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想い出-memoly- ...Summer / 夏。
蝉の声。
音がうるさくて、
太陽が嫌いで、
汗をかきたくない。
逃げるのが好きな私は、
いつも日陰で、ひっそり。
花になってからは咲いてた。
いつだったかな、
そんな、私を見つけてくれたのは。
見つかっちゃったのは。
暑さの汗でもない、
妙な汗をかいて、私は思わず。
言葉を紡いだ。
…貴方の言葉、綺麗ですね。
そんな、些細な言葉で。
ほんの、些細な下心で。
とても、大きな本音で。
私は、思わず。
…自分が何をしたのかわからなかった。
けれど、その後に。
交わした、いくつもの。
たくさんの、言葉を。
私は、確かに覚えていて。
その言葉のどれもが、私はやっぱり。
綺麗だと、思っていた。
そして、紡ぎ手を、想っていた。