず回復魔法の使い手が直したから問題なしと。
じゃあ、
母さまには、今度は俺から事情聴取しなきゃね。
もちろん……正座で!
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。
やっと主人公が主人公無双してくれました。
一安心です。
別枠で、バンバが
「そんなこともあろうかと」
を披露する展開も考えましたけど、
ダラダラ長くなりそうなので、あっさりやられてもらいました。
次は戦闘の裏話と次の章に向けてのお話になりそうです。
たこさんでしたC:。ミ