第26話「『次の方どうぞ』と言われた時の『次、俺だよな?』という不安感がたまらない③」
オールドエイトは着替えた服装を気に入ったらしく。スーツにするという。さて、次は僕の番だ。とは言うものの、どういう服装にするのかプランはない。なるべく街に溶け込めるように村人Aみたいな服装がいいなぁ。
早速、僕も続いて服を選ぼうと思ったところ、オールドエイトが口をはさんだ。
「お前の服はもう決めてあるぞ。オーダーメイドで作った。ちなみに俺の服もオーダーメイドだ」
「は? なんで? 注文する時間があったのかよ!」
「召喚する数日前かな」
「お前……やっぱり計画的犯行だったんだな!」
っていうか、嫌な予感しかしない。例えば僕も同じように黒のスーツ上下に白のYシャツ、黒の細いネクタイとう服装だったらどうしよう。刑務所から出所したり、バンド組んで演奏したりしないといけないのだろうか……
僕のジト目に気づいたオールドエイトは手をひらひらさせながら答えた。
「まあまあ。絶対に気に入るから。それにお前はこの世界のこと知らないんだから、街に出ても浮かない服装なんて知らないだろ」
「確かに……」
今はコイツを信じるしかない。村人Aでありますように……
僕はしぶしぶ試着室に入った。
そして数分後。
「オールドエイト! てめえ、ふざけんじゃねえぞ!」
カーテンを開けた僕にオールドエイトが感嘆の声を挙げた。
「似合ってるじゃないか、我が相方よ!」
僕の服装はスカジャン、Tシャツ、ジーンズだった。ジーンズは紺色、スカジャンは胴の部分は青。腕は白に青のラインが入っている。背中にはよくわからない紋章が刺繍してあった。白のTシャツだが、胸元にローマ字で「KEKKA HAPPYO!」とプリントされていた。
「完全に相方仕様になってるじゃねえか! 胸元のプリントはなんだよこれ!」
「ふむふむ。いいじゃん、いいじゃん。これで役割がハッキリしたな」
「しねえよ。俺はツッコミにはならないからな」
オールドエイトが僕の隣に立って話始めた。
「それじゃあ、シルバさん、その服装の最終評価をお願いします」
「それじゃあ、『結果発表~~~~!』じゃねえよ! ふざけんな!」
「しかし、お前はお金持ってないだろ。服代払うのは俺だぞ」
「はぁ? じゃあ、着ねえよ。もう前の服で過ごす!」
「さっきの服はもう燃やした」
コイツ、計画的犯行だったな! してやられた……。僕は「ぐぬぬぬ」と言うのが精いっぱいだった。
こうして僕たちの服装は決まってしまった。
下町でデビューしそうな二人組が誕生した。




