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帰り道  作者: マン
5/5

晴れの日

「藤井さ~ん!2番さん行って!」

 「は~い!」

 「あ 大丈夫です 私もう行ってます」

 「お でた!後藤さん!よろしく~」

 「は~い」


インカムで応えてから2番テーブルの注文を取る


 「生3つですね~ 他にご注文ございますか?」

 「ん~ 何かおススメありますか?」

 「はい!今日は鮮魚盛り合わせがお勧めです!今日の盛り合わせは~…」

今日の朝獲れネタを伝える

 「どうする?頼む?」

 「頼も 刺身食いたかったし」

 「じゃあその盛り合わせ お願いします」

 「かしこまりました~!」


注文を受け終えてすぐに20番テーブルに向かう


 「ご注文 お決まりですか?」

 「おっ 咲えみちゃんさっすが!よく気付くねぇ」

 「佐藤さん達から注文したいオーラがでてたんで!」

 「ちょうど今 決めたとこだよ~ じゃあハイボール3つと串盛り合わせね」

 「ハイボール3、串盛ですね~!かしこまりました~」


居酒屋でバイトを始めて半年

最初は酔っ払いの相手をするのは不安だったが

この店は客単価が周囲の店と比べて高く 立地も大企業が集まるオフィス街の中心のため

無作法なサラリーマンや学生はあまり入店してこない

徐々に名前を覚えてくれる常連さんも増えてきてお客さんと接することへの楽しさも覚えてきていた


加えて後藤咲ごとうえみには特技があった

人の顔と名前を覚えるのが得意で 一度覚えればまず忘れないこと

視野が広く耳もいいため どのテーブルが注文したいか 何か悩んでいるかが手に取るようにわかる

高校生時代はバスケットボール部に所属しポイントガードのポジションで司令塔を務め 

ノールックパスで大会を沸かせた

大学に進んでからバスケはサークルに参加しつつ 学業とバイトに勤しんでいた


 「後藤さ~ん!」

 「はい!2番さんの刺し盛ですね!持ってきま~す」

 「はい!おねがいね~!」

 「は~い!」


同僚も人当たりが良い人が多く 働き易い環境が作られていると思っている


しかし 完璧な環境なんてありえない


咲にも悩みがあった


耳と目が良すぎるのだ


 「藤井さん!17番さん 注文みたいです!」

 「あ は~い!ちょっとこれさばいたらいく!」

 「あ じゃあ大丈夫です!私行けま~す!」


どこで何すべきか 自分はわかるが 体は一つ

客が多ければ他の人に任せるしかないが あまりに動きが遅いと つい気になる


藤井さんは自分より年上で自分より3か月長く働いているが容量が悪い

先にすべきことがあるのに 優先度が低いことに時間を割く

幾度となくイラっとすることはあったが それを責める立場ではない

少しでも店が回るように 声をかけるが 無理なら自分がもっと働く そうしていた


そしてそのことが相手に悪い印象を与えていることも わかっていた


 「はぁ~…」

 「お 藤井~ 休憩中?オレにもそれちょ~だい」

 「豊島…あんたさぁ お菓子 人からもらい過ぎ」

 「へいへい」

 「ったく」

 「なんだよイラついてんなぁ どったの?」

 「いや 別に 何でもないよ」

 「あ わかった 咲ちゃんだろ?」

 「いや 別に 違うよ」

 「後輩なのに完全に上いかれてんもんなぁ お前」

 「う~ やっぱそうだよね?まぁ私が仕事できないのはわかってますけども…」

 「お前容量悪いもんな」

 「うっさいっなぁ」

 「しかしそんなこと 今更なにイラついてんの?」

 「ん~いや 別に…」

 「なにさ」

 「ん~…できないのはわかってんよ 私も でもできないなりに頑張ろうとしてんの」

 「あ~なるほどな」

 「何 なるほどって」

 「つまりあれか できないなりに頑張ってる私を慰めてってことか」

 「ちげぇよ馬鹿!死ね!」

 「エ…そんな言う?えげつな…」

 「そんなんじゃないの できないのはわかってんの ムカつくのは その 遠慮されてんのがウザいの」

 「遠慮?」

 「先輩に言い難いのはわかるけどさぁ 明らかにあの子 できるんだから どうしてほしいとか言えばいいのに…私が動くの遅いってわかると 自分でやろうとすんのよ 忙しいのにさ」

 「それで咲ちゃんも効率悪くなるしな」

 「そうなのよ…だったらさ 一言いえばいいじゃんよ その場でさ」

 「つうかぁ わかってんならお前が直接言えばいいじゃん そうやってさ」

 「余計言い難いんだよ!あんたなんもわかってない!」

 「はぁ」


休憩室は店内の奥にあるが 客が落ち着いた時間帯に休憩に入るため

咲には静かすぎる時間帯だった


スタッフの待機場所は休憩室の近く 咲にはすべて聞こえなくてもだいたいどんな話をしてるかはわかってしまう


耳が良すぎるのも不便に思うことが多々ある


こんなに聞こえなくてもいいのに


そう思えば思うほど 余計な雑音が耳に入ってくる


 「咲ちゃんできる子だよねぇ」


もやもやした気持ちとは裏腹に こういう時は増々神経が研ぎ澄まされていく


 「だろ?可愛いしね」


いつも以上に周りがゆっくりに見えて


 「おっぱい大きいし」


いつも以上に鮮明に音が聞こえてきてしまう


 「おいおいオッサン やめろよ 声でけぇぞ」



聞こえすぎて嫌になるのはいつも自分が嫌な気持ちになることばかりだ





 「お疲れさまでした~!」

 「はい後藤さん お疲れ様~ 次は~?」

 「テスト終わったんで 今週5連勤なんですよ…」

 「お じゃあ明日まで連勤?今週は仕事が楽だ」

 「でしょ?いい子採用しましたね店長!」

 「ホントそれ オレの目に狂いはなかった!」

 「これだけ働いてんだから 昇給 期待してま~す」

 「あ そうだね うん お疲れ」

 「あ 逃げやがった」

 「戻らなきゃ~ 事務作業事務作業」

 「お疲れ様です~」


店長は年は違うが気兼ねなく接することのできる性格で 話していて楽だ

30歳でこのエリアの店舗を任されるだけあって仕事ができる

働いていて大きな不満がないのは間違いなくこの店長の功績だ

尊敬できる社会人ってこういう人のことをいうんだろうなぁと思う


藤井さんだって人が悪いわけではない

ただ 仕事が絡む関係性って 難しい

そう感じるようになった


駅まで向かう道程で本屋に立ち寄った

買いたいものがあるわけではなかったが この時間帯までやっている本屋はここだけで

何故かわからないけど たまに立ち寄りたくなる

本屋で時間をつぶすのは嫌いではなかった


雑誌コーナーに目を通していると店の外を見たことある顔が通って行った


店長だ


事務作業があると言っていたのにもう終わったのか

それともやっぱり昇給の話から逃げるだけの口実だったか


何を考えたわけでもないが何故か咲も店を出て店長の後姿を探した


駅の方へ階段を下っていったが 改札の方ではなく地下の飲食店街の方に向かっている

今から晩御飯か?店でまかないを食べていたはずなのに


ここまでくるとついていくのは少し気が引けたが まだ終電まで時間もある

何があるわけでもない ただ何故かもう少しついて行こうと思った


飲食街の端にあるドラッグストアの前に店長が立ち止まったと思うと

ドラッグストアから女性が出てきた


親しげに女性の方から店長の腕に手をまわした

店長もハニカみながら腕を組んで改札の方へ歩き始めた


見てはいけないものを見た気がした

店長は確か結婚していて子どももいるはず


仕事仲間とは言えない距離感で歩く二人を見て 自然と咲も足を進めた


二人からは見えないであろう角度に近づくと 話し声が聞こえてきた


 「ねぇ~ 明日終わったらどこで待ってればいい?」

 「ん~ いつもの店でいいよ」

 「は~い ねぇ 明日の夜は時間あるんだよね?」

 「うん まぁなんとかなるよ」

 「ふふ 楽しみ~」

 「何がだよ」

 「え~ なんでしょ~」

 「可愛い奴だなぁお前は」

 「ふふ~ん 知ってる」

 「うわ ナルシスト」





最悪だ


改札まで来たため 少し時間を置いてから咲も改札を通った


電車に乗って 最寄りの駅に着き 家まで向かった


咲もバイトのある日はいつも終電で帰る

駅から家まではそう遠くないし 治安もよい街のため怖さはない


曇っていた空から小雨が降りてきた 

少し小走りで家に向かう




そうだ

店が閉まって帰る時間は夜中12時を回る


終わってから時間があるなんて 帰らないことと同義だ


不倫の確証


しかも相手は




藤井さんだ




なんでついていってしまったんだろう

なんで話を聞こうとしてしまったんだろう


尊敬していた店長も


裏では不倫




咲は知っていた


人には内面がある

本人がいないところで その人のことを話すことがある

大抵は愚痴 質が悪いのは言っている本人に悪意がない悪口だ


人には外に見えない陰がある

表は綺麗に見せている人も 裏では真っ黒な部分を隠し持っている

大抵は人には言えない 世間的には批判されることだ


尊敬すべき人であっても

軽蔑したくなることを考えていたり 行っている



耳が良いと自覚したころから こんなこと日常茶飯事だった


今までも


バスケ部の時 いつもくっついてきて慕ってくれていた後輩が スタメンを維持しパスを回してもらう回数を増やすために自分に取り入ることを狙っているだけだったり


テスト前に困ったときに声をかけて助けてくれたことがきっかけで仲良くなった子が 実は自分の彼氏の元カノで彼狙いで近づいてきただけだったり


時間とお金を割いて自分たちを成長させてくれた尊敬する顧問の先生が 女子部員のユニホーム姿を盗撮していたり



思春期は流石に辛くなり 学校に行かなくなった時もあったが

人は皆 裏や闇があることを理解した時

周りの人が何をしてようが 何を考えていようが

どうでもよくなった


誰かのためとか

誰かを思いやってとか


そんな偽善が存在しないことを知った


誰もが自分のため 自分のことしか考えていないんだ


そしてそれは自分自身も同じだと知ったから 理解できた


そんな世の中なんだと受け入れた


快活な振る舞いができるようになった


周りに興味がなくなった時から


誰が誰をどう思っていようが


誰が自分をどう思っていようが


関係ないじゃないか





雨に濡れるのは嫌だが 雨の日は嫌いじゃない


聞こえてくる余計な音を

雨音がかき消してくれるからだ


ずっと 降り続けてくれればいいのに


そうしたら 


もう少し世界を綺麗なまま 見つめることができるのに









 「はい 生ビール お待たせしました~!」

 「あっお姉さん ビール追加で3つ お願いね」

 「はい!生3つですね!かしこまりました~!」


もう生3つ追加だって やっかいな席にならないといいですねぇ…

藤井さんがキッチンに戻り 店長にボヤいているのが聞こえる


 「豊島 あんたあそこ担当してよ」

 「オレは今日 小上がり担当だから無理で~す」

 「え~替わってよ~いいじゃんちょっとくらい」

 「や~だ~ね~」

 「ほらほら二人とも!無駄話してないで~!」

 「は~い」

 「あ 後藤さん 2番さん そろそろね」

 「あ 注文ですよね 今行くとこです」

 「よろしく~」


店長と目を合わせずにその場を立ち去る


 「お待たせしました ご注文伺います」


背中の方向で藤井さんが店長に声をかけたのが聞こえる

豊島さんがいなくなったのをいいことに声をかけたようだ


 「ね 今日お客さん少ないし 早めにあがれるかなぁ?」


ハイボール2つ 注文を取り終えてキッチンに戻るとこちらに気づいたようで

さっと立ち去って行った


 「ハイボール2つ お願いします」

 「はいよ~」


意識を二人から逸らすため テーブルの方に視力と聴力を集中させた


余計な雑音が近くから聞こえるのが一番神経に触る


少しでも気が楽な方に気持ちを向けよう


 「…リーダーが率先して残業されちゃうと こっちも帰りにくくなるっつうのな…」


あそこのサラリーマンは上司への愚痴か

よくある話だ 

愚痴を聞くのも好きではないが

今近くにある雑音よりましだ


年を重ねても 人のことを悪く言うのは変わらない

言い方や表現の仕方が変わるだけで

やってることは小学生と変わらない


 「…あいつねぇ コミュニケーションが下手なんだよ…」


酒の肴になる話は愚痴ばっかりだ オッサンは





なんでだろう


こんなのは慣れっこだったはず


毎日のように聞こえてきたよくある話じゃないか


愚痴も悪口も好きも嫌いも


よく耳にしていた日常だったのに


なのに 今はこんなにも 


もやもやしてくる





あぁそうか


店長だ


尊敬してしまっていたから

ダメージが大きかったんだ


人は自分のためにしか生きていない


誰かのためを本気で思っている人なんていない


これまでも散々 抱いた信用を崩されてきたじゃないか


だからやめようと思っていたのに


人を信じたり 頼ったり 


そんなことしても

真実を知った時に無駄に自分が傷つくんだから


最初から相手に尊敬を抱かなければ 自分が損することなんてないのに


 「オレもね 若いころ任されたことあるんだよ でも皆 我が強くて 大変だった」


みんな自分が一番かわいいんだ


 「その時のこと思い出すんだよアイツみてると…今頃 頭の中でいっぱい考えてんだろうよ ネガティブなことをさ」


自分を守るために 現実を受け入れて理解するんだ


 「なんでやったんだろうとか なんでこうなるんだとか オレには無理だとか 

  誰も認めてないとか 他の人でいいだろとか」


誰かに承認してもらっても どうせ裏切られるんだ

誰かを信頼するなんて 本心で思っている人なんていないんだ

言ったとしても 本心は自分のためでしかないじゃないか

信頼している姿を見せることで 自分に火の粉が及ぶのを避けてるだけだろ

信頼しているっていうことで 相手に取り入りたいだけだろ


 「…酒入れて吐き出させてやろうと思ってさ 頭の中のことを」


そんな簡単に頭の中 曝け出すわけない


 「…が思っている以上に 私達はあなたを認めてますってね」


表面だけでしょ


 「言葉にすること 伝えることは大事 それがチームワークを強めるから」


チームのため?

リーダーの気持ちを軽くできる?





咲は少し深呼吸をした


そんなこと考えている人いるんだ


本人がいないところで 本人を思いやってる


そうだ今までもそうだった


嫌なことが聞こえた時は 人の暖かさに触れて気持ちを持ち直していたんだった


この人たちも 暖かさをもった人たちなんだ


そんなことを考えていた時 何かが後ろを通りすぎる気がして 少し前に出た


後ろを振り返ると誰もいなかった


気のせいか


確かに人の歩く音と気配がしたんだけど



 「…藤さん …後藤さん!」

 「え!?あっ はい!」

グラスを持ってキッチンに戻るところの藤井さんに声をかけられた

 「あっち!8番さん!呼んでるよ!」

 「あ すいません 今行きます!」


オーダーに遅れた

珍しく藤井さんに指示されてしまった

少しにやける顔が視界の端に見えた気がした


早く今日終わらないかな



そこから咲は無心で働らこうと努めた

店長や藤井さんが視界に入っても 昨日のことは考えないように

意識の外に外し続けることができた



仕事を終えてそそくさと店を出る


藤井さんはまだ着替えていたが 一緒に店を出たくなかった


今日も雨だ


明日には忘れられるかな


もっとあの席のサラリーマンの話聞いとけばよかった


そう考えながら今日も降りしきる雨音に鼓膜を委ねて

本屋に寄ることなく家路を進んでいった









 「かんぱーーーい!!!」


 「今日の大部屋のお客さん ちょっとうるさいねぇ」

 「そうですね」


無作法に店長に応える

今日は宴会が入っていた

あれから1か月近く経って 多少は気持ちに余裕もできてきた

でも店長に対して明るく対応する気にはなれなかった


 「どしたの?最近元気ないね」

 「そんなことないですよ~ あ テーブル見てきますね」

 「うん よろしく」


無理やりその場を離れる

少しやりすぎかな

いや 関係ないか


そんなことを考えながらテーブル席を見まわし 空き皿やグラスを片付ける

片付けながら 今日も雑音が耳に入ってくる


 「命がけだよ」


え?なんか重たい話…でもちょっと気になる


 「あそこで宴会してるサラリーマンも 酒運んでくれた店員さんも

  焼き鳥焼いてる人も 鳥育ててる養鶏場の人も

  みんな命がけで働いて 家族守ってんだもんなぁ」


家族のことか 


いい人だ 


今日も心の闇を少し取り払えるかな


 「後藤さん!座敷お願い!」

 「あ はーい!」


まぁずっと聞いてることはできないよね


注文を取りに宴会している座敷へ向かう


 「いやぁ しかしチームの空気 よくなったなぁ」

 「そうですか?」

 「よくなったよ お前の頑張りの賜物だ」

 「いや それは… あ!すいません!注文こっちです」


上座にいる2人に声をかけられた


 「えっと ハイボール2つ あと刺し盛で」

 「はい かしこまりました~ グラス いただきますね」

 「お願いしま~す」


他に空きグラスがないか見て回る


さっきの2人の声が気になって耳に入ってくる


 「みんなのおかげなんです」

 「え?何が?」 

 「さっきの話ですよ みんなが 自分を認めてくれたんです」

 「ほぉ」


やっぱり 上司っぽい人 こないだ来てた人だ


 「仕事の関係って もっとドライなものって思ってたんです」

 「うん」

 「でも 腹割って話すことも重要なんだって 今回身に沁みました」


じゃあ話している人が 話題になってた人なのかな


 「利害が生まれる関係性には 踏み込まない方がいい領域がある それが仕事だ」

 「はい」

 「ただし壁が高すぎると チームは回らない バランスが大事なんだな」

 「はい」

 「人と人の関係は 裏とか表とか 好きとか嫌いとか そんな単純なもので

  推し量れないし 推し量るべきじゃない もっと複雑でもっと奥が深い

  でもだからこそ わかろうと人は努力するし わかると面白いんだ」

 「そうですね 今回少しだけその一端を知れた気がします」


わかろうとする…


そっか


私は


店長を知りたかったんだ


好奇心の結果


知ってしまっただけだ


その結果 想像だにしないものを見てしまったけど


何かを知ってしまうことは 知ろうとしてしまうことは


当たり前なんだ


わかった結果


どうするか


そこが大事なのかも…知れないな





私の耳はたくさんの音を拾う


雨音で聞きたくない音を消すこともできる


でも 聞こうとしてるんだ 知ろうとしてるんだ


だから今なんとなく 気持ちに光をさすことができたんだ


こんな特技 いらないと思ってた


でも 今日は まだわからないけど


気持ち悪いことじゃない雑音を


聞けた気がする




そっか


別にいいんだ


聞こうとするのも


聞かなくするのも


私が決めることだ


聞いてどうするか


私が決めることだ


自分が嫌な気持ちになるなら聞かなきゃいい


聞いてしまって嫌な気持ちになったなら


嫌な気持ちを払拭するために


行動するのもいいのかもしれない


何をするべきか


考えてみようかな


ふふっ





咲には なにが笑えたのか正直わからなかった


何かが解決したというわけでもない


でも 一歩前に進めたような気がした


今はそれで


十分だった





 「すいませ~ん!熱燗2合お願いします!」


 「はーい!!熱燗2合 かしこまりましたー!」




今日は晴れるかな


もっと聞いて


色々 学ぼう


そしたら


次にやるべきことのヒントが


見えるかもしれないから

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