戦乙女と薔薇姫と -お話し合いは実力で-
こんにちは。
まだ薔薇姫回です。
主人公は今回も出てきません。
プラクシティからレイクタウンまでは私達の魔導二輪では遅くても30分。
その道程を、途切れること無く数多の魔導二輪が駆け抜けております。
この時間帯には街道には魔獣車も少なく、もっと早く走り抜けることも出来るのですが、
今回の目的は池の中の蛙への威圧行為です。
ですので、ユルユルと、私達が向かっていることを知らしめてさし上げるのが大事なのです。
私達の隊列は蛇行することもなく、乱れること無く走り抜けますが、
魔導二輪というものは少々お値段のはる物ですし、
ましてや私どもの様に、カスタムしているものとなれば、それなりのお値段がします。
それが200台近く色とりどりの魔素の光を散らしながらかけていく姿は
たまたま居合わせた無関係な方々にも少なからず驚きと恐怖を与えてしまいました。
それもこれも、蛙のせいなのであとでキッチリ締めてさしあげましょう。
ふふ。
大体あと半分ですわね。
(/・ω・)/Side バンバ
「バンバ様、報告がございます。」
夜中だというのに突然激しくドアをノックされ、
いい雰囲気だったのに、興が冷めてしまった。
今日は色々イライラする事があったから、いい女を抱いて切り替えようと思っていたのに、
尚更苛つきが増してしまった。
「どうしました?」
軽く身繕いをし、ドアを開けると、側近の一人がしまったという顔をしつつも、
焦りの顔を変えず、聞きたくもない報告をしてきたのだ。
あえて言おう。
なんて日だ!
なんでこちらに向かってあの伝説の『先行の戦乙女』が来てるんだ?
しかもその数は現役世代では余りあり、察するに関係者全員集合レベルという話じゃないか。
その集団がまっすぐこちらへ向かっているだと。
目的は一体何だ。
あのチームには、ここ周辺の荒くれ、果ては国家機関でさえ道をゆずるのだ。
過去に、何を血迷ったか、あれに喧嘩を売った阿呆がいて、
3日後にはそいつらの拠点が血の池地獄になっていたというのは
誇張でもなく、れっきとした事実であるとともに、その私刑に対して全くお咎めがないというのもまた事実である。
噂によると、卒業した者達が国の中枢や、研究機関など、国家運営に深く関わっており、
下手に機嫌を損ねられると国家運営に支障を来すおそれがあるからとまで言われている。
そんな化物集団がなぜ、こちらへ向かっているのだ。
そうだ。ただ向かっているだけであって、目的地はここではない。
通過するだけだ。そう。そうに違いない。
「バンバ様、その、、隊列の中央に薔薇姫、黒蝶、並びに、轟竜、鋼鉄、双鞭を確認しました。」
な。ななな、なんだってー!!!!!!!
そいつらは伝説の3代目じゃないか。
轟竜は国外にいたのではないのか。
そもそも、薔薇姫が出てきているだと?一体何が起こっているのだ。
「おい、全員に伝えろ。絶対に 手 を 出 す な とな。いいか。絶対だぞ。」
「はい。バンバ様。既に皆に最重要事項として通達しております。
それだけは避けねばなりません。」
「よし。引き続き監視を続けよ。」
「はっ」
ガタンッ
「バ、、、バンバ様。薔薇姫から、お手紙が届いております。。。」
終わった。
私の人生が終わりを告げた。
一体何が不況を買ったというのだ。
此の身が潰えることになった理由くらい知りたいものだ。
決まった事は決まったのだ。手紙を読もう。
【拝啓 親愛なる池の甲冑ことバンバ・ポドルスキー様】
突然のお手紙を差し上げてしまい、礼を欠くことをまずお詫び申し上げます。
早速ですが、本日訪問に参りました理由についてですが、
本日、貴殿がなされた男児拉致監禁につきまして、
遺憾の意を表明し、お話し合いをしたいと思いまして参上致しました。
本手紙には手のものの魔法がかかっておりますので、
開封後、10分経つと、自動的に爆発いたします。
表までお越しいただければ解除いたしますので、
お急ぎ、お越しいただきますよう、ご協力をお願い申し上げます。
先行の戦乙女、3代代表 薔薇姫
あのことか!!!
もう一回言う事を許して欲しい。
なんて日だ!!!!
もうキャラ崩壊だとか言ってられない。
なんなんだあの小僧は。
なんであの事が薔薇姫の逆鱗に触れることになるのだ?
ええい、こうして考えている余裕もない。
なにせ10分後には爆発するとのことだからな。
ん? なぜ私の腕にタイマーが見えるのだ。
今08:45となった。
あれか!手紙が爆発するのではなく、開封者自身が爆発するのか!
いかん!
(/・ω・)/Side ルールー
そろそろあの手紙が蛙に届く頃ですわね。
私共は今、蛙の本拠地の下にある大きな広場ににて待機しております。
中央にはエリス様。
傍には幹部の皆様と先代からの女神様方、後輩の女神達が控えております。
建物の周りには、念のため逃走されませんようにぐるりと天使たちが囲み、
建物から広場まで、天使たちの壁が作られています。
ところどころ血の流行った天使たちが、魔導二輪の排気音を響かせておりますが、
それくらいは大目に見てあげましょう。
あらあら、血相を変えて蛙が出てきましたわ。
傍らに側近であろう3人を従え、こちらに向かって走ってまいります。
ふふふ、優雅さのかけらもない振る舞いですわね。
これでは上に立つものとしての資質が疑われますわ。
「薔薇姫殿、貴殿の召喚に答え、池の甲冑。ここに参上仕った。
早速だが、この爆弾魔法を解いてはいただけないだろうか。」
生気のない青い顔で、加虐心を誘いますわね。
でも、この程度の手ぬるい手段。まだまだ私達の怒りは収まりませんことよ。
「黒蝶。やって差し上げて。」
「はい、薔薇姫様」
あら、もう解除されてしまうのですか?
ギリギリの1秒まで焦らして焦らして絶望させるのがよい仕置になると思いましたのに。
でも、薔薇姫様のお達しです。すぐに止めて差し上げますわ。
「感謝する。して、本日は我が配下の人攫いの件でお越しいただいたと言う。
失礼を申し上げるのは端から承知の上ではあるが、あえて聞きたい。
先からの慣例で、我らが為す行為そのものにはお互いに不干渉の体を取ってきたはずだ。
直接的に関わらなければ、事を起こさない。これが方々の街の裏組織と貴殿らの不文律のはずだ。
それが、今回、、何故。。その、このような事に?」
「バンバ様、あなた今ご自分でおっしゃられていたじゃない。
『直接かかわらなければ事を起こさない』 と。
今日、貴方が攫った子供は、私の息子よ!」
残念ですわね。もう思考停止ですわよ。
ワナワナと震えなされ、膝を折り、座り込んでしまわれました。
ふふふ。
これでおしま
ドカーン
な、なんですの?
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。
はい。
ルールーあうとーです。
バンバさんが意地を見せてくれます。
さあ、どうなることやら。