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結婚10年、ちょっとした感謝の手紙

作者: 朝寝雲

だんだんと暖かくなってきましたね。

冴子さん、僕らが結婚してから10年が経ちます。長かったような、あっという間だったような、そんな不思議な感覚で今この手紙を書いています。

僕らがまだ高校生だったあの日、話した事もなかったあなたに急に体育館裏に呼び出され、交際の申し込みを受けた事は、瞼を閉じれば今でもまざまざと思い出すことができます。

初めての彼女が自分にもできるんだ! その事に有頂天になりましたっけ。動機はかなり不純でした。それがこんなに大事な縁になるなんて、あの日の僕は思いもしませんでした。人生ってわからないものですね。

さて、そんな縁に導かれ、結婚をしてから10年。いろいろありました。人並みにケンカをしたりもありましたけども、もちろん幸せでした。

冴子さんは最近、私も歳をとっちゃったわ。もうすっかりおばさんになっちゃったと嘆いておられますし、若い頃の僕といえばパートナーが年ををっていくなんて、まっぴらごめんだと考えていました。でも違いました。共に歳をとっていける、これは本当に感動すべきことだとつくづく感じるのです。最近腰回りにお肉が付きやすいのよね、とぼやいていますが、それもまたよし、です(でもさすがにこれ以上は太らないでくださいね、なんていってみる)

さて、この10年最大のビックイベントといえば愛娘、かなめの誕生でしょう。まだおしゃべりできる年齢ではありませんが、すくすくと育つ姿を見るのは、僕の無上の喜びです。ですが、男親ならではの心配もあります。いつかは彼女も恋人をつれてくる歳になるでしょう。そんな時たぶんかなめは冴子さんにそっと耳打ちをするのです。そうして、二人できゃっきゃと喜び合うのです。僕はそんな時、ただただムスッとしていることでしょう。でも僕らの娘の連れてくる恋人の事ですから、きっと気のいい奴なのです。そしてそんな相手と結婚して酒を酌み交わすようになったり。孫の誕生もあることでしょう。

少々気の早い話になりました。話を戻しますね。

この10年、冴子さんが僕に与えてくれたものは、本当にかけがえのないもので、幸福で。逆に、僕は冴子さんにそれだけのものを与えられていたのだろうか? それはちょっぴり心配になります。でも、手前味噌になりますが、冴子さんが日々幸せそうに笑っているのを見ると、僕との結婚は絶対失敗なんかじゃない、僕は冴子さんを幸せにできてる。そう感じ、それは僕の活力になります。幸福の源泉です。本当に本当にありがとう。

そしてこれからもよろしくお願いします。

おや?どうやらかなめがグズりだしたようです。様子を見に行く事にします。


改めて。結婚してくれてありがとう。楽しい旅を家族で続けていきましょう!

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