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戦乙女の夜会 -集会?総会?いいえ、ミサです。-

こんばんは!夜遅くですがちょっと書いてみました。

「お集まりいただきましてありがとうございます。


 4代目女神、ルールーでございます。本日、3代目女神様より皆様へ一つお話があるとのことで、


 突然ではございますがお集まりいただいた次第でございます。


 お忙しいところ、またご遠方よりお越しいただいた方も多くあるかとは存じますが、


 何卒、エリス様のお話をお聞きください。」



始まりました。閃光の女神、緊急ミサ。


今回私は開会の挨拶という大役を申付かりまして、


今ほどその任務を終えたところです。


壇上からざっと見るに、200人程の天使たちが集まっているようですね。


これは、初代から現役までの全員がほぼ集まっている計算になります。


さすがエリス様ですね。


あたりには魔導二輪が所狭しと止まっています。大きな魔導車もありますね。


あ、あの魔導車はメルル様謹製の特別仕様車じゃないですか。


しかもそれを更にカスタマイズ。


はぁん、溜息が出るほど美しい。


……っは、行けませんわ。欲望の坩堝に落ちてしまうところでした。


ちなみに私達のミサは無闇矢鱈に排気音を響かせたりはしません。


只、魔導二輪が大好きな乙女たちが集まって、ああでもないこうでもないと熱く語り合うのが趣旨なんですの。


そんな語り合った成果を形にして、作り上げ、皆さんで愛で合うのです。


ええ、まぁ、確かに、その特異な性質上、男性の方々からの果たし合いのお誘いは数多とございましたけれども、


売られたお話し合いは、はありがたくお買い上げさせていただいておりましたよ。


走る姿と物怖じしないその姿。それが相まって、私たちは「閃光の戦乙女」と呼ばれるようになりました。



あ、そろそろエリス様のお話が始まるようですわ。



「諸先輩方も、皆さんも、突然の招集にもかかわらず駆けつけてくださって、


 まず、お礼申し上げます。


 早速ですが、今回お集まりいただいた経緯ですが、、、


 ねえ、エリス、もう喋り方なんていいわよね?いつも通りで。


 おっけー?わかった。


 そう、うん、集まってもらったのは他でもない。


 うちの息子がレイクタウンのバカに攫われた。


 ああああ、早トチるんじゃないよ、うちの息子はそんなヤワじゃない。


 いつの間にか私の知らないうちに配下作って自力で帰ってきたよ。すごいだろ?


 それでだ。


 うちの息子にちょっかい出してきたそのバカに、ちょっとお灸を据えに行かなきゃなと思ってね。


 私の草に確認したら、そこそこの人数いるっていうんだよ。


 それでだ。個人的な事に手伝ってもらうことになってしまうんだけど、


 皆の力を借りたいってことさ。皆、どうかな。」



皆さん驚いていらっしゃいます。


エリス様を崇拝している後輩もいたので、旦那様がいらっしゃったこと、


ましてやご子息がいらしたことに、ショックを受けている子もいますね。


でも、皆さんの反応は総じて、微笑みを浮かべ、何かを思い出しているような表情です。


まあ、皆さんの思ってらっしゃることは私も良く分かります。


エリス様には他の同期の方々と同様に、「薔薇姫」という二つ名がございます。


きっとその二つ名を冠するようになったあのことを思い浮かべていらっしゃるのでしょう。


私もあの時は、下着が湿ってしまう程の出来事でしたわ。



「エリス、そんなの聞くまでもないよ?」


あら、ショーン様。他国にいらっしゃるとお聞きしましたのに、


この数時間でどうやってここまでいらしたのでしょうか。


大体のトンデモ現象はメルル様が噛んでいらっしゃいますから、きっとそういうことなのでしょう。



「ふふ。そうよ。ここにいる皆は一心同体。ましてやエリスの頼み。誰がそれを断る人間がいようか、いや、いまいさ!」


ベラ様がいつになく熱いですね。


ああ、ベラ様は旦那様とも懇意にされていらっしゃるんですものね。


きっとよくお話に上がるのでしょう。


そういえばエリス様はベラ様のお仕事を内密に手伝っていらっしゃたりもするようですので、


きっとこの件のことをより親身に感じていらっしゃるのだと思います。



「エリス。任せて。」


メルル様が喋った!


このような大勢の人間が居る時にメルル様が口を開いたのは二回目ですね。


最初はエリス様が引退宣言をされた時でした。


ところで任せてとはどういうことなんでしょうか。


っと、見ていると、大型の魔導車の方へ飛んでいかれました。


はい、飛んでいらっしゃいます。メルル様に限っては、ツッコミは不要です。


魔導車の横のボタンを押すと、後ろ側に備えていた銀の箱が羽を持ち上げるように開き始めました。


そこには、


美しく輝く真紅のボティ、それにはセンスよく金色のラインが入り、


大口径のマフラーが後部から4本突き出していた。


「これ、作った。」


ムフーとも言いそうな可愛らしいお顔でエリス様をおみあげになられると、


エリス様もトンと軽くそちらへジャンプされ、箱のなかの魔導二輪を検分され始めました。


ひと通りご覧になられると、そのまま座席に腰を下ろされ、眼前の魔石へ手を当て、力を注げられました。


前輪部についていた双眸に光が灯り、アクセル一回。


轟音と言うべき魔導音があたりに響き渡りました。


一度力をお止めになられると、メルル様へお近づきになられ、すっと頭を撫でられておられます。



なんと羨ましい!



あ、いえいえ。


なんでもございません、少し内心の言葉が漏れてしまいました。



エリス様は、スタッと軽やかに壇上に戻られると


もう一度周囲をゆっくり見回されると、すっと、一度目を閉じられました。


そして、カッとお開きなられると、


「もう一度皆に問う。私についてくるか?」


ショーン様の魔導二輪から返答の魔導音が響きます。


それに続くように、誰もが自分の愛車の魔導音をかき鳴らします。



エリス様は一度静まるように手で合図され、


「分かった。ありがとう。じゃあ、行くよ?遅れるんじゃないよ?」


もう一度、短く魔導音が返答のように揃って音がいたしました。



ああ、この高揚感。久しぶりです。



「ルールー。私達が乗ってきた、この薔薇弐号はあなたに上げるわ。


 メルルが手伝ってくれるから、30分であなたのモノにしなさい。」



はぁぁぁぁぁぁあぁん。


何ということでしょう。エリス様から愛機の薔薇弐号を頂戴してしまいました。


しかも、私の好きなようにカスタマイズするようにと。


それに際して、メルル様のご助力を頂けるですって?


もう何たる光栄。ルールーはもう天にも昇る心地です。



「ルー久しぶり。早速だけど、調整は昔のまま?それとも好み変わった?」


メルル様がすぐにいらっしゃり、お声をかけてくださいました。


私は昔のままと答え、すぐに何名かで作業を始めました。


この薔薇弐号はそのままでも十分高性能な魔導二輪だったものを、


メルル様の手で一度魔改造されているものです。


ですが、やはりエリス様向けに微調整されている部分も御座いますので、


賜ると言っても最適化には少し時間がかかってしまうのです。


通常ならば、その調整には丸々1日とかかってしまうのですが、


そのような繊細な作業をメルル様とその弟子の皆さんは、30分で終えてしまわれるのです。


恐らくこの国で一番の調整師に違いありませんね。




「よし。できた。ルー。試運転。」


「はい、畏まりましたメルル様。」



先程は真紅に煌めいていたコンソールの魔石は私色に染まっておりました。


漆黒に輝くその魔石に、つと手を触れると、私の中にもこの子の情報が入ってくるのを感じました。


うっとりして目をつぶってしまっていましたが、


目を開けるとそこには、薔薇色のボティだった薔薇弐号出会ったものが、


漆黒の蝶に成り代わり、その両眼にも光を灯しておりました。



「おう、黒蝶。らしいもん乗ってんじゃねえか。」


ショーン様がお声をかけてくださいます。


私は短くお礼を申し上げると、エリス様のところへ向かい、用意が整ったことを告げました。



「我が天使たちよ。我らが閃光、何人も止めることをば出来んや。


 戦乙女の誇りを穢した阿呆に鉄槌を!いくぞっ!」



魔導車のタラップから勢い良く走りだす薔薇参号。


その後ろには続々と続く天使たち。






今宵、戦乙女たちの聖戦が開かれる。



はい。完全にバイクの大好きな女の子の集団ですね。

どうやらこの中にはお姉さまが好きでたまらくて、

共通のグループに入るために天使になった子もいるようです。

が、大部分はバイクジャンキーです。

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