side story - それはまるで心理戦のよう
ついに、あの二人がぶつかる...!?
マネージャーである西川奏さん、大ファンの笹川みなみさん、そして養護の私。
三人で構成されたこの女子部屋は昨日まで平和に過ごしていたのだ。
そう、昨日までは。
夜、生徒への処置も終わり、就寝準備をしていると、いつものように西川さんが話しかけてきた。
「ねえねえ先生。夜中になんか話そうよ〜」
笹川さんもノリノリみたいで、
「あの時の青春をもう一度!!」
なんて言い出すものだから、思わず苦笑いして、
「仕方ないなあ、少しだけね。」
といつもの回答をするのであった。
西川さんは合宿のときはいつもそうなのだ。
今回の合宿は笹川さんも来ているし、いつもより少し盛り上がるかもしれない、と密かに楽しみにしていた。
――――――――――――――――――
消灯時間が過ぎ、西川さんが早速話を始めた。
「ねえ、せっかくだから、先生の昔の恋バナ、笹川さんに聞かせてあげたいの。」
「いいね!聞きたき聞きたーい!」
毎度毎度同じ話をしているというのに、本当に懲りない生徒だ。
「まあ少しだけならね...。あれは高校生の時だったかな、私はクラスで浮いていて...」
話を聞く二人はいつにもまして興味津々。
一通り話し終わったあと、笹川さんは
「すっごく素敵!羨ましいなあ」
とあんまりに騒ぐものだから、
「そんなにかな...。」
と謙遜してしまう。
「そうだ、せっかくだから、普段はしない話をしよう。」
と提案すると、西川さんが興味を示した。
きっと、いつも同じ話ばかりはつまらなかったのだと思う。
次からは色々と話を持ってきたほうがいいかもしれない。
「二人は好きな人っている?」
瞬間、二人の間に緊張の空気が走る。
なぜだろう?私は分からないまま、質問を重ねる。
「西川さんは、山住くんのこと好きなのかなって思ってるんだけど」
ピリついた空気を感じつつ、ずっと気になっていたことを聞く。
「...私はたしかに、遼太のことが好きです。でも、普通今ここで聞きます!?」
「え、いやずっと気になってたから...。」
問い詰められるような口調にしどろもどろになりながら答えると、
「もういいわ。笹川、対決しようじゃないの!」
「いいわ、望むところよ。」
え、え、え、なになになに!?
もしかして、二人とも山住くんのことが好きなの!?
とんでもない話題を振ってしまったのかもしれない。
どうしよう、どうすれば...。
そんなことを考えているうちに、
「私は遼太と幼馴染だった。親同士の付き合いともあったから、二度や三度は泊まりくらいしたことあるし、なにより遼太のことなら知り尽くしてる!!」
「たしかに歴でいえば奏ちゃんの方が長いよ。そもそも私は恋とかじゃない。でも、中学に入ってから遼太くんとよく話すのは誰か分かってる?」
「よーく分かってる。でもね、長さは濃度より勝るんだから!」
「へえ、じゃあ色んなエピソードを聞かせてあげようか?例えば、彼の好きなゲームは知ってる?」
「知ってるに決まってる!よく戦闘ゲームをしてた、特に銃撃戦が好きだわ。」
「具体的なゲーム名は?」
「そうね、フォートナ◯トやエーペッ◯スあたりよ。」
「あら、情報が古いんだねえ。今はポケ◯ンをやってるらしいよお?」
「んぐぐぐぐぐぐぐ...」
ハイスピードで交わされる会話になんとかついていくが、段々置いていかれるのを感じる。
これが、恋の力...。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
そろそろ本編に戻ろうと思います。ゲーム名とかって出しちゃダメいいのか?誰か教えて...。
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