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君の性癖は僕の性癖。それが身体の相性良いってこと

死にたい死にたい死にたい死にたい。全て自分のせいで死にたい。湊から電話がきた。


「今どこにいるんですか?」


って。俺は正直に


「ルイとホテルにいる」


って言っちゃった。そしたら、湊の深いため息が聞こえてきて、


「浮気じゃないですか」


って普段より低いトーンでイラついて言われた。


「浮気じゃないよ。ただ静かな場所で飲みたかっただけだから」


「貴方は何で僕という恋人がいる中でそんな行動取れるんですか?密室に二人きりだなんて怪しすぎるじゃないですか。軽蔑します」


湊に嫌われた。何で俺はこんな軽率な行動を取ってしまったんだろう。という自己嫌悪に苛まれた。


「……ごめんなさい」


「何もされてないですか?」


「もちろん。ルイだから」


「そうですか。早く帰ってきてくださいね」


という言葉を吐いてから、湊の電話が切れた。俺は今すぐにでもここを出なきゃという衝動に襲われて、上着を羽織った。


「京ちゃん、どこ行くん?」


とルイに手を取られた。


「湊から電話があった。湊に嫌われる……」


「なんでや?」


「俺がルイとこうして二人きりでいるから。ありえないよね、俺には恋人がいるのに……」


自分はなんて馬鹿なんだ。湊を傷つける行動ばっかする。


「京ちゃん、行かないで」


何故か、ルイは俺のことを引き止めた。


「何で?湊に嫌われ……」


「行かないで。お願いやから」


ルイはそれ以上言わなかった。ただとても心配したような目をしていた。


「……湊に嫌われる方が嫌だ。ルイとはいられない」


「ほな、送らせてよ」


とタクシーをホテル前まで呼んで、家まで送ってくれた。その道中、ルイはずっと手を握ってくれていた。


「ルイ、また湊に嫉妬されちゃったね」


「俺は湊くんとは合わへん気ぃするわ〜」


「湊、とってもいい子なのに!」


なんて会話をして、家に着いた。タクシーを降りる時にルイにバイバイと手を振った。


「ただいま、湊」


「おかえりなさい」


と言って、俺の目の前に湊が立った。


「湊、会いたか……」


とハグしようとすると顔面を叩かれた。


「え?」


「何にもしてないって言ったのに!」


湊はヒスって、俺の髪の毛を引っ張ってきた。


「痛い痛い痛い痛い!」


「じゃあ何ですか?この首元のキスマークは!」


「それは……ルイに首絞めてもらっただけ……」


「は?意味わかんない……。なんでそんなことしてるんですか?」


「死にたかったから……」


というと、湊は腹立ったようで俺の首をぐっと掴んで絞めてきた。


「そんなの僕でいいじゃないですか」


声が出ない。顔が紅潮する。


「はぁ……はぁはぁ……ごめんなさい……」


バッと手を離されて、空気を目一杯に吸い込む。


「ねぇ、京一さん?」


バシンっとまた頬を叩かれた。


「……ごめんなさい」


「可愛い♡♡泣いてるんですか?」


湊に嫌われるのが嫌で暴力さえも甘んじて受け入れてしまう。だけど、身体は強ばっていて、不意に涙が出て、止まらない。


「ごめんなさい……」


「いいんですよ。あぁ、可愛い」


湊はぎゅうっとハグしてきた。それだけで安心感を得てしまう俺は馬鹿だ。


「湊、不安にさせてごめんなさい……」


「本当、そうですよ。腹立ちます」


「もう、湊の傍からいなくならないから!」


何となく嘘をついた気がした。今は湊がちょっぴり怖いから。すると、湊は俺のズボンの中に手を入れてきて、臀を揉んだ。


「愛してるって証明してください」


そのままキスをされながら、服を脱いで、裸同士で抱き合った。湊は俺の上に乗っかって、何回も首を絞めた。


「あっ……はぁはぁ、んんっ……」


首絞められると、愛玩具にされているように感じた。身体が勝手に生きたいって動いてる。死んじゃってもいいのに。


「京一さん、まだへばったらダメですよ」


俺を起こすように頬を強く叩かれる。


「あっ……んんっ……」


湊の言うことを聞かなきゃ。湊のためだから必死に耐えた。絶頂を迎えて、頭が真っ白になった。


「京一さん、可愛いですね」


湊は俺のことを撫でてくれた。それだけで何だか救われた。


虚無になりながらタバコを吸った。頭がまだぼーっとしている。


「京一さん、ルイさんには首絞められただけ?」


「うん」


「そっか。ルイさんの連絡先消して?」


と俺のスマホを手に取って、差し出してきた。


「嫌だ」


「なんで?」


「嫌だ。無理……」


と首を振るしかできなかった。


「僕のこと、愛してますよね?」


「今後一切、二人きりにはならないから!」


「京一さんって、嘘つきです。僕に隠れてこそこそと悪いことしてる」


湊にそう言われると心が苦しかった。


「ルイは無理。薬もらってるし……」


「ルイさんはきっと京一さんのこと好きですよ」


「……そうかもね」


ルイは俺を最優先にしてくれる。でも、ルイだって不安定だ。俺がいなくなったら狂っちゃうでしょ?


「だから、ルイさんの連絡先消してください」


俺はそれはできなくて、その支配に耐えられなくて、煙草を吸ってから湊にこう言った。


「じゃあ、別れる」


「え?何で??」


「湊が俺に何しようがいいけど、俺の人間関係まで口出されんのは耐えられないから」


俺は怖かった。ずっと別れるの言葉を冗談にしたかった。でも真剣味をもって別れる理由も言えてしまった。


「だって、京一さんのはほぼ浮気じゃん!!」


「湊以外に恋愛感情ないよっていつも言ってんじゃん」


「じゃあ、不安になる僕が悪いんですね?あーはいはい、分かりました。僕が悪かったです。どーぞ浮気したらいいじゃないですか」


湊は薄ら笑いで俺に興味をなくしたように突き放した。


「そうやって拗ねんのやめて」


「じゃあ、どうしろって言うんですか!貴方が浮気してんのを見てニコニコしてれば満足ですか?僕はそんな京一さん嫌いですけどね!」


と湊は怒気を強めて話してきた。全部俺の我儘のように感じる。今すぐごめんと言って抱きしめて、君の従順な犬になりたい。


「俺は正解がわからない。湊の気持ちも俺の気持ちも大切ならさ、どっちを尊重すればいいの?ねぇ、湊教えてよ」


と縋ったら、湊はしばらく沈黙してから微笑んだ。


「僕もわかんないですよ。でも京一さん、僕のことを不安にさせないでください」


そう言って、頭を撫でられた。わかんないけど、なんかわかった気がした。湊が嫌がることはできる限りやめようって。


「湊、ごめんね。とっても愛してる」


と抱きつくと、湊は俺の唇にキスをくれた。


「もっともっと聞きたいです」


その夜、湊が寝るまで愛してるを言い続けた。



俺は確実に湊のことを愛しているのに、着々と死にたくなっていくこの感情を止められなかった。


湊が高校を入学してからだった。湊は友達ができなかったのか、休み時間になる度に俺に連絡をしてきていた。京一さん今何してますか?って。俺は適当に返信するけど、湊は愛情を欲しがってて、毎度愛してると打つけどそれでも物足りないみたい。

湊は学校が終わるとレッスンを受ける。湊の芸名である三上 (みさと)を宣伝するためのSNSが更新される。それにいいねをして、湊の帰りを待つ。帰ってくるのは夜の十時近くだった。湊は忙しいため、俺の料理を作ることはなくなった。ただ一日二食は家に持ってくるのが当たり前だった。湊からの愛情はずっと感じている。俺の死にたい病が治らないのが申し訳ないくらいに。俺もバイトをしたり大学に行ったりして忙しくしていたが、湊に比べたら全然だった。


「京一さん、ぎゅーしてください」


湊は家に帰ってくると前以上に甘えてきた。そんな湊が可愛くて、家にいる間、ずーっとベタベタしていた。


「湊、すげー好きだよ」


なんて甘い言葉を言って、お互いに離れないように抱きしめ合った。新しい環境で慣れない彼を本気で支えたかった。でも彼は俺の言葉を信じないようになった。


「わかってます」


彼は俺の愛の言葉を軽く受け流すようになった。照れもせずに慣れたのかと思ったが、信用してないだけだと知った。何故なら、彼は苦しそうに笑ったから。


愛してると言ったその答えは、苦笑いだった。


形式だけの愛の言葉はいらないみたい。だけど、形式さえ整ってればまともに見えるから、それでも続けたいみたい。その苦笑いの裏には俺が裏切ってきた過去が滲んでるんだろうね。想像をするだけで背筋が凍った。



京一さんってめちゃくちゃ可愛いからムカつく。何されても何でも許しちゃいそうな自分がいる。そうやって、都合よく搾取されてる自分に腹立って仕方がない。僕のこと好きならさ、もっともっと僕を求められるよね?もっともっと僕のいうこと聞けるよね?貴方にはそれがないから、僕は貴方のことが好きだけど、貴方のことを信用できないでいる。高校生活は順調だった。入学式、ママはとっても喜んでくれた。高学歴ってだけで箔が付くから。だけど京一さんに新しい制服を見せた時、京一さんはなんだか悲しそうな表情を見せた。そしてこう言うんだ。


「湊、俺から離れていかないでね」


は?だったら貴方がもっと僕を求めてくださいよ!そうやって縛る言葉を言う割に貴方はいつもふわふわしてる。僕のこと好きなんじゃないの?って毎度問い詰めたくなる。でもそんなことしたらめんどくさい奴だって思われそう。


毎日、夜遅くまでレッスンをしているから京一さんと一緒にいられるのは寝る時ぐらいだけになった。疲れを癒すように僕は京一さんに甘えてしまう。けど、京一さんは何も言わない。甘える僕にあわせて甘やかすだけ。それも悪くないけれど、もっと一緒にいたいという愚痴の一つも聞きたいぐらいだ。京一さんにとってはこれくらいの距離が丁度いいのかも。僕がいない十数時間、僕がいなくて快適に過ごしてるのかな。前からそんなところがあった。僕が家にいても一人になりたがって、布団にくるまってた。貴方はきっと僕の好きで救えない。けど、貴方だって、僕の好きなしでは生きられないでしょ?ねぇ、応えてよ。僕のことをもっと安心させて。その思いばかり募っていく。


高校生活は順調だった。授業にもついていけてるし、友達もできた。なんなら、男子校の姫になった。部活は演劇部に入ったが、マネージャーから仕事でやる本格的なレッスンのが重要と言われ、あまり顔を出せなかった。けれど、顔を出せる時は、仕事で身につけた演劇スキルをみんなに教えられた。みんな僕には優しいんだ。中学の頃は薄ら浮いていたが、高校に入ると、みんな気軽に声をかけてくれて、絡んでくれる。


「湊くん、肌綺麗だよね。何か使ってんの?」


「あー、化粧水はこれで、乳液はこれ。あと、気になるところには、美容液使ってて……」


そんなんじゃない。京一さんとのセックスで、肌の調子がいいだけ。高校に入学してから、数ヶ月。三度、告白された。今は仕事と勉強の両立で忙しいから誰とも付き合うつもりはない、と全て断ったら、もう僕には誰も告白してこなくなった。満たされているはずなのに、心のどこかでまだ満たされていない。


「湊、お疲れ様」


仕事から帰ると、京一さんは煙草の匂いを纏った身体で、僕にキスをしてくれる。そして、そのまま僕達はベッドに潜り込む。


「京一さん、立てなくなるくらい僕を愛してください」


金曜の夜、愛の言葉だけじゃ物足りないから、身体で愛を示してと彼に縋った。京一さんはやはり困った顔をした。


「湊、愛してるよ。それじゃ、ダメ?」


三回ほど終えた後に彼は息を乱しながら、僕にキスを落とした。僕はまだ壊れていなかった。足が痙攣して、内臓をぶちまけるほどの快楽が欲しかった。安全圏から逸脱していなかった。京一さんから抱えきれないほどの愛が欲しかった。


「……もういいです」


僕は布団で身をくるんだ。京一さんはため息をついて、煙草を吸った。きっとめんどくさい奴だって思われた。ビルの屋上から、貴方と飛び降りる夢を見た。貴方は僕のことしか見てなくて、抱きしめ合いながら、二人で屋上から身を投じる。貴方の煙草の匂いで目を覚ます。僕は蛹から出た蝶のように、ふらふらと歩き、貴方の前でしゃがんだ。貴方のそれが目の前にあった。貴方のパンツを下ろして、それを舐め始めた。


「湊、もうできないって」


「嫌です。貴方を感じてないと嫌です」


貴方と繋がっている時だけ、貴方からの愛情を感じた。僕はここにいていいと貴方から認められているようだった。けれども、その行為が終わった後に来るのは、貴方は僕を愛したいよりも死にたいのが上回っているということだった。


「やめろよ」


貴方は顔を背けて、煙草の煙を吐いた。


「京一さん、貴方の灰皿にしてください」


僕は貴方のそれを舐めながら、左腕を差し出した。貴方は一瞬、ビクッとした。そういうのが好きなのはお互い様だった。貴方は短くなった煙草を僕に押し付けていると、笑った。


「お前のそーゆーところ、やっぱ好き」


「僕以外いらないじゃないですか。僕にしかできませんよ、貴方を悦ばすことは」


皮膚が爛れて、赤くなって、水膨れになってく。貴方のためならそれすら厭わない。


「お前の愛の重さを厄介だと思ったんだ。それは死にたいには邪魔だったから」


「貴方って本当に気分屋で嫌になる……。死にたいくせに愛されたいんだから。大人しく僕と付き合っててください」


「全部、俺の死にたいが悪いよ。俺のことは恨んでいい」


「もう、とっくのとうに恨んでますよ」


と愚痴を言うと、貴方は笑った。そして、


「セックスしよっか。もう一回だけ」


と勃起してるのを隠さずにそう言った。貴方のが僕の中に入る度、ぎゅうぎゅうに中が締まって、圧迫感がある。貴方のことを内側から感じられる大チャンス。僕は貴方に動かないように命令をして、ゆっくりと自らの腰を動かしていた。気持ちよすぎてよだれが出そうだ。


「はぁ、はぁ……僕の子宮と貴方のちんぽがディープキスしてる……」


「クッソ遅いのイライラすんだけど。動いてい?」


「うん……いいよ……」


貴方は焦らされた分の快楽を取り戻すかのように、ガツガツと固いそれで僕の中を広げていく。貴方をじっくり味わうのもいいけど、貴方に暴力的に犯されるのもいい。腰を強く掴まれて、貴方のを根元まで飲み込んだ。貴方が腰を打ち付ける度に脳内に電流のような快楽がビリビリと流れる。


「やば……イきそう……」


「やだぁ、もっと楽しみたい……」


そう駄々をこねると、京一さんは煙草持ってきて、と僕に命令した。京一さんのを一旦、僕の中から出すと、摩擦で赤くなったそれはバキバキに血管が浮き出ていて、今にも射精したそうにドクドクしていた。煙草を持ってくると、京一さんは口を半開きにする。僕はまた京一さんのを包み込んでから、京一さんに煙草を咥えさせ、火をつけた。


「ん。上出来」


と彼は僕のことを撫でてくれた。彼の犬になったみたいで気持ちいい。彼の煙草の副流煙をダイレクトに食らって、副流煙だけで頭がクラクラしてきた。


「京一さんとのセックス、終わるの嫌です」


「知ってる。俺が賢者タイムで冷たい態度取るからだろ?」


「ううん。京一さんは僕と愛し合った後、何故か死にたいって思ってる。だから、嫌です」


「あははっ、どうしようもないね!俺がクズすぎる……」


「でも、僕もどうしようもないです。そんな貴方のこと、ずっと愛してる……」


ディープキスされた。煙草臭くて敵わない。けれど、これが京一さんの愛情で僕は嬉しくなってしまった。


「ちょっとは、俺からの愛伝わった?」


キスし終わった後で、情けなさそうにそう笑う。貴方のその脆さに僕は弱い。


「可愛い……可愛い!貴方の全部、僕のものにしたいです。貴方の死にたいも全部、僕が飲み込みます」


「ふふっ、気持ちだけ受け取っとくよ」


貴方はふーっと僕の顔に煙草の煙を吐き出して、笑った。意地悪な貴方に僕は唇を尖らせた。


「じゃあ、僕は貴方の精液だけ受け取っときます」


と腰を揺らした。そしたら、馬鹿笑いをしながら、


「俺からの愛は受け取ってくんないの?」


と腰に腕を回して、からかってきた。


「貴方の愛だって、信じたいですよ。でも、貴方を愛すれば愛するほど、貴方に裏切られた時、酷く痛むんです……」


「それは、これより痛いの?」


とまた煙草をぐりぐりと押し付けてくる。挑発的な笑顔で。


「こんなのよりもずっと痛い。心臓を搾られてるようにずっと痛むんです」


「そっか。これを言っても信じないだろうけど、もうしないよ」


「京一さん、僕を壊してください。そして、貴方の手で再構築してください。そしたら、僕はまた貴方を信じられる」


「嫌だ。それってさ、湊とのあんな思い出もこんな思い出も、なかったことにするんでしょ?俺はそんなことしたくないよ」


そう言って、抱きしめられると、僕は泣いてしまいそうだった。京一さんは僕との思い出の全部を大切にしてくれていた。僕は京一さんがまた浮気した、そのことばかりに囚われて、僕こそ正しく京一さんを見れていなかった。


「京一さんの全部、愛せるように努力します。その代わり、京一さんも僕に愛されるような行動を取ってください。約束です」


「わかったよ。俺が生きてんのは湊のためだから」


というと、京一さんは僕に精液をくれた。

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