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『プロローグ』

ーーー西暦2293年ーーー


「あぁ、死ぬのか....」


 ふとそんな言葉が口から出る。


 目の前の赤い光学センサがこちらを見つめている。


 この戦争の初期に開発された、初の《自立戦闘汎用人工知能ニュー・ルーラー》通称《悪魔(トイフェル)》の〈壱型〉に銃を向けられている。


 こんな所で死ぬのか....まだ何もできていないというのに。


「何やってんだ、〈捕食者(ブリュンヒルデ)〉!さっさと起き上がれ」


 そんな声が聞こえる。






 そもそも何故こんな世界になってしまったのか。


 それは250年前に遡る。


 西暦2043年4月4日、技術的特異点(シンギュラリティ)を目前としたこの日に《異空間扉(ゲート)》が東京に現れた。


 暫くすると、その《異空間扉(ゲート)》の中から黒いツノの生えた何かと、黒い髪に赤い瞳、黒いローブのような物を羽織った男が現れた。


 内1人は『神』と名乗り、うち1人は『捕食者』と名乗った。


 『神』と『捕食者』はこの世のものとは思えない程の能力を使って戦い始め、結果『捕食者』が『神』を屠る形で終結した。


 その後、警察は殺人の容疑で『捕食者』を名乗る男を逮捕したが、数日後東京に現れたものと類似する《異空間扉(ゲート)》が現れ、『捕食者』は姿を消した。


 そもそも《異空間扉(ゲート)》はその時初めて見られたものでは無い。


 2027年8月3日のことである。


 都内のとある公園に、謎の機械が現れそこから出てきた男が何かを言おうとした瞬間にも《異空間扉(ゲート)》が現れていたと、タイムマシンを巡り各国がしていた戦争、通称『時空戦争』が終結した2054年に科学者、高野美咲氏は語っている。


 高野美咲氏と共にタイムマシンの開発に携わり、戦争が起こることのない世界へする為タイムマシンを使って過去へ飛んだ、酒井裕翔氏はそれ以降消息不明となっている。


 我が国も『時空戦争』に参加していた為、『捕食者』を探す余裕はなかった。


 また、時空戦争終結後『タイムマシン』については、『渡航者』を名乗る男によって全て廃棄されることとなった。


 その20年後にあたる、2075年8月13日のことだ。


 何をしても入る事すら出来なかった《異空間扉(ゲート)》から、無数の兵隊らしき軍隊が馬に乗って出現した。


 彼らは、極めて不可解な力《魔法》を使い我々に攻撃を仕掛け、この世界の人口は当時の人口の5分の3にまで減少した。


 2175年、最終的に『捕食者』を名乗る青い瞳に金色の髪、黒いローブを纏った男が異世界人と我らとで条約を結ばせる事で、この戦争は終結した。


 その10年後の事だった。


 2045年に到達しなかった《シンギュラリティ》が2185年に到達。


 進化した人工知能は、人類を滅ぼすことを決定し異世界人を惨殺。

 異世界人の脳構造から、《魔法》に似た力を手に入れ我らへ攻撃を仕掛けた。


 それによって始まったのがこの戦争だ。


 




「こんな所で負けてたまるか!」


 俺はそう言うと、《機械装着戦闘服(ワルキューレ)》を最大展開し、〈壱型〉を雷式ブレードで斬りつける。


 すると、〈壱型〉に膨大な電流が走り、真っ二つになった。


「殲滅完了」


 俺がそう言うと、俺の先輩である赤井謙太に睨まれた。


「ビックリしただろ捕食者。急に倒れないでくれよ」


「すみません....」


「にしても、あの短時間で《ワルキューレ》を最大展開させるなんてな。危険だから止めろと言っただろ?」


 普通ワルキューレを最大展開するのには40秒ほどかかる。


 もっとも《ワルキューレ》を着用している兵士の安全性を無視すれば10秒もかからないのだが。


「あの場ですぐ倒すには、あれしか....」


「黙れ。お前は安全面を抜いても、《ワルキューレ》が故障しないために完全展開する時間の10秒規定を無視し、0.1秒で展開したんだ。お前の体も、《ワルキューレ》もぶっ壊れるぞ?」


 いつもやる事なので、とっくの昔に衝撃や強化対策はしているのだが。


「次からは絶対すんなよ!」


「善処します」


「何回目だよ、そのセリフ。まぁ言っても無駄なのは大体分かってきたが....」


 先輩がそんな事を言っていると、通信システムが作動し少女の声が聞こえた。


『〈ブリュンヒルデ〉、および〈ゲイラヴォル〉に出撃命令。第3区付近に〈壱型〉数体が接近中。直ちに....』


「最大展開」


 俺はそう言うと、雷式ブレードを両手に構え《ワルキューレ》の最大速度を持って〈壱型〉を殲滅した。


「殲滅完了」


『えっもうですか?!』


 そんな声が響いた。


「言った側から....」


 先輩は頭を抱えて言った。

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