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会社の犬

作者: Aju

しいな ここみさんの『瞬発力企画』参加作品です。

最終回のお題は、「犬」。。。


初めお題を見た時には「な〜んも思い浮かばん。ここまでで轟沈か‥‥」と思ったんですが、コーヒーを飲んでいたら、ふとむかし人と待ち合わせたことが思い浮かびまして‥‥。



 私は社命でその辺境の惑星に派遣された。

 そこで「犬」として飼われている動物に外見が似ている——という、ただそれだけの理由での単身赴任である。


 そこではずっと裸でいなければならない。というのは社員待遇としてどうかとも思ったが、割と高額な潜入手当が出るということで自分を納得させた。

 サラリーマンが社命を拒否できるわけもない。


「わかりました。」

とだけ答えて、私はその辺境惑星へと出向いた。


 正体を知られてはならない。

 という緊張感と、裸で暮らさなければならない屈辱感に、最初のうちこそ私は体調を崩しそうになったが、やがてそんな生活にも慣れた。


 私の任務はターゲットである教授のペットとなり、その研究の最新情報を盗んで会社に報告することだった。

 サル型人類の脳内スキャナーと報告のための小型通信機。それが私が持たされた唯一の装備である。

 あまり多くの装備を持ってゆけば、発覚のリスクが高まるから——ということだった。


 私はターゲットの教授を駅まで送り、帰りには駅まで出迎えに行く、という「忠誠心」を見せ、教授の信頼を勝ち得ることに成功した。

 この送り迎えの時間に、他のサル型人類に悟られることなく教授の脳内をスキャンすることもできるので、一石二鳥なのだ。


 私の「飼い主」として設定された教授は、犬好きな優しい人だった。

 ただ単に「社畜」として任務を果たしているだけのつもりだった私は、いつの間にか、この人の良い教授のことを本気で好きになってしまったようだ。

 会社に報告を送信してからの私の日常はヒマで、いつしか私は駅まで教授を迎えに行く時間を心待ちにしている自分に気がつき、少し可笑しくなった。


 そしてある日、教授は突然帰って来なくなった。

 駅で待っていても、教授は帰ってこない。

 どうしたんだろう?


 私は教授のことを心配しているのだろうか?

 それとも、途中になってしまった「会社の任務」を心配しているんだろうか?


 毎日、電車が着く時間になると駅まで迎えに行くが、やはり教授は帰ってこない。

 会社からは、撤収の指令も来ない。

 私は、どうすればいいのだ?


 このまま、死ぬまで待ち続けるしかないのか?




       了





そして、銅像になった。。

(事実ではありません。あくまでもフィクションです)

‥‥‥‥‥‥‥‥

フィクションですってば!

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― 新着の感想 ―
まさか、宇宙人だったなんて……!( ゜д゜) それにしてもあんなに愛くるしい彼らも社畜として頑張ってるのかと思うと、なんだか余計に親近感がわきますね笑。 想定外の設定にすごく引き込まれました! Aju…
考えてみますと、広い宇宙には色んな宇宙人がいても不思議ではありませんね。 もしかしたら地球人ソックリな生き物が地球でいう「犬」のような愛玩動物や「牛」のような家畜として認識されている星もあるかも知れま…
ハ、ハ◯公、おまえだったのか。いつも待ち合わせ場所になってくれてたのは。 宇宙人は、ぐったりと目をつぶったまま、頷きました。 ……なんちゃって。あんな忠誠心深く、待ち続けるなんて、確かに宇宙人といわ…
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