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幸福追求権  作者: aren
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女子高生と歌手志望の男~はじまり~

幸福追求権とは







日本国憲法第13条に規定される「生命、自由及び幸福追求に対す

る国民の権利」のことである。
















幸せってなんだろう。










生きがいってなんだろう。









私の存在理由ってなんなんだろう。

















「結奈!!なんだこの点数は!!」







机の上のコップが倒れる勢いで私のテスト用紙が叩きつけられた。あぁ、あとで拭かなきゃ。  






「ごめんなさい。次は頑張るから。」







「はぁ!?次は頑張るからって何回聞いたと思ってんだよ!いい加減にしろや塾にも行かせてやってんだぞ!?おまえは毎回そう言って頑張らないじゃないか!!」







そう言うと父は私の胸ぐらをつかみ、頬を引っ張たいた。


 







痛いなぁ。頑張ってるんだけどな私。









「一位じゃないと全部無駄なんだ!!お前がどんだけ努力しようと全部無駄なんだよ!!」






もう何回も聞いたよ。ごめんねできの悪い娘で。





「うん。ごめんなさい。今日はちょっと眠いからもう2階に上がるね。お休みなさい。」







はやく。はやくこの空間から抜け出したい。






父の言葉を待たず私は2階に向かった。誰にも邪魔されない私だけの聖地へ。







スマホの電源を入れると通知が表示されている。よかった今日もやってる。




私はイヤホンをスマホに差し込み緑色の通知をタップして開いた。





閲覧人数が0人から1人に増えた。今日も私だけかな。



「あ、増えた。いらっしゃい~。」





優しい私の大好きな声が聞こえる。



「ユーキさん!こんばんは!今日はなにを歌ってくれるんですか?」っと送信。






「やっぱりなこちゃんだ。まぁ僕の弾き語り聞きにきてくれるのは君しかいないしね」


 




なんて笑っちゃうところにも癒される。






「今日はなにを歌おうかな。なこちゃんリクエストとかある?僕の一番目のファンであるなこちゃんに歌を届けたいな」







なぁんて。と冗談めかして言う彼。あぁこの時間がずっと続けばいいのに。




 








 





自由ってなんだろう。






やりがいってなんだろう。







この虚しさをどうすればいいんだろう。


 











あと一年3ヶ月で俺は30になる。





ずっとギター1本と自分の声で将来生活していくことを決めていた。





高校も勉強なんて二の次でずっとアコギの練習をし、歌を歌い続けてきた。




大学は適当に行けるとこにいってそこでバンドを組んだり音楽を楽しんできた。





いつか歌手になるんだ。そう夢を持って。 






これから先もずっとそうしていくと思っていた。






でも、もう少しで30になってしまう。 





俺はこのままでいいのか?? 







もう歌手として活躍することは俺には無理なんじゃないか? 






やばい。俺から音楽をとったら何も残らないのに。





今まで親にも迷惑をかけ、自由気ままに生きてきたつけが回ってきたんだと感じた。





でも。







でもまだ諦めたくない。







30になったらちゃんとけじめつけて働くから。





もう少し。あと少し、










夢を追いかけたいんだ。




















「っとごめんね、なこちゃん。ちょっと考え事してた。」







「大丈夫ですよ~!ユーキさんも色々悩み事とかあるでしょうし!」







「あははっ。ありがとう。」






「ちょっと将来のこととかぼんやりとだけど考えちゃってた。」






「俺がいまやることはなこちゃんに歌を届けるだけなのにね。」






「じゃあ、歌おっか!」






明るいメロディが流れる。私の一番大好きな歌だ。






あぁ、やっぱり私はこの人の歌を聴いていたらなんでも乗り越えられる気がする。







明日も、彼の歌を聴くために生きていたいな。







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