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想い出-memoly- ...Autumn / 秋。
言葉を紡いだ夏を越えて、
枯葉の舞う、秋が来て。
汗も、日差しも嫌いな私。
そんな私への、些細な気遣いをしてくれた
そんな秋。
柄にもなく、
女の子らしくなろうとして。
前の日から浮かれてみたり
眠れなくて、ぽやっとしてみて。
気付けば眠って、朝を迎えて。
慌てて支度をした、お昼前。
ぎこちなく、交わした声は
裏返って、慌ててしまう私を
愛でてくれる、優しい紡ぎ手。
…願ってしまった。
引き返せないと、引き返したくないと。
だから、また。
何度も、私は。
その優しさに、寂しさを。
…感じては、怯えた。
何気ない会話も、
さりげない気遣いも。
すべてが、優しさに満ちていて。
私はただ、その優しさに
…寂しさを覚え、またね。
そう言って、交わした言葉を最後に。
私は、逃げ出した。
秋、私は、また1人になって。
一つ、願い事が出来てしまった。
花じゃなくて、女の子になりたい。
そんな、願い事。