友達
「結奈ー!!はやくいこいこ!」
「あっ!待ってよ咲~!」
「はーやーくー!!」
「もう!わかったから!」
相当バレー楽しみなんだなぁ。まぁ咲ちゃん体動かすの大好きだもんね。
「あっ!結奈!」
「美優!どしたの??」
「お昼一緒に食べよ~!」
「おっけ~!!てかごめんね!今急いでるからお昼に私のクラスに迎え来て!よろしくね!」
やっばい咲ちゃん絶対にまってるよ急がなきゃ!
「結奈~!迎えにきたよ!階段のとこで食べよ!」
「美優ちゃん~!迎えに来てくれてありがとう!」
「あれ?結奈今日は佐伯さんと食べるの?」
「うん!咲ちゃんに言うの忘れてた…ごめんね。」
「大丈夫だよ~そんな悲しそうな顔すんなって!うち今日は部活の集まりあるし!結奈一人にするとこだったからさ!」
「咲ちゃん~!!」
「ありがと!松本さん!じゃあ今日は結奈借りるね~!」
階段裏の誰もいない日当たりのいいスペース。ここは教室で食べるよりちょっと寒いけど居心地がいい。
「結奈さぁ…なんかやなことあった…?」
あぁ…やっぱり。美優ちゃんにはばれちゃうか。
「ん~いつもの感じだよ。私がまた期待に応えられなかっただけ。」
「も~!!結奈は誰よりも頑張ってるよ!?私が親だったら褒めて褒めて甘やかしたいくらい!」
うりゃうりゃ~!と言いながら美優ちゃんが私の頭をぐちゃぐちゃに撫でる。
「も~!髪ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん!」
「結奈が辛いときも明るく振る舞うからじゃん!私が結奈の気持ちを感じ取れない人間だったら隠してたんでしょ!」
そうなのだ。この佐伯美優ちゃんいわく、人の心の簡単な感情ならなんとなくわかる、という不思議な力のおかけで、私はいつも美優ちゃんには本当の気持ちがばれてしまう。
「確かに。そうしてたかも?」
「でしょ!?だから結奈のことほっとけないのよ~!」
美優ちゃんはこうして私が親と喧嘩した日にはいつもご飯に誘ってくれる。この子がいなかったら私はこの気持ちをずっと隠して生きていったんだろうな。
「ありがとう美優ちゃん。」
「いいえ~!結奈いい子だからさ!私も悩みを言えるの結奈くらいだし??お互い様よ~!」
「そっか。そうだね。ありがとう!じゃあご飯食べよっか!」
「うん!お腹すいちゃった~!!」
「てかさぁ!聞いてよ!」
「どしたの?」
「結城くんにうるさいって言われた!」
「あらら。」
「あっ!声に出してじゃないよ??気持ちが伝わってきてさぁ!」
「なにしたのよ美優ちゃん」
「なにもしてないよ~!ただちょっと結城くんが聞いてる音楽について聞いただけ!」
「そのとき結城くんイヤホンして音楽聞いてたんでしょ。美優ちゃんの声で集中できなかったんじゃないの?」
「確かにそうだけど~!」
「ご飯食べたら結城くんの好きな飲み物買って謝ってきたら?」
「あー…そうする。」
「結城くんとちゃんと会話が成立するの美優ちゃんくらいだからね。」
「だって結城くんほっとけないんだもんー」
「好きなんだっけ?結城くんのこと。」
「え!?いやいや!友達としては大好きなだけだよ~!?」
「ほんと~?」
「ほんとだって~!てか結奈ちゃんめちゃめちゃ楽しんでるでしょ!私をからかって!私わかるんだからね!」
「はいはい!ごめんね~!」
美優ちゃんなりに私を励まそうとしてくれてるの伝わってるからね。
「ほんとにありがとう美優。」
「こちらこそ!!」