見えた数字は『5』
これは、ある日の昼過ぎのこと。
「遼太ー?おばあちゃん来たから下に来て」
「はいはい、いま行きますー」
正直ヤツの話に付き合うのは面倒だが、お金のためだ。
階段を降りるとニコニコとした顔で母親とおばあちゃん(以下ヤツ)が待っていた。
その手にはいつも通り、一枚の紙幣。
「遅いわよ、遼太」
「ごめんって」
普段なら「うるさい」というところだが、いまはあのお金が欲しいので、気持ちを抑えて、我慢。
「最近どうだい?」
「まあ、ぼちぼち...ん?え?」
ヤツの頭の上。そこにある数字は『5』。
「どうした急に」
いつか、身内でこういうことが起こるのは覚悟していた。
こんなにも、早く、くるなんて、そんな、どうして。
ヤツのことは、嫌いなはず、なのに、なんで、こんな、気持ちに。
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、
「4日後...ってことは木曜日だ。たしか木曜日って部活の遠征で栃木に...」
「遠征に行くの?がんばってねぇ」
「いやそうじゃなくて!ばあちゃん死んじゃうんだよ!!」
「なにいってるのあんた」
と母親。
「はて...?」
と言いつつ、図星な顔してるばあちゃん。
やべ、勢いで言っちゃった...。
「じょ、冗談、冗談...あははは...」
「もう...全く」
なんとかごまかしたけれど、いずれ俺の能力のこともばれてしまうかもしれない。
だって、俺は知っている。この数字がくつがえることは、一切ないことを。
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(補足)数字は「今日」を含みます。