因果
女王の死は噂によると殺されたらしい。
それが本当か知る術は無いが、保守的な考えを持っていた女王の死を多くの女性が喜んだのは事実だった。
彼女の保守的な言動からの区別は差別を生み、女王自らがその象徴でもあった。
すなわち女王の死は、それそのものの死であり、その兆しとなり、きっかけとなった。
女性達は女王の死をきっかけに革命を唱え、行動を起こすにはまたとない機会であったのだ。
抑圧された生活に差別、未だに手に出来ない参政権。
女性達はそれらに端を発し、行動を起こさせた。
その結果、あらゆる人種や、思想を持った人々が乗じ集まり、国内国外を問わず、そのほとんどが女性であった。
この国で自由を求める為。
そして今尚求め続けている――。
女王の死から数年。私は14歳と成り、この国に閉じ込められていた。
多くの人々が集まるこの『自由への国』でも、東洋人である私は唯のよそ者でしかなかった。
自由を求めこの国へ来たものの、それ以前に東洋人など受け入れられる筈もなく、それ自体に女性も男性も無かった。
私は逃げ出したかった、この差別に溢れ、自由の無い世界から。
そんな時分、14歳の元服に伴い、私は母から魔法を継承し、晴れて魔女と成った――。
母は魔女であった為、その娘である私には魔女の血が流れていた。
魔女の血は魔力そのものであり、魔力である血を減らし魔法を使った。
自身に流れている血が減る為、魔法を使うと貧血を起こしたり、最悪死に至るらしく、故に本当に必要な時にだけ使わなければならなかった。
魔法を使うと言ったが、私は魔法というものの認識が根本的に間違っており、それを母から教えられた。
魔法の継承――魔女の血が流れる私は、そのおかげで魔法の継承だけで済むと言われたが、私は魔法というものが何か解っておらず、継承の意味など知らなかった。
魔法とは魔女が魔力を使い、呪文を唱えれば使える力の様なものの事と。
そう思っていたが、母曰くそれは『因果』だと――。
私の言う『魔法』は、魔力と呪文を使い起こる力の総称であると。
事実、『魔法』はそれそのものであり、それ以外言い様が無い。
しかし母は、魔女の使う力が魔法ではなく、魔女の中に眠るものが『魔法』だと言っていた。
故に、『魔力』を使い、『呪文』で『魔法』を目覚めさせ、力や形と成って現れたものが『因果』。
という考え方らしい。