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第4話「休日に声を発さないと、平日になって声の音量を忘れるときあるよね? そしてその声の大きさに驚くから気をつけろ②」

 しかし、変だな。僕が仮に異世界転移されたとして。なぜ、魔王が直々にここへいるんだろうか。周りを見てもこの二人以外、魔族っぽいのはいない。さっきまで魔法陣を囲っていた老人たちもいなくなっていた。


 僕が周りを観察しているがわかったのか、魔王が感心したように話し始めた。


「さっきの老人たちは時間が来たから帰ったのだ。オールドエイトが雰囲気出すために老人を雇えというので、時給で雇ったのだ」

「えー、今の聞きたくなかった」


 老人たちをお金で雇う魔王ってなんなんだよ。他の魔族や魔獣はどうしたんだよ。


「しかし、シルバは冷静だな。今までの者たちは、転移されたことが信じられず、混乱して、落ち着いて話をするのに時間がかかってしまったのに」

「いや、僕は……」

「魔王様、コイツはラノベの読みすぎで、頭が異世界脳になっているからですよ」


 僕が答えようとしたところで、メガネことオールドエイトが答えた。僕が驚いていると、オールドエイトはこちらへ振り向きながら不敵そうに笑った。


「坂田中学卒業後、神楽高校入学、そして四年かかって卒業したのち、志村理容美容専門学校を卒業した、玉田志瑠羽くん」

「……なぜ、それを知っている」


 僕の問いにオールドエイトはメガネを中指で上げ、胸をそらせながら答えた。


「私をただの10万うん歳とうそぶくデーモンだと思っていないかい? 私の特殊能力は千里眼。君の事なら何でもお見通しさ」

「千里眼……だと?」


 くっ。思わず死神代行の驚き台詞を言ってしまった。馬鹿だと思っていたメガネの思わぬ能力に僕は息をのんだ。


「オールドエイト、あんまりシルバを驚かすな。彼にはよく千里眼を使って異世界の観察を頼んでいるのだが、そこで君が適任だと推薦を受けたんだ」

「推薦? コイツが?」

「いや~ん、魔王様のいじわる! それは言わない約束でしょ!」


 メガネは両手で顔を覆う仕草をしながら、顔を左右に振った。


「魔王の私は詳しくないのだが、ラノベやアニメというものにかぶれていて、異世界で散髪の資格をもっている者はシルバしかいないと。私はラノベやアニメというものはよくわからんのだが、この二つに傾倒していると『ここではないどこか』に憧れて、『俺TUEEEEEE!』を夢見ているから、異世界に来ても、さほど驚かないし、むしろ嬉しさのあまり涎を垂らしながらお漏らしするとオールドエイトから聞いたぞ。あれ? でも、シルバは涎もたらしていないし、お漏らしもしてないな」


「魔王様、大丈夫です。もうすぐ、じゅわ~っと、じゅんじゅわ~っとお漏らしを――」

「しねえよ!」


 確かにラノベやアニメ見てるから、それほど驚きはしないけどさ。それにしてもオールドエイトというメガネは千里眼の能力をもっていて日ごろから、僕たちの世界をのぞき見していたという。だから話の端々に違和感があったのか。


 っていうか、本題からすっかりずれてね? 魔王の髪をカットする話だったような……


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