表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/92

夢を叶えて眼目さん〜オメガバース編〜

「京一さん、オメガバースってご存知ですか!??」


「あぁ、複数ある宇宙のことだろ?」


「それはマルチバースっ!」


「??、じゃあ、ジュラシックパークの、」


「それはスピルバーグっ!!オメガバースですよ、京一さん!」


「なんやそれ、知らんわ」


と興味なさげにそっぽ向いてしまう貴方に


「そういうと思って、じゃじゃーん!オメガバース作品をたくさん持ってきましたぁ♡♡」


と大量にある漫画を見せつけて、プレゼンした。


「はあ?漫画??てかこれ、BLって言うんだろ?」


そうやって表紙を見て、得意げに言う貴方が可愛い♡♡僕の趣味、少しは興味持ってくれてたんですね。


「はい!よくご存知ですね!それで、オメガバースというのはBLのジャンルの一つなんですよ」


「へえ、」


「ちょっ、まだ説明終わってないですよ!!」


「だって俺、BL興味ないし、」


ソウデスヨネー、知ってた。でも何としてでも口説き落とさないと僕のオメガバースの夢は叶わない。


「お願いします!!僕はどうしても京一さんと番になりたいんです!!!」


「な、何??つがい……?」


「あのですね、オメガバースというのは男女の他にアルファ、ベータ、オメガの三つの性別に分類されていて、アルファは優秀な遺伝子を持つ人、ペータは普通の人、オメガは繁殖のための遺伝子を強く持つ人というイメージなんですけど、ここで重要になってくるのはオメガであれば男女問わず妊娠できることと、番という制度があって、あっ、その前にヒートについて説明しなきゃですね。ヒートというのは……」


やば、特有のオタク語りしちゃった。


「で、結局なにが言いたいの?」


「あの、僕はっ!!京一さんに───になってるところで────してもらって、それで僕達は──────で首筋噛まれて、もう───しまくって、京一さんとの子を妊娠したいです!!!」


「あーー、わっけわかんね」


とりあえず一冊、読んでもらった。




ね、ね?京一さん、面白いでしょ?面白いって言ってくださいよ。という期待の眼差しで京一さんを見つめていたら、


「気が散る。あっちいけ」


と冷たくも言われてしまった。けども、僕の熱は冷めなくて、


「社会的ヒエラルキーが性で決められる世界。けど、動物的な本能で惹かれ合う二人、身分差の恋っ!もう、ああっ!!言葉じゃ足りない!!」


と一人で興奮していた。


ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る。


「誰だよ?こんな夜中に、」


京一さんが玄関を開けると


「やあ、久しぶりだね!京一郎くん」


そこには図書館司書の眼目さんがいた。


「うわっ!!何でいんの!??」


「湊ちゃんに呼ばれたんだよ。オメガバースを大量に読ませてくれるんだってさ」


「はあ?湊、お前さあ、」


と京一さんに睨まれる。


「すみません!!でも京一さんとオメガバースの世界に行きたくて、」


僕は膝をついて謝罪し、懇願した。


「じゃあ、早速。トリップさせてあげる」


と眼目さんに触れられた瞬間、僕達は夢の中へと落ちた。




「湊くーん、今回も凄いね!学年で一位なんて、」


女の子が僕に話しかけてきた。学年で一位、何のことだろう?


「……ありがと(?)」


「やっぱりアルファは違うよねー。将来有望って感じ」


あ、期末テスト。僕が一位だったのか。しかも、僕がアルファ。ってことは、京一さんは、?


「おい、氷野!待て、お前!!」


「あははっ、煙草ごとき見逃せよなぁ。先生?」


廊下を思いっきり駆けていったのは、京一さんと先生?


「あの先輩、また追いかけられてるよ」


「あれでしょ?他校の生徒を何人も病院送りにしたっていう……」


「怖いよねー。あんま学校も来てないらしいし、」


「でも知ってる?あの先輩、三年生の中で一番頭良いらしいよ」


「えー、嘘!?何で!??」


「やっぱ遺伝子なのかなあ、世の中」


ってことは、京一さんもアルファ!??これじゃ、運命の番になれないよ。


「湊くん、これ職員室まで一緒に運んでくれない?」


と大量のノートを抱えた子に頼まれた。僕はイエスマンだから、


「うん、いいよ」


と二つ返事で引き受けた。


「同じアルファでも、湊くんのが良いよね〜!」


何やら噂されている、僕って優等生ポジション!??

職員室までノートを運ぶと、怒られている京一さんがいた。


「お前は頭が良いんだから、わかるだろ?」


「でもどーせ、先生は良い評価くれるんでしょ?」


って不敵に笑う京一さん。に目を奪われる僕。


「氷野、お前なぁ、」


と先生もこれにはたじたじだ。


「湊くん?、行こ?」


「あ、うん」


職員室から出た。あの笑みが忘れられない。


「じゃあねー、先生!」


と僕の後ろから元気な声が聞こえたと思えば、ドンッと後ろから肩に誰かがぶつかった。


「……っ!!」


「あ、ごめん!」


後ろ向きで歩いていた京一さんとぶつかったんだ。


「待て、氷野!まだ話は、」


教師の声。


「やっべ」


と慌てて京一さんは駆けて行ってしまった。何だったんだろ。


「見て、あの人これ落としてった」


隣りを歩いてた子が京一さんのと思われる財布を拾った。


「財布だ。僕、届けてくる」


「えーー、危険だよ!」


「大丈夫だよ。先に教室戻ってて」


と京一さんの財布を受け取って、その子を教室へと返した。財布には二千円と小銭。学生証まであった。この京一さん可愛いっ♡、じゃなくて、三年二組まで行かないと。


「あれ、可愛い子がきた」


「君、一年生?どうしたの??」


と三年の先輩が僕に次々と話しかけてくれる。


「あの、氷野さんを探してて、」


「京一郎?あいつあんま教室にはこないよ」


「大抵、屋上か保健室で休んでるね」


「それよりさ、京一郎なんか探してどうしたの?」


「ちょっと、届けたいものがあって……」


「俺が届けてあげよっか?」


と手を差し伸べられる。でもそうしたら僕と京一さんが出会うチャンスが、


「いえ、自分で届けます」


僕らしくない、きっぱりと断った。


「へえ、何?ラブレターとか??」


「おい、セクハラ発言やめろよ。可哀想じゃん」


「嘘嘘!冗談じゃん!!それじゃあね!」


と先輩方に手を振られた。


「はい!ありがとうございます!!」


丁寧にお辞儀してその場から去った。

その足で屋上へと行くと、煙草をふかしている京一さんを見つけた。


「あれ?ここ、立ち入り禁止だけど?」


「貴方も入ってるじゃないですか」


「あはっ、それもそうだね!何しにきたの?」


「貴方に財布を届けに来たんですよ」


と京一さんに財布を差し出した。


「わっ!まじで俺の財布だあ。ありがとね!」


ニコッと笑った。ああああ、可愛い。ドキドキと心臓の鼓動がうるさい。


「どういたしまして」


胸が痛む中、取り繕った笑顔で対処した。これで僕は用済み。貴方と別れないといけないと思うとさらに胸が痛んだ。


「何か、いい匂いするね。どんな香水使ってるの?」


貴方が僕に近付いてきて、匂いの正体を探っている。


「いや、僕は特に……」


貴方の顔が近い。やばい、死ぬほど心臓が痛い。


「すげー甘くていい匂い。食べちゃいたくなる」


と貴方が僕の首筋の匂いを嗅いで、ペロッと舌で舐めた。


「ひゃっ!!な、何するんですか?!」


「ふふっ、ごめんごめん。つい、美味しそうで」


京一さんは両手をあげて、もう何もしないと示した。

僕は混乱してしまって、その場から逃げるように立ち去った。どういうことだ?

教室に戻ると授業が始まっていて、僕は慌てて席についてだんだんと落ち着きを取り戻した。


「何だか、甘ったるい匂いしない?」


「おい、ちゃんと抑制剤飲んだのかよ」


と一人の男の子が責められている。たぶん、あの子はオメガなんだ。


「本当、迷惑なんだけど」


「何でうちのクラスにいるんだろ」


たかが生まれつきで、こんな心無いこと言われる世界。理不尽を感じざるを得ない。


「大丈夫?湊くん」


「うん、僕ちょっと体調悪いから帰るね」


何だか頭がクラクラしてきたので、早退することにした。オメガにあてられたってことなのか?


「湊くん、お大事にね!」


何だこの、対応の差は。



通学路の途中、胸がものすごく痛くなって、呼吸が苦しくなってきた。何だこれ、まさか……ヒート!??


ヒート(発情期)とは、三ヶ月に一週間ほど周期的にオメガのみに訪れる発情期。アルファを強く惹き付けるフェロモンを発する。


やばい、抑制剤飲まなきゃ。頭がクラクラする。鞄の中に抑制剤を見つけた。やっぱり僕はオメガだったんだ。


「君、大丈夫?」


バッと顔を上げると、三人ほどの男に囲まれていた。


「発情してんの?お兄さん達が楽にしてあげよっか」


と腕を持ち上げられて、路地裏に連れて行かれる。


「ゃ、はなして、」


僕が抵抗を見せても無駄だ。全身に力が入らない。


「やば、めっちゃ美形」


男達が僕の制服を脱がしてく。触んな。


「おいおい、抵抗すんなよ」


「オメガらしく孕め」


男達のそれが僕の目の前にある。口に入れられそうになった瞬間、一人が蹴り飛ばされ、もう二人に当たった。


「お前ら全員、ここで去勢しろ」


京一さんっ!!!!余裕の笑みが格好良い!!!


「あ"あっ!??」


男達が三人がかりで京一さんに襲いかかるが、京一さんの回し蹴りで華麗にやられる。


「死ね、潰れろ」


と男達のそれを思いっきり踏みつけているのは酷だと思うけど。


「あ、ありがとうございます、」


「あぁ、薬飲める?」


と僕の鞄から薬のシートと水を取り出して、手渡してくれた。


「貴方は、大丈夫、なんですか?」


「俺?ふふっ、俺の顔見ればわかるよ」


あ、顔真っ赤。獲物を捕らえるような目をしてる。性欲を抑え込んでるのが一目瞭然。


「ヤリたいって顔、してますね」


って僕が煽ると、


「あーーーもう、さっさと着ろよ!!」


と、僕のはだけた制服のボタンを閉める。僕は貴方とだったら、いや、何でもない。


「ごめんなさい、動けなくて」


「大丈夫だよ、無事で良かった」


大きな手で僕の頭を撫でてくれる。ああ、好きだ。


「んっ、立てない……」


「それじゃあっ、」


と僕を軽々とお姫様抱っこして持ち上げる京一さん。


「何処行くの?」


「俺の家、すぐそこなんだ」



京一さんの部屋。ベッドに寝かせてもらった。けれど、京一さんの匂いがベッドからしてキュンキュンする。服もたくさん集めて、京一さんの匂いに包まれる。ああ、幸せ。


「湊くん、落ち着いた?……って、ふふっ、すげーベッタベタじゃん」


服もシーツも僕の精液でベッタベタだ。京一さんのことを思うと発情が止まらない。


「胸が、苦しい、です。助けて」


「やばいよ?俺このままじゃ襲っちゃいそう……」


「お願い。僕のこと、襲って?」


だけ言うと、京一さんは僕にたくさんキスをしてきて、もちろん、それ以上のこともたくさんした。気持ちよすぎて何も考えられなかった。


「あはっ、赤ちゃんできちゃうね!」


京一さんはあんなに大量に中出ししといて、罪悪感など感じさせない無邪気な笑顔。


「責任、取ってくれますか?」


「ううん、俺らまだ高校生だよ。アフピル買おっか」


この言葉が、何とも僕には残酷だった。


「……嫌だ。京一さんとの子供、産みたい」


「一時の感情で一生をぐちゃぐちゃにする気?」


「なにそれ、僕とは別れる前提なんですか?」


「そういう訳じゃないけど……」


「じゃあ、僕と番になってよ。そうすれば、僕は貴方以外には発情しない」


「それによって、湊くんは苦しめられるかもしれないよ。他に好きな人でもできたらどうするの」


「貴方以外に好きな人なんかできやしない!」


「ふふっ、お前って馬鹿だね!」


そういって貴方は煙草を口にした。部屋の中に煙が立ち込める。さっきまでの胸高鳴る出来事は全部幻だったかように、煙に包まれて胸が痛む。



僕らのことを思っての避妊薬。決して安くないだろうに、彼は買ってきてくれた。飲むかどうかは任せるよ。彼は優しさでそう言ってくれた。けど、僕も我に返った。僕だけの将来じゃない。京一さんの将来も僕が妊娠したら棒に振ることになるんだって。それが嫌で、僕は薬を飲んだ。


次の日。京一さんは制服を着ていた。


「何処行くんですか?」


「何処って、学校だよ」


「待ってください。僕も行きます」


「君は休んでなよ。まだヒートつらいでしょ?」


「つらくないです。貴方と一緒にいられない方がつらいです」


「あーもう、そんな可愛いこと言われちゃったら、行くに行けないじゃん!」


僕は我儘だ。貴方の都合よりも僕の都合を優先させて、貴方からの愛情を確かめている。またセックスして一日が終わる。僕の世話を焼いてくれる京一さんが見られるのなら、ヒートも悪くない。


その後、学校に行けたのは一週間経った後だった。


「湊くん、結構休んでたけど体調は大丈夫そ?」


「うん、平気。風邪拗らせちゃっただけだから」


と嘘ついて、また学校ではアルファを演じる。けど、変わったことといえば、京一さんが休み時間や昼休みに遊びに来るようになった。


「湊、一緒に飯食お!」


「京一さん、またそのゼリー飲料ですか?」


「栄養が取れれば十分でしょ」


という他愛もない会話して、


「湊くん、あの不良の先輩に絡まれて可哀想」


なんて囁かれて。


「湊さあ、俺と一緒にいると評価下がるけどいいの?」


「他人の評価より自分の嗜好、です」


「へえ。まあ確かに、俺も成績か煙草かの二択だったら、煙草を選ぶね」


「そんなに好きなんですね」


「好きというか、吸わないと苦しくて」


「僕もそうです。貴方の隣りにいると息がしやすいです」


必死に優等生を演じなくていい。


「俺、空気清浄機??」


「もう、ふざけないでください!」


「あははっ、ずっと俺の隣りにいればいいよ」


「え、そんなの、プロポーズじゃないですか」


……え、京一さん、無意識だったの!?顔真っ赤!!


「恥ず、忘れて」


「えーーっ!!僕、一生忘れません!!!」


「はああ……まあ、そーゆーことだから」


「はい!ずっと京一さんの隣りにいます♡」


そんな順風満帆な日々がいつまでも続くと思っていたのだが、


「湊、大丈夫か?」


「おえっ、あーー、はい。もう大丈夫です、」


昼食を食べてる途中に突然吐き気をもよおして、トイレに駆け込んで吐いてしまった。


「食中毒?」


「わかんないですけど、頭がぐわんぐわんします」


「とりあえず、保健室行こっか」


京一さんにおんぶされて、保健室まで連れて行かれる。


「おい、京一郎!また可愛い子ちゃんとデートかよ」


「何だよ、羨ましいのか?」


「いーね、アルファ様は人生イージーモードで」


という妬みの声。京一さんだって、努力してるのに。


「ムカつきます」


「良いんだよ。実際、俺のが他人よりも優遇されてる」


「だとしても、ムカつきます。京一さんの良いところ、いっぱいあるのに……」


「それはお前が覚えてくれてればいいよ」


あーもう、こういうところとか、本当、大好きだ。



保健室には誰もいなかった。京一さんは僕をベッドに寝かせてくれて、毛布までかけてくれた。


「先生、呼んでくるね」


「待ってください、京一さん」


「何?」


「……ちゅー、してください」


僕は体調の悪さにかまけて、とことん甘えてしまったみたいだ。言ってから何だか後悔、ちゅっ。後悔しない!!


「はやく、元気になぁれ」


はぁ〜〜っ!!可愛すぎて尊死っ!!!


その後、京一さんは保健の先生を呼んできてくれて、熱を測ったら37.3℃あった。少し保健室で寝たけど、たまに吐いた。


「青柳くん、少しお話聞かせてもらってもいい?」


「あぁ、はい」


「あの、青柳くんの第二の性別って、これで合ってる?」


とオメガと診断された時にもらった書類をまた見させられた。


「……合ってます」


「答えにくい質問だけれど、最近、性交渉はあったかしら?」


「まあ、」


「少しこれ使ってみて」


と妊娠検査キットを渡された。


「え、」


「とりあえずね、」


と渡されて、言われた通りに測ってみると、線が二本でた。


「えっと、これが正常??」


「陽性反応ね。青柳くん、妊娠してる可能性が高いわ」


「え、妊娠……?」


京一さんとの子が、僕のお腹の中に。頭の中、真っ白だ。京一さん、何て言うんだろう。下ろせって言うかな?


「中絶にしても出産にしても、早めに病院に行くのよ」


「はい、わかりました」


京一さんには内緒にしておこう。たぶん中絶を勧められる。その日は京一さんの力を借りながら、ゆっくりと帰った。

だがその後も頭がぐらんぐらんする。めまいと吐き気。食欲不振。強烈な眠気。立っていられないなどの症状に悩まされて、僕はついに学校に行けなくなった。


「湊、さすがに病院に行った方がいいよ。心配だ」


「大丈夫です、寝てれば治りま……」


ああ、意識が、遠のいて……ん?ここ、何処だ?

気がついたら、点滴が繋がれてる。


「ああ、湊、良かった!目を覚ました!」


「京一さん、ここは?」


「病院だよ。湊、妊娠十週目だって。びっくりだね!」


僕がずっと我慢して隠してたのに、何だその微笑ましいって顔。もっと早く、言えばよかった……。


「京一さんっ!僕、京一さんとの子供が産みたいです!!」


「ふふっ、そんな泣くなよ。三人で家族になろう」


そう言って、京一さんは僕の頚椎の辺りを噛んだ。僕と番の契約を結んでくれた。将来に対して、不安なことばかりだけど、京一さんとずっと一緒にいられるだから、きっと大丈夫だと盲目的に思えた。



「んっ、京一さん、そんな、赤ちゃんがびっくりしちゃ……ん?ああ、戻ってきたのか、」


「湊、気持ちよさげに腰振ってたね♡」


「ううっ、京一さん、いつ起きたんですか?」


「湊と運命の番になった瞬間」


何で僕だけ病院セックスのオプション付きだったんだろ。


「はあ、お腹いっぱい楽しんだよ」


眼目さんが手にしていた漫画を閉じる。


「眼目、まだいたのか」


「ちゃんと敬語使ってよ、京一郎くん。君がオメガバースを楽しめたのは私のおかげなんだから」


「はいはい、先生、ありがとうございました」


と悪態つきながら言う京一さんのなんと可愛らしいことか。


「どういたしまして。それじゃあ、私は帰るよ」


「さっさと帰れ」


「あ、そんなこと言うと居座るよ?」


「はあ?まじだりぃ、こいつ」


「あははっ、二人ともまた今度ね」


「もう二度と来んなよ」


「じゃあ、次は学校においでよ。京一郎くん」


「はいはい、じゃあな!」


と眼目さんに手を振って、玄関が閉まる。はあ、一苦労だったように京一さんがため息をついた。


「京一さん、一つお願いしていいですか?」


「何?」


「僕と子作りしてくれませんか?」


「ふふっ、嫌だよ」


「え」


「だって、愛したいのはお前だけだもん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ