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選ばれた異端  作者: 湯琉里羅
第1章 余命と病気
30/31

調査

話を聞いた翌日。

なんとなく久しぶりに早起きしたものの、出発は昼らしい。

病院の仕事を手放すわけにはいかないけど、せっかく早起きしたのに...。

時間も余っているし、宮原さんに勝つために特訓しなきゃだな。


ドアが開く音。同時に、ナースの芝野さんが顔を出す。


「あれ、珍しく早起きだね。」


「なんとなく」


「そんな日もあるよねえ。」


彼女は結構ポジティブな性格だと、最近分かった。


「あの人、妙にいそいそしてたもん。今日どこか行くんでしょう?」


「そ、そうですけど...」


「かれこれ五年くらい一緒に仕事してるからね。分かってくるのよ。」


「なるほど...さすが芝野さん」


五年も仕事していれば、自然と分かるものなのだろう。


「でしょでしょ?あの人、君のこと見つけられて良かった、って言ってたなあ。」


「え?」


発言の意味がわからず、聞き返す。


「あ、やば、言っちゃった。今のはなかったことにしてー!」


そう言って、彼女は立ち去っていった。

「見つけられて良かった」って、どういうこと?

一体、宮原さんは何を隠しているのだろうか。



――謎は解決しないまま、昼を迎えた。


約束の時間にエントランスに行くと、青の自動車が1台止まっていた。

近くには、宮原さんの知り合いと思わしき人物もいる。


約束の時間から十分、宮原さんがまだ来ない。


「いやあ、すまない。遅れてしまった。」


後ろから、宮原さんが走ってきた。


「ったく、今日は早い方じゃねえかよ。」


これで、早い方...?宮原さんって、意外としっかりしていると思っていたのに。


「そうだ、紹介するよ。僕の友人で、フリーライターの池田だ。」

「ちーっす。おまえさんのことは少しは聞いてるぜ。」


チャラい人。それが池田さんの第一印象だった。

「今日は、よろしくお願いします...。」


「いいってもんよ。珍しくリュウが気に入ってるんだしな。」

「余計なことは言うな。」

「またまたー」


この二人、いいコンビだな、と感心して眺めていると、「ささ、乗っちゃってくれよ。」と声をかけられたので、「はい」と応じた。


移動の間、車内では英語の曲が流れていた。

何を言っているのか全くわからないけれど、なんとなく雰囲気が気に入ったので、今度聞いてみよう。


車は高速道路を降り、斜面の激しい山道を通り、県をひとつ、ふたつ、と越え、人のいない田舎に来た。


「よし、着いた。ここから少し歩いたところにあるらしい。」


「何があるんですか?」


「活動拠点みたいなところらしいけど...」


「こんな神社に一体なにがあるんですか」


「ま、それは言ってからのお楽しみってもんよ。」


「は、はあ...」


「ここで車を見ておくから、二人で行ってきな。」


「いいのか、行かなくて。」


「まあ、そのー...触れないほうが良い事情ってのもあるだろ?俺は二人と違って、()()の人間だからさ。」


「そうだな。すぐに戻ってくるから待っとけ。行くぞ。」


長い会話の末、俺は宮原さんと二人で鳥居への階段を登り始めた。



――どれくらい登っただろうか。


「はあ、はあ......」

「長すぎるな...」


一段、また一段と歪な石の階段を登っていく。

そして、さらに五分ほど経ったとき、視界に鳥居の先端が見えた。


「あと、少し...」


長い長い階段を登りきり、見えた先には、大きな鳥居と、小さな宝物庫。


「なんだ、これ...」

「中には...なにもないな」


「「うーん」」


二人して考え込んでいると、突然、何の変哲もない地面が光りだした。


「わっ!」

「何が起きているんだ!?」


あまりの驚きに、近くの柱に隠れる。

光の先端は紋章のようなものを描き、そして、真上に大きく光を放った。

そして――人が現れた。


「はあああ、今日も仕事...。」

「さっさと終わらせよ。」

「だねえ...。」


ここにいることがバレたら、命が危ない。

そう、本能が察して息を殺して隠れる。

おそらく宮原さんもどこかに隠れているはずだ。



「てかさー、いつまで隠れてるの?」


気だるげな、でもしっかりと響く女性の声。



どうする...さすがにこの見通しの良い場所ではバレるよな...え、俺死ぬ?


「早く出てきてもらって」


今度は、同じく気だるげな男性の声。


どうすればいいのか分からず、宮原さんがいるであろう場所に視線を向ける。

どうする、どうすればいい...!?


「あ、待ってクルから電話。はいー。ええ、まじで...。はいはい、すぐ行きまーす。」

「また呼び出し?」

「んじゃ、そっちの処理よろしくー!」

「は?ちょ、まっ」


シュッ


消えた。人が、消えた...?


「はあ、最悪...。面倒だから手っ取り早く出てきてもらって良い?」



人生、終わったー...。それが、素直な感想だった。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

ずっと書きたかったキャラクターがついに出せて、嬉しい笑

ここからペースを上げていきたいところ......。

感想・リアクション・アドバイス等、お待ちしています。

よければ、ブクマ登録もよろしくお願いします!

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