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コペルニクス的転回

睡眠も飯もいらない。

健康を見失うほどの不健康。

脳味噌は萎縮して馬鹿になった。

さっさと逃げて、死にたい。

この人生から、この苦痛から、逃げたい。


夜の闇と静けさは心を落ち着かせてくれる。日中の喧騒がまるで嘘みたいに。

けれど、また訪れる。喧しいノイズで耳を塞ぎ、赫々たる光で目を焦がす。

気が狂いそう。

この地獄のサイクルを生きているのは。


一瞬、映画の世界に入り込んだみたいだ。

恋なんて馬鹿げたことするから。

登場人物は俺と一人の中学生。

魅力的な言葉と思考につられて、まんまと罠に落ちた。

生け捕りが好みらしい。


中学生は将来に絶望している。

というより、この世界に絶望している。

環境が人を創る。病んでいるんだ。

対して、俺は人生を捨てている。

この世界に捨てられている。

劣悪環境下のゴミ。たまに怪物。

美味しそうな人間を飲み込んでしまいそうになる。


好きな四字熟語は、天罰覿面。

笑っちゃうくらい酷いけど。

気持ち悪い半纏が瞼の裏で点滅する。

まさに四面楚歌。神に死角はない。

傷口を刃物でえぐる。

その楽しみを考えては、寒さで震える。

嘘、禁断症状。


「京一さん、今日は学校で薬物乱用防止教室がありましたよ。」


「ああ、夏だな。」


夏休みが始まる前に念押しされてきたのか。笑った。


「京一さん、呼びたかったです。」


「嫌だね。」


散々、薬物乱用の危険性なんて教わった。


「講師として。」


「そっちか。」


「今日はお医者さんが薬物乱用の危険性を話してくれたのですが、経験は知識に勝りますよね?」


「経験も知識の内だよ。」


「でも、何がどのようにつらいのか、主観は話してくれませんでした。客観的事実だけ。」


「依存性が強いって教わったでしょ?」


「はい、一回やったら終わりって。」


「あはっ、本当はそんなに恐れるほど強くはない。」


「へえ。」


「薬物で捕まる奴は、元来依存症なんだよ。それで、帰納的に依存性が強いってなってるだけ。依存しなかったら、そもそも捕まえられないでしょ?」


「ふふっ、確かに言えてますね。」


「やりたくなった?」


「ずっと、やりたいですよ。」


そんなにまっすぐな目で言われても気が引ける。


「快楽堕ちしちゃうよ?」


「でも、お揃いじゃないですか。」


快楽よりも俺と同じことをしたい気持ちが勝っているように見える。馬鹿。


「といっても、あげないけど。」


「なんなんですか、それ。」


「あと、薬物やったら嫌うから。」


「じゃあ、絶対にやりません。」


「単純バカ。」


こいつにとったら褒め言葉か。


「京一さん、ギューってしてください。」


両手を広げて、甘えてくる。


「ん、おつかれさん。」


体の疲れは、寝てれば治る。

心の疲れは、認めなければ治らない。


「僕、頑張ったんですよ?」


「だろうね。」


「学校でも、会いたくて会いたくてしょうがなかったです。」


「けど、我慢してたんだ。」


学校なんて飛び出して、家に帰ってきてしまうのは簡単なのに。そもそも、学校に行くのが褒めるに値する。


「はい。」


「良い子だ。」


と抱きしめながら、頭を撫でる。


「ふふっ、ありがとうございます。」


目を細める仕草は猫みたいだと思った。


「京一さんも、良い子です。」


俺の真似してやり返してくる。


「俺は何もしてないよ?」


「今日も生きてて良い子です。」


「…ああ、そうだな。」


こんな底辺の俺を認めないでくれ。

ここで認められたら、この泥濘から出られなくなってしまいそうで怖い。

俺が本当にそうなってしまいそうで怖い。


「湊、やっぱ言っていい?」


「何ですか?」


「生きてるだけで偉いだなんて言わないで。俺、ゴミみたいじゃん。」


「京一さんは、ゴミじゃないですよ。」


「存在してるだけで迷惑かけてんのに?何で偉いの?湊は学校行ってるのに。俺は何もできてない。」


否応なしに比べてしまう。俺と湊は違う。そんなのはわかってる。けど、立場が違うから。上から目線で馬鹿にしてるみたいで嫌いだ。そんなんじゃない、とわかってるけど。


抱きしめたまま、顔を合わせられないでいる。


「ごめんなさい。傷つけましたか?」


「ああ、いや、被害妄想だから。湊は悪くない。…うざったくて、ごめん。」


「いいや、うざくはないですよ。」


そう彼は笑ってくれる。


本当は俺だって素直に喜びたいんだ。生きてて良い子って言われて嬉しかったから。救われた気がしたから。

けど、そのレベルの自分を認められないんだ。否定したいんだ。

相反する感情がぶつかって、飛び火してしまうのに。


「俺は、生きてて良いのかな?」


「生きててください。僕をひとりにしないで。」


「わかったよ。」


俺より強くみえるこの子は、実は俺よりも弱くって。強がりで傷つきやすい。

誤って心をカッターで切ってしまったら、きっと死んでしまうだろう。


「京一さん。」


と俺の名前を呼んで、キスをせがんでくる。

より近くで感じたい、なんて思ってそうな。


一回、唇を少し挟んで感触を確かめながらのキス。


それでは満足いかないようで、物足りなさから俺の唇に何度もキスしてくる。


「キス魔。」


顔を抑えて、少し距離をとる。


「このままセックスしませんか?」


「ふふっ、馬鹿じゃねーの?」


「知識だけはありますよ。」


「経験するには、まだ子供だからね。大人にならないと。」


キスだけでもまだ快楽は得られる。

まだまだ知識不足。


「いつになったら、大人ですか?」


「俺をキスだけでイカせたら。」


というと、またキスしようとしてくる。


「やめろ。」


「頑張らせてください。」


「今日はもう終わり。疲れた。」


ピタッと動きが止まった。


「わかりました。じゃあ、僕は晩御飯持ってきますね。」


時計を見て、夕方になっていたことに気づく。


「いらない。」


「それでも、持ってきます。」


「いらないから、ここにいて。」


「…どうしてそんな可愛いこと言うんですか?離れられなくなるじゃないですか。」


とまた抱きついてきた。


ただ、一人でいるのは暇だから。なんて、口が裂けても言えない。


「でも、晩御飯は食べさせたいです。」


「食べないよ?」


「そうだ、京一さんが家に来れば良いんだ。そしたら、離れないで晩御飯も食べられますよ。」


「嫌だ、絶対に。」


「何でですか?」


「他人の家なんて落ち着かない。」


「そうですか、ふりだしに戻りました。」


「そもそも、いらないって言ってんじゃん。それで、良いでしょ?」


「良くないです。栄養失調で京一さんが死にます。」


「別に死んでもいいし、食べたくないし。」


「じゃあ、食べないでいいですよ。でも、栄養は補給してくださいね。僕が京一さんを生かしておきたいので。」


ゼリー飲料も最近、たくさん食べてる。

脂肪がついて、さらに身体が重く感じて気分も重い。

食べ物なんて嫌いだ。口にもしたくない。


「…湊は?」


「僕は晩御飯を食べてきます。」


「ここにはいないの?」


「すぐ戻りますよ。」


「湊もこれで栄養補給すればいいじゃん。そしたら、ずっとここにいれる。」


「僕はそれだけだと、おなかがすいちゃうんですよ。」


「燃費悪ぃ。」


「そうですね、生きてるだけでお金がかかります。」


「それはみんなそう。」


「あはっ、そうでした。コスパが悪いんですね、僕の場合。無駄に生きてる。」


そんなこと言ったら、命の価値の話になってくる。命は金で繕えるけど、買えはしない。

完全に壊してしまったら、もう二度とは手に入らない。一点物で限定品。そんなものが大量にあるから、狂ってしまうんだ。全てが同じに見えるという錯覚が起きる。


「そんなことない。そんなこと言うなよ。」


「でも、実際にそうですよ。命を救ってもらって、金かけて育ててもらっても、こんなみっともない有り様で、もう顔も合わせられなくなって、恩を仇で返すようなことしかできなくて。」


「笑った。俺とお揃いじゃん。」


「京一さんは違うじゃないですか。」


「何処が?」


「京一さんは、僕を笑顔にしてくれる。ちゃんと僕に見返りをくれる。」


「へえ、湊って、今までそんなこと思ってたの?」


笑っちゃうよ、本当に。


「おかしいですか?」


「うん、だいぶ。」


「何処が?」


「湊に見返りなんか与えたことないから。むしろ、湊からの愛を申し訳ないくらい一方的にもらってる。おかしいじゃん?」


「おかしいですね。」


ほら、笑ってる。


「なあ、無償の愛って信じるか?」


「信じません、有り得ないです。」


「じゃあ、湊に借金返済しないと。」


「何故ですか?」


「愛をもらい続けてきたから、返さないと平等じゃないじゃん?無料じゃないみたいだし。」


「ふふっ、何言ってるんですか。ちゃんと返してもらってますよ。」


返したつもりないんだけど。


「そう、それなら、湊が負担して。」


愛を与えるから。


「いつも俺のためにありがとう。俺、湊といる時が最高に楽しい。」


キスを添えて、感謝の言葉を伝える。

慣れてなさすぎて、死ぬほど恥ずかしい。


「ふふっ、どういたしまして。こちらこそ、ありがとうございます。」


そう大人っぽく笑った。この言葉、久しぶりに聞いたきがする。


「けど、どうしましょう。負担額が大きすぎて、死ぬまでに返済できなさそうです。」


一瞬で、子供の湊に元通り。自分の胸の辺りを掴んだ。心臓にも負担が大きいようだ。


「死んででも返せよ。」


「どうやって?」


「何回でも輪廻転生して、俺を愛し続ければ良い。」


「わかりました、そうします。」


あまりにも馬鹿げていて、笑うことしかできない。


「でも、まじで晩御飯を持ってこないとおなかすいて死んじゃうんで持ってきますね。」


「あはっ、わかった良いよ持ってきて。」


離れてても逃げられないって知ってるから。



「戻りました。」


「早かったね、息切れしてるし。」


「猛ダッシュしてきました。」


ひとりにさせるのは嫌だし、ひとりになるのも嫌だから。


「で、晩御飯はそれ?」


「はい、適当なタッパーにご飯を入れてきました。」


栄養バランスも見た目も配慮してる時間はなかった。

たぶん、茄子と挽肉の何か。


「本当に適当。」


「見た目はあれですけど、美味しいですよ。」


「そうなんだ。」


じっと見て、興味を持っている様子。


「一口、食べてみますか?」


スプーンでかき混ぜて、おかずとご飯を一緒に食べれるようにする。


「…油っこ。」


そう言うと、唇を手で拭く。


「肉の油を茄子が吸っちゃうんですよ。」


「へえ、美味しいの?」


「僕は美味しいって思いながら食べてます。じゃないと、得した気分にならないじゃないですか。」


「なるほどね。」


彼は口直しなのか分からないがゼリー飲料をゆっくりと飲んでいる。

確かに油っこい、僕もそう思う。

和食や魚料理ならこんなには油っこくはならない。


「京一さん、もうすぐで夏休みですね。」


「良かったな。俺はずっと休みだけど。」


「何処か、行きましょうよ。」


「夏休みは暑さで外に出られないからあるんだよ。」


「そうなんですか。じゃあ、涼しい場所にしましょう。」


「話聞いてたか?」


「はい、聞いてますよ?」


「…はあ、具体的に何処行きたいの?」


「海。」


答えは聞かれる前から決まっていた。


「正気か?夏の海なんて人の海だぞ?煩くて暑くて気持ち悪くて最悪。」


顔を歪ませて、嫌悪感を訴えられる。


「そんなに海が嫌いですか?」


「違う、海にくる大量の人が嫌いなだけ。海は良いと思ってるよ。眺めるだけなら。」


「そうですか。それなら、船で海辺から離れれば、人はいないから大丈夫ですね。」


「は?何でそうなんの?」


「え、違いますか?」


「いや、違くはないけど。そもそも、何でそんなに海に行きたいの?」


「僕が湊だから。海を見るとぞくぞくします。命を奪われそうで。」


「…ホント、アクシュミ。」


「海、行きましょうよ。」


「せめて、冬にしろ。夏は無理だ。」


「わかりました。では、冬に。」


「それで、夏休みは家でゆっくりしよーぜ。」


そう言って、京一さんは床に寝っ転がる。

鞄に入っているものの使い道が見つからない。


パシャ。


そんな彼をカメラで捕らえて、シャッターを切る。機械音が鳴った。


「何撮ってんだよ。」


と彼はその音を聞いて笑う。


「良い笑顔です。」


僕はまたシャッターを切る。


「やめろ、恥ずい。」


と起き上がって、レンズを手で隠す。


「もうやめます。カメラ、使ってみたくて。」


「ああ、だから。海、行きたかったの?」


「はい。けれど、この使い道も結構良いもんですね。」


非日常な風景を収めるだけではない。

日常の風景を切り取る。

それができるのがカメラの魅力かもしれない。


「使途がクソ。そんなのスマホでやれよ。」


なんて笑われてしまった。


「スマホよりも撮ってる感があるじゃないですか。」


「同意、撮られてる感はある。」


「だから、きっと記憶が鮮明に甦りますよ。」


デメリットのメリット。


「まずは忘れる前提なの、どうにかしろ。」


思いもよらない方向から突っ込みを入れられる。


「ふふっ、すいません。じゃあ、僕が忘れないためにも、被写体になってくれますか?」


「良いよ、綺麗に撮って。」


写真で記憶を反芻する。忘却に抗うために。


「京一さん」


「何?」


「ふふふ」


酔ったように、彼を抱きしめて、寄りかかる。目を閉じて、心地良さを感じる。


「ほら、寝るなあ。」


と彼は僕の頬を軽く叩く。


「やぁ、やめてくださいよぉ。」


と目を閉じながら、彼の手を払う。


「帰らないと御両親に心配かけるよ?」


そんなことない。そんな優しいこと。僕に興味無いんだもん。


「なら、帰って、あの、ひゃっこい布団で、寝ろ、言うんですかぁ?」


完全に酔ってるふりを楽しんでる。笑いが止まらない。


「ふふっ、どうしたの?」


「あははっ、一緒に寝ませんかぁ?京一さん。」


「良いけど、待って、風呂入りたい。」


「わかりました。」


抱きしめてた彼を離した。

彼は風呂場に行ってしまう。

床にそのまま寝っ転がって丸くなった。


言えた言えた言えた。勢いで言えた。

今まで恥ずかしくて絶対に言えなかったけど言えた。凄い。

自分頑張った。今だけは褒め讃えてやる。

歓喜の涙を流しそうなくらいだ。


そして、寝れる気がしない。


あらゆる煩悩をシャワーの音で洗い流して、修行僧のように頭の中を無で埋め尽くす。


「湊、起きてる?」


目を開けて見上げると、洗い髪の京一さん。

まさに、水も滴る…


「ふふっ、イケメンですね。」


「寝惚けてるから二割増でしょ。」


それに、いい匂いがする。きっとシャンプーの香り。


「ああ、溶けそう。」


エマージェンシー。目を逸らして、ダンゴムシよりも丸くなった。


「湊、床で寝んなよ。」


寝れるわけがない。自分の世界に閉じこもって、その格好良さを噛み締めているだけ。

直視すらできなさそうだ。目が溶けてしまう。


「僕はもう駄目です。死にます。このまま。」


骨抜きにされてしまった僕は肉の塊としてここでステーキになりたい。


「死体遺棄とか、面倒だから。死ぬならどっか行け。」


「あははっ、面白いこと言いますね。」


「生きてるならここにいていいよ。」


いい加減、起き上がって、京一さんと顔を合わせる。

やっぱり、イケメン。


「この状況で死ぬなんて、そんなもったいないことできません。」


「へえ、そんなこと言えんだ。」


「はい、言えますよ。」


「それで、何がもったいないの?」


「ふふっ、なんでしょうね。」


この笑顔の裏側に隠したものはたくさんある。


「けど、今日は帰ります。酔いが覚めました。」


「えー、帰っちゃうの?」


「引き止めてくれるんですか?」


「いや、しないけど。」


「じゃあ、また今度。」


そう言って、逃げるように部屋から出ていった。

これで良いんだ。これで良かったんだ。

自分の選択を何度も肯定する。涙はこぼれるけど。



「最大限、頑張りました。」


「それで?」


「まったく眠れませんでした。」


「笑った。」


朝早くから家に来ていた。けど、あくびばっか。目は少し充血してる。


「京一さんは?」


布団の中から出られない。


「俺も寝れなかった。」


俺にとっては、よくあること。

うとうとしながら湊が布団の中に入ってきた。


「ふふっ、眠れそう。」


隣りで嬉しそうに笑ってる。


「学校行けなくなるよ?」


「…んん、今日は休ませてください。」


もう気力がないように見える。瞼は閉じたまんま。


「いいよ、頑張らないで。」


と湊の髪の毛を撫でる。サラサラしている。


「やった。」


口元だけ笑って、そのまま寝た。


十二時過ぎ。

湊は目を覚ますと、目をキョロキョロと動かして、状況確認しているよう。


「僕、寝ちゃってましたか?」


俺の方を見て、心配そうに聞いてくる。


「うん、ぐっすり。」


と笑って答えた。


「今何時ですか?」


「十二時四十七分。」


スマホで時間を見せる。


「学校、行かないと。」


「そんなの、休んじゃえよ。」


「嫌ですよ。さらに自分が嫌いになるから。」


ベッドから忙しなく出ていく。

俺も起き上がってベッドの上に座った。


「湊、頑張らないで。お願いだから。」


「頑張ってないです。遅刻です。また怒られます。」


早口で淡々と喋る。急いでるのがよく分かった。

鏡で身だしなみを整えて、もう出て行ってしまいそう。


「ねえ、湊。行かないで。」


「何でですか?」


「…離れたくないから。」


慣れない言葉だけど、伝えたかった言葉。


「じゃあ、一緒に行きますか?」


「は?何でそうなんの?」


「僕は学校に行かないといけないからですよ。では、また。」


と玄関を開けて、バタンと音を立てて閉められた。


「うっそ、意味わかんねえ。」


俺と学校、どっちが大事なん。

あんだけ好きだの愛してるだの言ってきて、結局は俺を優先してくれないじゃん。

キスしたのだって、全部遊びだったのかよ。

あいつのために、飯だって頑張って食ったってのに。

ああ、死にてえ。馬鹿じゃん、俺。

何頑張っちゃってんの?

どーせ、人間なんて自分が一番可愛いんだ。

俺が一緒にいて欲しいときに一緒にいてくれる人間なんているわけないんだ。

そんなの、分かりきってたじゃん。

吐きそう、気持ち悪い。死んじまえ。


ドンドンドンドンドン。

他人の家の玄関、叩きすぎだっての、うるせえな。


「京一さん、開けてください。」


絶対、開けるもんか。バーカ。

電話もメールも何件もくるから、携帯の電源は切った。

もうおせーよ。うざってえんだよ。


「僕が悪かったのなら謝りますから。」


全面的にお前が悪い。けど、全く理解してないじゃん。

やっぱ湊だけど、やっぱ許せない。


「何で開けてくれないんですか?怒ってるんですか?どうして怒ってるんですか?それとも、僕のこと嫌いになったんですか?何でですか?全然、わかんないですよ。」


玄関を叩きながら質問攻めしてくる。

ああ、めんどくせえな。


「帰れ、迷惑だ。」


玄関のチェーンをかけて、その隙間から湊を見た。


「京一さん、やっと開けてくれた。どうして、こんなこと。」


手が真っ赤、叩きすぎだ。


「帰れって言ってんだろ。」


扉を閉めようとするとガンッという聞き慣れない音。


「いっ…」


骨に当たった。指の第一関節をもろに挟んでる。痛さで声も出てない。


「はあ、馬鹿。」


チェーンを外し、湊を中に入れる。

冷水で手を冷やさせて、氷をタオルで包んだものを渡した。


「ありがとうございます。」


「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。」


手当てしたら、すぐに追い出す。


「ふふっ、そんな馬鹿に付き合ってくれるのは、京一さんだけですよ。」


「あーあ、馬鹿馬鹿馬鹿。馬鹿は野垂れ死ねば良いのに。」


「いひひ、好きです。」


死ねって言ってる相手に言う言葉じゃない。馬鹿。痛みを恐れない馬鹿。けど、俺も馬鹿。ほっとけばいいのに。


「指、見せて。」


紫色に変色してる。病院連れて行かないとかなあ。


「京一さん、おつかれさまって言ってくれませんか?」


「は?」


「学校から帰りました。」


「嫌だ。」


「何でですか?」


「自分で考えろ。」


「怒ってますか?」


「何でそう思うの?俺、笑ってんじゃん。」


「んー、あー、わかんないんですよ。じゃあ、楽しんでますか?」


「当たり、おめでとう。」


「何を楽しんでますか?」


「わかんない?いじめてんの。」


「何を?」


「お前。」


「僕ですか?」


「そうだよ。」


「ああ、だから、僕の望みを拒むんですね。」


「そういうこと。」


「楽しいですか?」


「楽しいに決まってんじゃん。当たり前のこと聞くなよ。」


「ごめんなさい。そんなに笑ってなかったから。」


全然、楽しくない。全然、笑えない。


「もういい、帰れ。」


「ふふっ、嫌ですよ。」


「は?俺の家なんだけど。」


「京一さんを楽しませてないから、まだ帰れません。もっと僕で楽しんでください。」


「うわっ、きっしょ。」


馬鹿すぎて笑える。


「今回はちゃんと嫌がるから。」


「笑った。」


「痛々。」


紫色に染まった指を反対に折る。


「どう?」


「まだまだ。」


余裕そうに笑って煽ってる。

肩を掴んで投げて、フローリングの上で転ばす。


「これなら?」


転んだ上に跨って、首を掴む。


「…性癖。」


申し訳程度に顔を隠して、噛みしめるように笑っている。


「全然、嫌がんねえじゃん。」


「ごめんなさい、何かもう嬉しさが勝っちゃって、演技してる余裕が一切無くて。」


「はあ、萎える。」


「嫌、お願い。やめないで。」


こいつにとって、この一言が一番の暴力。

もう意味がわかんねえ。


「お前が嫌がるのが、俺は一番好き。」


だから、やめるのが正解。


「京一さん、ごめんなさい。ちゃんとできなくて。けど、」


離れていく俺につきまとって話してくる。


「俺がお前に従うとでも?お願いされてもやんねえよ。」


「ふふっ。」


こいつにとっての正解を引いてしまった。

ああ、調子狂うわあ。


「何で学校行ったの?」


「それが男子中学生の普通だから。」


「そりゃあ、そうだよなあ。」


俺が馬鹿なことを言ってんのはわかる。


「馬鹿なこと聞くけど、俺と一緒にいるときと学校にいるとき、どっがいい?」


「そんなの、京一さんといるときに決まってるじゃないですか。」


「じゃあ、あの時、起きた時、何で学校行ったの?」


「それが男子中学生の普通だから?」


「ああ、何でわかんねえかなあ。」


湊の頭の上にはてなマークが浮かんでるのが見える。

学校に行く、が規則を守ること。

だとすると、学校に行かない、が自由。

規則があるから、自由が生まれる。

そして、規則に反すると自己嫌悪が生まれる。


「んん、わっかんねえ。」


「京一さん、わかんないのはきっと愛ですよ。」


「はあ?どういうこと?」


「映画でもドラマでも、男女間の非合理的行動は、愛だから、で強引に理由がつきますから。」


「何だよそれ、考えるのをやめてるだけじゃん。」


「でも、その他の理由がわかりません。」


「…わかった。愛だから、で納得する。」


「そういえば、僕が学校に行く理由。他にも見つかりましたよ。」


「何?」


多少食い気味。


「京一さんのお手本になるためです。」


満面の笑み。


「うっざ。」


期待外れ。


「あははっ、僕ができてないことを京一さんにやらせるわけにはいかないですから。」


じゃあ、俺を大学に行かせるため???

それが大学生の普通だから。


「でも、俺と湊は違うじゃん。」


「はい、違いますね。」


「だから、俺に一緒を求めないで。」


「ごめんなさい、目標に書いてあるから。」


一、薬物を断つ。二、食事を摂る。三、大学に通う。四、金を稼ぐ。

マトモな人間へのルート。


「そうだけど、そうなんだけど、俺にはできそうにないんだよ。」


「お手伝いさせてください、って言ったじゃないですか。」


「ああ。」


「京一さんは、京一さんのできる範囲で良いんですよ。」


「腹立つ。」


「え?」


「そういう、俺を置いていくのが、かなり腹立つ。一緒のペースで歩いてくれないのが、くっそ腹立つ。」


「僕が置いていった?一緒のペースで歩いてますよ?」


「そういう話じゃない。」


「どういうことですか?」


「どうして俺と一緒に落ちぶれてくれないの?」


あははっ、言ってることクズ人間だわ。

間違ってんのはわかりきってんだよ。


「…落ちぶれたら、普通じゃない。それが嫌だから。」


「あはっ、愛がねえな。」


「愛してます。」


「合理的すぎるって。愛は非合理的なんでしょ?」


「でも、愛してます。」


「なら、非合理的なことやってみろよ。」


なんて嘲笑うと、顎を掴まれ、キスされた。


「キスは非合理的です。」


「快楽を求めるため、じゃない?」


「そんな目的はありません。」


リップ音を立てて、サービス。


「ほら、嘘つき。」


赤くなった頬と少し乱れた呼吸がそれを物語る。


「どうすれば良いですか?どうしたら?」


「今日、一緒に寝てくれたら認める。」


「…それは非合理的なんですかね?」


「知らねーよ、どうでもいいだろ。こっちが認めるって言ってんだから。」


「そうですか、そうですね。」


恋は盲目。非合理的に見えても恋愛上では合理的である。


「持ち物は、晩御飯、パジャマ、下着、歯磨きセット、携帯、制服、学校カバン、朝ご飯」


紙にメモして持ち物リスト作成。


「あっ、でも制服は着てる。だから、持ってこなくていい。携帯も学校カバンも。」


上から線を引く。


「ここに置いていく。」


「お前、何着て帰るつもり?」


制服を畳んで、ここに置いていくらしい。

下着姿だ。


「あ。」


「外を歩くには服を着ないといけない。」


「それは知ってますよ。んー、どうすれば良いんだろ。」


「服を着れば良いんじゃないか?」


「服がありません。」


「それは?」


「これは制服だから、置いていくものです。携帯と学校カバン同様。」


「頭弱いのかよ。着たまま帰って着たまま来れば良いだけの話じゃん。」


「さすが、頭良いですね。」


「しかも、カバンの中身は変えなくていいのか?シャツも、靴下も。」


「んんああ、わからない。難しい。」


頭の中がぐしゃぐしゃで、それを紙に落として、でも、わからなくて、ぐしゃぐしゃにする。


「ゆっくり考えればわかるはずだ。」


ぐしゃぐしゃの紙の持ち物リスト。ここまではできてるんだ。


制服を着て、再挑戦。


「持ち物は、明日着るための綺麗なシャツ、靴下。洗えないから消臭スプレーしたズボン、ベルト、ローファー。そのまま出れるように明日の準備をした学校カバン。バスタオル、ドライヤーは借りれるからいらない。風呂上がりに着るパジャマ、下着。寝る前に歯磨きするから歯磨きセット。必需品の携帯。晩御飯としてサーモンマグロ丼、サラダとドレッシング。朝ご飯は何かもやしの和え物、パックご飯を二つ、インスタント味噌汁。以上、他に何かありますか?」


「大丈夫じゃない?」


「大丈夫ですか?」


「大丈夫だと思うよ。」


「了解です、持ってきます。」


ここまでにかなり時間を要したが、完璧な持ち物リストができた。

ここまで正確にリストにすることは珍しいが。まあ、いいか。達成感。


三十分後、部屋着になった湊がやってきた。


「ただいまです。リスト通りに持ってきました。」


片手に大きなカバン。

朝ご飯は冷蔵庫、制服はクローゼット、ローファーは玄関、歯磨きセットは洗面所。学校カバンは玄関前辺りに適当に。


「腹減った、晩飯は?」


そう聞くと、湊は真ん丸の目を見せた。


「忘れたの?」


「いや、持ってきましたよ。」


と嬉しそうに笑った。



サーモンとマグロのペーストをふやかしたご飯の上にのせて、わさび醤油をかける。隣りにはシーザーサラダ。


「いただきます。」


食欲がある京一さんは珍しい。

黙々とご飯を食べている。


「美味しいですか?」


「うん、美味しいよ。」


当たり障りのない定型文。

それでも聞きたくなってしまう。

これはポジティブな意味だから。


「京一さん、年収千二百万あったらどうしますか?」


テレビに写る裕福層。


「服、アクセ、車に注ぎ込んで、綺麗な女に囲まれながら豪遊する。湊は?」


もしもの話を馬鹿らしいと言いたげに笑う。


「僕は、京一さんにそういう暮らしをさせるために貢ぎますね。」


「やば、頭おかしい。」


「ふふっ、お金の使い道は自由じゃないですか。」


「だって、俺が女と遊ぶための金を用意するんだろ?金で俺を買うならまだしも。」


「え。買えるんですか?」


「うん。」


「何円ですか?」


「年千二百万。」


「一日三万越え。」


やけに現実味がある数字。


「どう?」


「払えるなら払いたいですよ。そしたら、どんなサービスしてくれるんですか?」


「そりゃあ、なんでも言うこと聞くよ。買われるんだから。」


「ふふっ、妄想が膨らみますね。」


「こっわ。」


「それと、僕以外にそんな安売りしたらダメですよ。」


「妥当より高いくらいなんだけど。」


「ダメ、予約しておきます。他の人に買われないように。」


「先着順。」


「いや、ああ、待って。嫌だ。僕以外に、売らないで、ください。」


崩れるようにそう頼んだ。


「笑った、そんなに俺で何がしたいんだよ。」


「いや、何かしたいとかじゃなくて、ただ一緒にいれるだけで良くて。」


「あはっ、変わんねえじゃん。」


彼は年千二百万の価値があって、僕にはそれを無料で提供してくれている。


「借金ですか?」


「馬鹿、金なんかいらねえよ。」


「じゃあ、千二百万円分の何が欲しいですか?」


「愛?」


「それはそれで難題です。」


「簡単だって。今日、一緒に寝てくれるんでしょ?」


「ああ、はい。でも、緊張して寝れるかどうか。」


「それで良いよ。隣りで寝っ転がってれば。それだけで。」


なにそれ。…ふいに襲っちゃいそう。


京一さんはとてもいい匂いがする。

こうして近くで寝っ転がってるとそれがよくわかる。

僕は京一さんに背中を向けている。あっち向けって言われたから。

残念だが、襲いたい、という煩悩に塗れた脳味噌に従うのを少しは抑えられている。


京一さんはベッドでよくスマホを弄っている。

検索履歴は「うつ病 治し方」「拒食症 改善」「薬物 やめるには」など。

可愛い可愛い、可愛すぎる。


カチャ。スマホ画面を切ったおと。

はあ、という息遣いが聞こえる。

満足する情報はいつも得られない。

そのあと、寝返りを何回か打っているんだろう。布団が動く。

スッと僕のお腹に手が回る。吃驚して声が出そうだった。身震い。心拍数が上がる。それから、僕の脚に脚を絡ませて密着してくる。

背中で感じられる距離。静かな息遣いも聞こえる。

待って、エロいって。ダメだって。熱いって。

今なら湯たんぽよりも熱い温度を保てていられる。夏だけど。


「京一さん、熱いですよ。」


理性、ナイスジョブ。

深呼吸して、心を無にする。


「知ってる、体温高いね。」


と耳元の近くで声がして、お腹の辺りをさすられる。

ううっ、やばいやばいやばいやばい。


「ちょっと離れてくれませんか?」


熱さで呼吸が乱れてきた。これ以上は本当に熱中症で死ぬ。


「嫌だ、くっついてたい。」


ああ、何でこの人今日こんなにも可愛いんだ?このまま死んでも後悔はしない。絶対。


「ふふっ、熱さで溶けちゃいますよ。」


というと、パジャマの中に手を入れてきて、お腹に直接触られた。


「俺の手、冷たいでしょ?」


「本当だ、気持ちいい。」


手を重ねて握った。

夏なのに、こんなに冷たい。二十七度設定のエアコンのせい?


「手、痛い?ドアで挟んだところ。」


「これくらい、全然平気です。」


「でも。…ごめんね、湊。俺、すごい子供っぽかった。」


「大丈夫ですよ。物理的に痛いのには慣れてますから。」


「そうじゃなくて、湊は湊で頑張ってんのに応援できなくて勝手に比べて羨んで妬んで嫌になって、嫌いになりそうだった。ごめん。」


「嫌いにはなってませんか?」


「嫌いじゃないよ。むしろ、俺のことをちゃんと想ってくれてるってわかって、その。…好きになりそう、かな。」


「…ああ、死ねる。」


涙が熱い。もう脳味噌が溶けた。


「事故っても、死ぬなよ。まだ。」


「死ぬほど嬉しいって意味ですよ。」


「本当に死にそうで怖い。」


「僕が死ぬのは怖いですか?」


「怖いよ、怖い。当たり前だろ。」


「当たり前ですか?」


懐疑的に質問すると、


「つらくなるようなこと言わないで。俺、かなり弱いから。」


と可愛く言われ、さらに密着度が増した。

心臓に大ダメージ。


「京一さん、もう限界です。顔見せてください。」


向かい合って、すぐに彼の唇にキスをした。

可愛くて愛おしくて我慢ができない。

自分を自分でコントロールできないことがとても嫌いだ。

だけど、これは京一さんが悪い。というか、狡い。


「ごめんなさい、大好きです。」


「何で謝るの?」


「僕が一方的に好きだから。一方的にキスしちゃうから。」


「良いよ、キスは好き。」


「ん、可愛い。」


何度も何度も僕の一方的な愛に付き合ってくれている。

飽きるまでキスしようと思っても、飽きがこないから困ったものだ。

やめようとして、一口。また一口。無限ループに続いている。


「京一さん、優しいですね。強制終了していいですよ?」


というか、して欲しい。欲望剥き出しの僕は愚かだ。


「俺がまだ足りないの。」


予想外の答え。予想外の行動。京一さんから、キスされた。


「ふふっ、蕩けちゃいました。」


悦に浸って溺れて死んじゃう。

力が入らなくて、動けなくなる。


「ん、おなかいっぱい。」


そういうと彼は唇を手で拭いた。


「これからも僕を食べてください。貴方の血肉に僕はなりたい。」


「狂気の沙汰。だから、好き。」


血塗れで穢れた醜い僕を貴方には見て欲しいと望む。頭が弱い幼稚な僕を、貴方は笑って抱きしめてくれるのだから。



記憶が曖昧だ。

魂が強引にこの世に戻ってきた。

はあ、悪い夢を見たようだ。


俺が湊に捨てられていた。


午前五時、起きるのにはまだ早い時間。

寝顔を盗み見てみると、そこには紛れもない天使がいた。

こんな子が俺を捨てるわけないのに、何を考えているんだろう。

心の中では強気の態度。

現実世界では抱きしめずにはいられない。


薬物依存が治らなくて、見限られる俺の情けない姿を覚えている。挙句の果てに、単車でトラックに突っ込んで血塗れになりながら死を悟って笑うんだ。


「馬鹿だな、俺。」


そう呟いて道路の真ん中で死んでゆく。

死は怖くはなかった。ただ湊がいないことが虚しくて泣いていた。


「湊、俺から離れないで。」


恐怖の鱗片が呪いをかけるように湊に語りかけた。お願いだから、離れないでよ。


「京一さん、おはようございます。どうして泣いているんですか?」


「え。ああ、起こしちゃった?」


「いえ、自然に起きました。」


スマホは六時を示していた。いつの間にか一時間が過ぎていた。


「そう、おはよ。」


「おはようございます。」


爽やかな笑顔と爽やかな朝。

悪夢を持っていきたくはない。

涙の理由は、あくびのせいだ。


制服姿の湊、朝食を準備している。


「あっ、忘れ物してました。親への連絡。」


湊の携帯には深夜一件の着信履歴。


「ごめん、俺も言うの忘れてた。」


「京一さんは何も悪くないですよ。謝んないでください。僕の落ち度ですから。」


とカバンに携帯を見えないように放り込んだ。


「さあ、食べましょうか。いただきます。」


気持ちを切り替えて、笑顔を見せながら爽やかな食事前の挨拶を見せられた。それにつられて


「いただきます。」


といって、次々と口の中に食材を入れていく。食事は戦。


「京一さん、いつもより食欲旺盛ですね。」


「うん、ご飯が美味しいから。」


違う、この病気を早く治したいという焦りだ。

湊に気に入られるための嘘だ。


「本当ですか?すごい進歩ですね。」


そう喜んでくれる顔が眩しい。

俺の心に闇を落とす。

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