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共感能力が微塵もねぇのに「あー、ね」で流さずに大袈裟に共感したのに0.1%もその内容の記憶がねぇ

12月24日。クリスマスイブ。

ジングルベル、シングルなう、しんどいオブザマンス。誰がご存知、キリスト生誕祭、イェイ。ジングルベル、死んでるパン、神経崩壊中。みんな妬ましい、そんな日曜日。

何が聖なる日だ。性なる日の間違いだろ。この日にセックスした奴ら全員、ミサで懺悔しろ。脳内改変しろ。卑猥すぎ。イエスが磔になった理由も知らない馬鹿が腰振ってんじゃねぇ。って、憎悪を貼り付けるのもどうかと思うけど、イェイ。ジングルベル、振動レール、人身事故ベル。線路またげばそこはパラダイス。


「京一さん、セックスしませんか?」


俺を家まで迎えに来た俺の恋人は、玄関で脚をモゾモゾと動かしながら、会って早々に両頬を赤らめて、俺の地雷を踏んできた。冬休みで使わなくなる学ラン(汚れてもいい服)を着て。


「やーだ、発情期もいい加減にしろ」


俺は汚れちゃダメな服着て、応戦中。


「え……いや、だってだって、この世の中のカップルの半数は今夜シてますよ?僕達も例外なくシましょうよぉ、京一さん♡」


と俺の腕を掴んで、ぶりっ子になって、猫なで声で口説きにきてる。とにかく湊は可愛いが、その口説き文句はまじで、どうかと思う。


「嫌だよ、一人でヤッてれば?」


「自分でヤるのと誰かにシてもらうのとでは、全然違うんです!!京一さんのこの指で、僕のナカを……」


と俺の右手を掴んでその指を舐める、ように見つめてくる。そして、その恍惚とした笑顔。咄嗟に俺は、湊の手を振り払っていた。


「キモい!!やめろ!!!」


「何で!!?」


湊のクソにでも縋りつきたいってほど苦しそうな表情。俺はその表情にめっぽう弱い。だから、やっぱ抱きしめてしまった。


「……ごめん、優しくするって約束したのに。俺が嫌なのはお前とヤることじゃねぇんだよ。お前が俺とヤる目的でいることが嫌なんだ。ごめんね」


「待って、分かんないよ。どういうことですか、京一さん」


「だからその、俺は湊と、もっと……もっと恋人っぽいことがしたいの。お前だって、会って数秒で抱かれるのは嫌だろ?そんなのセフレじゃん」


「……京一さんだったら良いです。どんな抱かれ方しても良い、好きです」


「あはっ、自分の価値を下げんなや。俺は湊に"俺の恋人"っていう特別を置いてんだから、それ相応に振る舞って?」


「トクベツ……ふふっ、僕は京一さんの特別なんですね♡♡」


あーあ、言ってて恥ずかしいったらありゃしねぇな。でも、湊にクリスマスプレゼントを用意しているのも事実だ。来るかどうかも分かんない段階で、3万飛ばした。いまだにルイルイに10万返せてないのに。


「湊、イルミネーション見に行かない?」


「うわーっ、そんなのド定番のクリスマスデートじゃないですかぁ♡♡やってみたかったんですよね〜♡」


あっぶねぇ、ド定番すぎて避けられるんかと思った。でも、京一さん人混み大丈夫ですか?って。いいや、大丈夫じゃないよ。全く克服してない。


「大丈夫、克服済み」


お嬢ちゃん、お逃げなさい。見たところ、銃も持ってないじゃん。スタコラサッサ、サのサ。一眼レフで、パシャリ。


「京一さん、具合悪いですか?」


「え?ううん、そんなことないよ!大丈夫、大丈夫だから、」


この話し声が全て、俺への攻撃で、俺が消えてしまいそう。この電気代の大量消費現場に、目が眩む。空気がうまく吸えない。寒い。頭が痛い。湊以外……みんな、死んじゃえ。


「我慢しないで、具合が悪くなったらいつでも言って下さいね?その方が僕は嬉しいです」


「ごめんね、湊。俺が情けな……ちょっ……」


湊は3回、キスをした。人々の視線を厭わずに。


「みんなしてるから、これが普通じゃないですかぁ?」


そのみんなって何だよ。たかがカップルの一組、二組だろうが。それに、俺にネガティブ発言させないようにしてくるし。その笑顔が憎いけど、愛らしい。


「ふふっ、ありがとう。それじゃあ、ちょっとした個室にでも行きたいけど……」


この人混みじゃあ、いくら探せど何処も満室がオチ。かと言って、まだ帰りたくはないし、もっと湊と楽しんでたい。この出来の悪い身体じゃなければ。


「京一さん、ラブホ、行きませんか?」


湊がこしょこしょ話するみたいに俺の耳元近くで囁く声に少々身震いして、でもそれは襲われそう云々じゃなくて、ただくすぐったくて冗談っぽくてすぐに笑ってしまった。


「あはっ、やっぱ脳内お花畑だろ。そんな学ラン着て、入れると思ってんの?」


「これはコスプレ、です」


「童顔」


「それは……特殊メイクです」


「証明できる身分証もないくせに」


「なっ……んー、ふざけてますよ、この世の中は。僕はただ純粋に貴方と愛し合いたいのに、何でダメなんでしょうね?」


そうやって、仏頂面する子供っぽいところが、俺は好きだ。貞操観念が失われた大人の方が、情愛が愛じゃないのなら子供っぽい。


「例外が多すぎるからじゃん?春を売るのは成人してからで良い。今は青春を楽しんで。ってことだろうよ」


「青春に春は含まれるのに、セックスは含まれないんですね。青い春はキスまでなんですか?」


「青い鳥っているじゃん。だからぁ、バードキスまでなんだよ?本当は、べろちゅー禁止♡」


やば、俺が何言ってんのかわかんねぇ。


「えーっ、そしたら欲求不満、拗らせちゃうじゃないですかぁ……もっと早く大人になりたいです。貴方に見合う大人に」


「ふふっ、そしたら俺とセックスしよう♡」


目眩がして、倒れてしまいそうな一歩手前。湊にバックハグして寄りかかった。耳元で愛か情を囁いて変な口約束をして、きっと数秒後には忘れてる。湊はそれを聞くと腰抜かしてしゃがみこんで、俺も立ってるのがつらくて湊に覆い被さるようにしゃがんだ。「みーなとっ、嬉しい??」湊の顔を覗き込む。


「嬉しいに決まってるじゃないですかあ!!」


「えへへっ、良かった♡」


「京一さん、僕の愛慾を悪戯に掻き立てるのもいい加減にしてください」


「ん?」


湊がスっと立ち上がって、俺は尻もちをついた。そんな俺を見下してから、両肩を掴まれる。


「このままここで、襲っちゃいますよ?」


「公然わいせつ罪」


と俺が法律を盾にとると、彼は下唇を噛んだ。そして素直に立ち上がらせてくれるんだから、可愛い。



最近、僕はセックス依存症だと思う。京一さんとしたときの快楽が忘れられなくて、一日に何度も自慰行為をしてしまう。勉強しなくちゃいけないって、分かってはいるのに、意思が弱くて、京一さんの可愛い写真を見ながら扱いて、賢者タイムと罪悪感に浸るんだ。学校でやってしまったときもある。その罪悪感、を晴らすために腕を切って慰めて、また別の快楽に浸る。


「高橋、真城さんとは最近どうなの?」


「え?まあ、それなりに」


「チューした?」


「……した」


「えーっ♡それで、それで?」


「青柳、声デカいよ。そこからは何もない」


「だったらさぁ……続き、したくない?」


「あぁ、そりゃあできれば?いいなって思うけど」


「だよね〜っ!」


「あはっ、何なんだよ!」


「あれー?何か楽しそうじゃん!何話してんの?」


「いや、高橋がぁ」「勉強会!期末近いし、勉強会なんかしたら楽しそうだよね!って」


真城さんが会話に入ってきて、高橋が慌てて誤魔化そうと僕の口を塞いだ。別に誤魔化さなくったって良いじゃん。


「へえ、良いじゃん!何処でするの?」


「高橋ん家、真城さんも来る?」


僕はとっても親切で良い案を思い付いてしまって、ワクワクしてきた。高橋はというとキョドってた。真城さんはというと、


「えっ……うん!行ってみたい!」


一瞬、困惑したような表情を見せてから、やっぱり僕と同じようにワクワクした目でそう答えた。


「俺ん家、汚いよ?」


「余程のゴミ屋敷ではない限り、僕は大丈夫だけど」


「そこまで酷くはねぇよ!」


と軽く頭叩かれた。


「高橋の迷惑じゃなければ……」


真城さんは、少々控えめにそう言った。

ママに勉強会の口実はそう何度も使えない。「今日も勉強会?」って怪しまれたけど、今日は本当に本当の勉強会だ。だから、高橋の家で真城さんと高橋と僕で3人で勉強する、と具体的に説明した。そしたら、高そうなお菓子を持たされて、「何処までやったかはちゃんと教えてね」って釘刺された。


「「お邪魔します」」


と真城さんと高橋ん家に入っていく。高橋ん家は高橋とその弟くんしかいなくて、誰にこの菓子折を「つまらないものですが……」と渡せばいいか悩んだ。今は高橋の部屋の前で「ちょっと待って」って待たされてる。


「たぶん今、必死にエロ本隠してんだよ」


「ふふっ、青柳くんの部屋にもあるの?」


「いや、僕は電子派だし」


「じゃあ、常に持ち歩いてんだ」


「あははっ、でもある意味一番安全じゃない?」


「確かに。写真フォルダ絶対に見してくんないもんね」


「うん、僕のむっつりスケベがバレちゃう」


「その発言がむっつりじゃないんじゃない?」


「お待たせ、ん?何話してんの?」


真城さんに下ネタ発言して、そういう雰囲気をちょっぴり醸し出したナイスプレーをした、と誇らしげに主張しようとしたら、彼女が


「何でもないよ」


って。高橋の部屋はそれなりに綺麗で、物の居場所がちゃんとある整えられた部屋だった。


「これ、つまらないものですが……」


「え?何これ、スゲー!めっちゃ美味しそうじゃん!!」


と菓子折を渡すと高橋はとても喜んでくれた。


「ふふっ、つまらなくない?」


「全然つまらなくないよ!ありがとう!」


高橋の笑顔、真城さんの浮かない顔。……やば。


「私も一応、お菓子持ってきたんだけど、青柳くんの後じゃ、出しにくいなぁ……」


「ううん、アリスも持ってきてくれて嬉しいよ。あっ、これ俺が好きなやつじゃん!ありがとっ♡」


すごい、京一さんみたいに高橋も頭の回転が早くて、相手の気持ちを察して、相手を喜ばせる言葉がすぐに出てくる。真城さんが高橋と付き合ってる理由が分かった。なーんか僕、邪魔じゃね?


お菓子をつまみながら、テーブルに問題集を開いて問題を解いていく。僕はテーブルにずっと正座で向き合っていると脚が痺れてきたので、床に寝っ転がって勉強を続けた。真城さんが高橋から解き方を教えて貰ってる。僕はというと、家庭教師アンド学習報告システムにより、大抵の問題は解けるようになっていた。今ここでの問題はこの二人をどうやって交わらせるか、だ。


「高橋、僕にも教えてよ」


「ちょっと待ってて」


と真城さんに一通り教え終わったら、寝っ転がってる僕の背中を「他人ん家で寛ぎすぎなんだよ」って踏んできた。


「あはっ、だって居心地よくて」


「それで、どこが分かんないの?」


僕の顔の近くでしゃがみこんで、問題集とノートを覗く、そっちじゃないよ。その高橋に僕は小声でこう聞いた。


「僕はいない方がいい?」


「なっ……」


高橋はただ首を横に振った。そして、「いて」と口パクで伝えられた。だから、僕は


「何でここがこうなんの?」


と解き終わってる問題の解説を求めた。

しばらくして、僕は今日までやろうとしてたことの四分の三くらい終わって、勉強に飽きてしまった。それよりもせっかく高橋の部屋に来たんだから、色々と私物を見て回りたい。


「青柳、勉強は?」


「飽きちゃった。へえ、高橋ってこうゆうの好きなんだぁ」


「え?どれどれー??」


とノリノリで僕の元へと駆け寄ってきた真城さんと、高橋の好きな漫画や小説を物色する。


「ちょっと、アリスまで……」


「このバトル漫画、すっごく面白いんだよね!」


僕は京一さんから得た情報を真城さんに流用する。今度、アニメ化もするみたいでさ、って。


「へえ、そうなんだぁ」


と僕の話に相槌を打つ真城さん。その横で僕は高橋にこっち来て、と合図をした。そして、僕は高橋の後ろに回り込むと「貸してあげたら?」と助言した。


「……それ、アリスが興味あるんだったら貸すよ?」


「えっ、本当に!?でも……」


「とりあえず、一巻だけでも読んでみれば?」


僕って、良いサポーター役できたんだ!


「ふふっ、青柳くんのじゃないでしょ?」


「あっ」


「良いよ、好きなだけ読んで」


と高橋は優しい顔してる。僕だったら、好きな子が自分の好きなものに興味を持ってくれたらデレデレして、これはこうでこれはああで、って説明しながらオタク的饒舌かましてると思う。京一さんが僕の銃コレクションを眺めているだけでもデレデレした。ああ、京一さん、会いたいなぁ。会って抱き締めてベッドに押し倒して、チューして……うわっ、最悪。


「高橋、トイレって何処にある?」


僕は前で手を組んで、さり気なくそれを隠しながら、青ざめた顔で高橋に聞いた。部屋から出て、扉を閉めると


「ありがとううう青柳いいい」


とサイレントで喜ばれながら感謝された。「いや、中々言い出しっぺの俺からサボるとかできないじゃん?かと言って、このまま真面目に勉強してさようならじゃつまんない男だし、青柳が漫画の話してくれてまじで良かったわあ」って。あれ、僕のサポートした部分は?


「えへっ、それなら良かったよ。それよりトイレは?」


「そこのドア」


「あ、ありがとう」


「今から十五分くらいはオナってて良いよ、でもバレないようにね」


「え」


……バレてたっ!!??彼は僕の頭ポンポンしてから、ご機嫌で部屋に戻ってった。イカ臭くすんなよ、って。えー、僕そんな挙動不審になってた?いやー、でも男同士だから分かるんかな?って考えながら、扱いてやっぱオカズが欲しくなって、京一さんとキスしてるハメ撮りを見ながら、気分を高めて抜いていた。


コンコンコン。ドアがノックされる。


「兄ちゃん、トイレ」


あっ、高橋の弟くん。やばいやばいやばいやばい。


「……ちょっ、あと、ちょっとだけ、待って」


あともう少しでイきそう。ああ、この京一さんエロい。ぐちゅぐちゅ、いやらしい音立てて、僕は脳内で京一さんがカウントダウンしてる妄想をしてた。3、2……


「お願い、漏れるぅ」


と弟くんの声で現実と妄想が混同する。ああああ、もうイクから待って!!


「はぁ……はい、どうぞ」


とイカ臭さの残るトイレを開け渡した僕は明らかに事後の赤らめた顔して、謎に呼吸を乱し、その少年に気力なく微笑みかけた、が、もはや変態だった。


「……ありがと、ございます」


出てきたのが兄ちゃんではなく、兄ちゃんの友達の変態でごめんね。めっちゃドン引きしてた。どうしよ、ってトイレから出た廊下に座り込んで、頭を冷やした。とゆーか、片手拭き取っただけだから洗いたいんだけど。ジャーッ、と水が流れる音。弟くんがトイレから出て、でもまだ僕がそこにいるから「うわっ!!」って吃驚された。


「ごめんね、手洗う場所って何処にある?」


「こっち」と彼は僕のことを不審がりながらも、洗面所まで連れてってくれた。そして、


「なぁ、お前って、兄ちゃんの友達?」


と洗面所で手を洗っていると、尋問された。


「ふふっ、そうだよ。少なくとも僕はそう思ってる」


「じゃあ、女の方は?」


「真城さん?良い人だよ」


「そうじゃない!!友達??」


「んー、友達かなぁ?友達っていうか、彼女??」


「やっぱそうだ、兄ちゃん彼女できたんだ……」


と、しょげた顔。


「どうしたの?嫉妬してんの??」


「違う!!そんなんじゃない!!」


「ふふっ、僕にもね、『兄ちゃん』がいるんだけど、その人が僕以外の人と会話してるだけでも嫌気がさしてくるんだ。だからそれは……」


「このブラコンの変態野郎!!」


それは、その反応は、正常なんだ、よ??……え?励まそうとして、深く傷付けられた。何かこの子、京次郎さんっぽい??


「……良いじゃん、ブラコン。格好良いお兄ちゃんがいて、良かったじゃん。ずっと一緒にいるんだから、いなくなちゃうと寂しいよね」


「別に、寂しくなんかない!俺はただ、変な女じゃないかどうか、見極めたいだけだ」


「あはっ、変な女かあ。んー、真城さんは、やっぱ変人だよね!僕なんかに話しかけてくれるしぃ……」


「なっ!!」


「それと、自分で自分の気持ちを偽ろうとすると、本物の自分の気持ちが分からなくなるから気を付けた方が良いよ」


とその少年に助言をしておいた。僕と同じ轍を踏まないように。この傷はもう一生治らない気がするから。


「待って、お前、名前は?」


通り過ぎようとしたら、制服引っ張られた。


「ん?青柳 湊」


「青柳、兄ちゃんとその女を別れさせてくれ」


「へ?」


十五分経った。僕は高橋の部屋のドアの隙間から中を覗く。変態行為、と罵られたが、僕は大人の行為を知っているので、その場面に出くわせてはいけないと思い、頑張っているのだ。


「青柳、はやく入ってよ」


喘ぎ声もベッドの軋み音も聞こえない。だから、ドアをそーっと開けた。


「ごめん、便秘が酷くてさあ……」


最ッ悪、絶対にさっきまでキスしてたって!!もう帰りたい!!!二人とも不自然に目を逸らさないで!!


「あはは、そっかぁ、おつかれ〜」


高橋お兄ちゃんの目、死んでるよ!?大丈夫そ??


「それでさあ、弟くんが寂しいらしくって、連れて来ちゃったんだけど……」


ごめん!!まじでごめん、やっぱ僕がこの弟くんの相手した方がいい??そうだよね!?


「青柳、何言ってんだよ!!」


と後ろから文句を言われ、どつかれる。


「瑞樹、失礼だろ。青柳は俺の友達なんだ」


え、これは、嬉しいいい。


「でもコイツ、ぜってー変態だぜ!?」


その言葉がこの部屋中に響き渡って、その後で静けさが部屋中を満たす。そこに、一笑。


「……ぷふっ、ごめん、青柳くん。笑うつもりはなかったんだけど、可笑しくて」


僕はどうリアクションして良いか分からなくて、ニヤケ顔を堪えるために下唇を噛んで変な顔をしていたと思う。


「瑞樹ぃ、ふふっ、それが事実でも、本人の前で言うかなぁ?」


カズくん!??え、カズくんも僕のこと変態だと思ってたの!?


「ああもう僕は変態だよ変態っ!!マニアックでオタク気質の依存的な変態で、何が悪いの?!」


と僕は発狂していた。


「悪くない悪くない、それが青柳だから」


「うんうん、青柳くんの良いところだよ」


と二人は僕を慰めてくれるけど、僕の後ろで隠れていた少年は、僕の制服を掴むのもやめて、またドン引いていた。「えー、何この集団……」


「じゃあ、瑞樹くんは向こうで、僕と一緒に遊ぼうか」


「絶ッ対に嫌だ!!」


拒絶。されても、二人の邪魔はしたくない。どうやって落としたらいいか、参考人が僕には必要なんだ。でも結局、その日はそのまま四人でダラダラしちゃって、クリスマスイブの日、京一さんに


「セックスしませんか?」


ってストレートに言ったら、また拒絶された。



「今日はキリストの生誕祭ではあるけど、誕生日ではないんだって」


クリスマスケーキを切り分ける。と言っても三等分。三分の二は湊にあげるけど、三分の一は俺が貰う。そして、デコレーションのサンタさんは湊にあげるけど、チョコレートプレートは俺が貰う。


「そうなんですね、てっきり僕はキリストが死んだ日だと思ってました」


「あはっ、そんな日に病んでもねぇ一般人がパーティするかよ」


まあ、人間の罪を死によって相殺してくれたってわけだから、有り得なくもないか。


「キリストさんがいなくなったから、また新たなキリストさん拵えようぜ、的な」


「あははっ、何そのノリ、絶対ないって!!」


「意外とあるかもしれませんよ?」


「てゆーか、そもそも処女受胎ってあんのかね?」


「そしたら、僕が京一さんの子を産みますよ」


「ふふっ、セックスしちゃったら意外とあるかもね!」


「それは処女受胎じゃないんじゃないですか?」


「あーーー、ネコ受胎??」


「え〜っ、いきなり超絶ゴロ可愛いじゃないですかぁ♡♡」


「ふふっ、─── させたいね」


「ん?もう一回言ってください」


耳を澄ませる湊に、手招きして、もっと近くに寄れって合図する。純粋無垢に近くにきた湊によーく聞こえるように、俺は耳元でそのワードを言った。


「だからぁ、『孕ませたい♡』って言ってんの」


耳を塞いで閉じ込めて、そのワードが脳内から出て行くのを拒んでるみたい、可愛い。


「あーーーもう、貴方はいつもいつもいつもいつも、僕の愛慾を弄んでばっかで、僕が大人になったら、絶ッッッ対に泣かせますからね!!!」


「へえ、どうやって?」


「それは、もう、分かりきってるじゃないですかあ……」


「なあに?」


「はああああ、一生終わらない快楽に身悶えさせて泣かせてやりますから!!絶対に!!!」


「あははっ、楽しみにしてるね♡薬物中毒者は快楽には強いんだよぉ?セックスの十倍はドーパミンが脳内から放出されてるからね」


「じゃあ、僕が十回以上連続イキさせれば勝てるじゃないですか」


と言われた瞬間、何がとは言わないが、何かが縮んだ。


「ふふっ、湊ぉ、ケーキ食べよっか?」


今日の湊、めっちゃ怒ってるって思って、ケーキを薦めた。ってか、怒らせたの俺なんだけど。ジングルベル、ジングルベル、胸が鳴る、頬を赤らめ、酒がすすむ。イェイ。


「京一さん、生クリーム付いてますよ」


「だからそれはぁ、」


俺の専売特許だって。言ってんのに、ケーキを食ってる途中にキスしてくる。ん?


「ほら、ちゃーんと甘いですよね?」


って俺のことをからかってくる。


「お前、自分の舌に生クリーム仕込んでただろ?」


「いいえ、京一さんの口に付いてたんですよ♡」


あーあ、一杯、食わされた。こんな悪知恵が働くなんて。


「じゃあ、湊にも……」


「あっ、京一さんはダメですぅ、これは僕が発案者なので僕しか使えないんですぅ。著作権マーク、あのCに〇のやつ付いてるんですぅ」


俺の煽り文句よりも数倍ウザくなって返された。


「ふふっ、それじゃあ、普通にキスしていい?」


「え……はい、それは……どうぞ」


とキス待ち顔される。可愛い。ケーキ何口でもいける。このまま放置しようかな?え、写真撮っちゃお。「まだですか?」って催促してくるのも可愛い。だからここは敢えて、首筋とかいって良いよね?って長めにちゅーしてキスマーク付けた。


「ふふっ、どうかなぁ?」


ってタートルネックを着ない限り隠れないキスマークを俺に付けられた感想を湊に聞いてみると、


「僕、ずっとキス待ち顔してて、恥ずかしい奴じゃないですか!」


「今更?」


「だって、キスマーク付けられると思ってなかったし……ふふっ、ありがとうございます♡」


と愚痴を言われたかと思えば、スマホのインカメでそれを確認すると彼の笑顔が綻ぶ。


「湊、俺にも付けてよ。氷野 京一郎はお前のもんだろ?」


って鎖骨見せて煽ると、「ああああ可愛すぎますっ♡♡」って何度も吸われた。でもキスマークがうまく残らなくて、湊が情緒不安定になっていく。


「ああ、貴方は僕のものなのに、誰にも渡したくないのに、何で!?何で、こんなにもうまくいかないの!??」


「大丈夫、噛んでいいよ。湊の歯型がくっきりと残るように」


痛っ!!!俺から煽っといてアレだが、コイツ、躊躇いとかねぇのかよ。まあ、証明痕付けんのに必死こいてて可愛いが。肩の肉もげただろ。


「あ、ううっ、京一さん、血が……」


「ふふっ、もう一生消えないね」


「……ごめんなさい、さっきはつい夢中で」


ティッシュペーパーで止血ながら、消毒液を染み込ませている。その消毒液のが突発的な痛みよりも染みて痛いから、俺は湊の制服をぎゅっと掴んでいた。


「分かってる」


ケーキを食べ終わった後、その甘ったるさを苦い酒で流したら、頭クラクラになっちゃって、床で雑魚寝した。


「京一さん、お布団すぐそこですよ」


「んーんっ、湊にゆずりゅ♡」


「嫌です、僕が貴方を抱きしめて寝たいんです」


「ったく、めんどくせぇ」


と四つん這いでハイハイしながら布団に辿り着くと大の字で寝た。その後で風呂上がりの湊が布団に入ってくるので起きて、有言通りに抱きしめられた。


「京一さん、メリークリスマスです」


とうなじにキスしてきた湊は、そのまま可愛い寝息をたてて寝ている。湊が完全に寝たのを察知した俺は、その手に腕時計を付けて、手の甲にキスをした。


「メリークリスマス、湊」

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