東京オリンピック
私の名前は黒川輝。陸上の選手で今年東京オリンピック出場は初である。私は小学六年から陸上を始めたのですが、中学に入って足を怪我し、一時は陸上を辞めたいと思っていた。しかし、陸上部の部長や副部長に「輝は、陸上の才能がある。私達以上に成長していってる。今の輝なら私達が卒業した後でも部長を任せられる。自分を信じるべきだよ。」と言ってくれた事で私は陸上を続けられる支えになった。今私が陸上を続けられるのは部長や副部長のおかげなのです。この思いをオリンピックで発揮したいなと思っています。
でも、オリンピック初出場ということに驚きと不安があり、今の段階だとミスをする回数が多くなると心の中で思っていた。今更考えたとしても暗くなって気持ちが落ちつかなくなってしまうので練習を頑張るしかないと思いました。そんなある日、ペアを組む相手が決まったと監督から報告があったのです。その相手は、幸一郎、弘、和道、一幸という組み合わせになりました。ますます私は焦りが出て来ました。焦りが出ていた私に対して幸一郎が「大丈夫。焦らずにゆっくり落ち着いてやればきっと出来る。僕らを信じて」という言葉を聞いて私は「ありがとうございます。嬉しいです。」と返事をしました。しかも来てるのはその四人だけではなく応援に来ていた千歩と静佳です。私はまだ、この後、静佳とトラブルになるとは思ってもいませんでした。二人の応援のおかげで練習するのが楽しくなって来ました。私達はまず、基本練習から始めることにしました。校庭の回りを二十周し、その後、メンバーのタイムを測りました。幸一郎は四分四十秒、弘は三分0八秒、和道は三分二秒、一幸は三分十秒、そして私は三分五秒でした。「みんなすごくタイムが良いな。私も負けてられないや」と心の中でそう思ったのです。次はハードルを跳ぶ練習と、走り高跳びの練習を始めました。ハードル跳びのタイムは幸一郎と弘が二分三十秒、私と和道と一幸が二分四十秒という結果であまり差はありませんでした。走り高跳びの練習をしていた時、私の中で古い記憶が蘇ったのです。それは、学生時代の時走り高跳びの練習をして足を怪我し二ヶ月ほど陸上に出られなかったトラウマが頭の中に浮かびました。他の四人が上手くいっている中で私だけはどうしても怖くて跳ぶ事が出来ず「ごめん。本番までには必ず跳べるように練習してくるからそれまで待ってて。」と私は言いました。すると、みんなは「わ、わかった。」と言ってくれました。これで練習は終わったのですが、どうしても走り高跳びの練習をしたかった私はみんなが帰った後、一人で練習をしました。「跳ばなきゃ、私のトラウマのせいでみんなに迷惑かけられない。しっかりしなきゃ。」と思っていたその時、「やっぱ、練習してたんだな。」と遠くの方から誰かの声がしました。そこには帰ったはずの幸一郎がいたのです。「なんでここに、帰ったんじゃないの」と私が言うと、「跳べれない奴のこと放っては帰れないだろ。俺も付き合うから一緒に練習しようぜ」と理由は聞かずにただひたすら私の事を気にかけてくれました。そんな一言に私は涙が出て来て「ありがとう」を泣きながら言いました。「困ってる時助け合うのが仲間だろ。」と言ってくれて、私はすごく嬉しく思ったのです。「俺達を忘れては困るんだよな。」と他の3人も来てくれたのです。「まずはゆっくりで良いから棒になれることから始めようか。焦らなくていいから自分のペースで」と優しく教えてくれました。私は来る日も、来る日もみんなに教わりながら少しずつ上達して行くようになり、怪我をして跳べなくなっていた不安がなくなって行ってるような気がしました。そして、一ヶ月がたち練習していたその時、なんと跳べるようになったのです。「やった、やったよ。跳べた」と言うと「よかった。よかったよ。すごく上手くなったじゃん。練習した甲斐があったね。」と褒めてくれました。喜んでいると、私の心臓が凄くドキドキして来たのです。「なんで、私こんなキュンキュンしてんだろう。」と思っていましたが、よく振り返ってみるとあの時の幸一郎に言われた一言で好きになってしまったのかもしれないと確信したのです。そう思っていた次の日、私は早く校庭にきてしまい、準備をしていると静佳がやって来ました。「おはよう」と言うと、「私さ、オリンピックが終わった後、幸一郎に告白しようと思ってるんだよね。あなたは好きって思ってるかもしれないけど、私の幸一郎だから。一切手を出さないでね。もし手を出したら私が許さないから」と言って来てその場から去って行ったのです。するとそのあとちほがやってきて、「こういちろうのことすき?」ときかれたので、「すきです。」とこたえたら「そっか。なら大丈夫。静佳に言われたんだろうけど気にしないでね。あなたが好きって思っているのなら、隠さないで正直に話すべきだよ。周りになんと言われても絶対に立ち止まらないこと。これ私からのアドバイス私は応援してるから。練習頑張ってね。じゃあね」と言って帰って行きました。そうこうしてるうちにみんなが来る時間になりました。「おはよう」と言われたので「あっ、おはよう」と言い、次の種目の練習を始める前にウォーミングアップで校庭の周りを走る事にしました。私は練習中も幸一郎の事が気になってしまい練習に身が入りません。その後も身が入らず時間だけが過ぎて行きました。終わって帰ろうと思った時、弘が来て「帰るんだろ。一緒に帰ろうぜ」と言われ「うん。分かった」と返事をしました。「ねぇ、なんかあったのかよ。今日の輝変だぜ。悩みがあるなら教えてくれよ。」と弘は言い「実は、幸一郎の事が好きなの。でも、朝静佳が私の所へ来て手を出さないでって言われたの。でも千歩は応援してるって言ってくれたけど、私どうすればいいのか分からなくて」と話すと、「なるほどな。輝はどう思ってるの。輝自身が本気で好きならぶつかってみるべきだと俺は思うよ。周りに何か言われたからって悩むことなんてないんだぜ。自分を信じてみろよ。」と言い、私は心の中で決心がついたと思いました。「ありがとう言ってくれて。頑張ってみるよ。おやすみ、またね。」と話した後弘と別れました。別れた後私は「もう迷わない。正直に生きる」と心の中でそう思い家に帰りミスった分の練習を始めました。次の日も私は早く来て一人で自主練をやっているとみんなが来て「おはよう。昨日より元気そうだね。」と言われ、「うん、もう大丈夫。心配かけてごめんね。」と私は謝りました。「気にすんなよ。」とメンバーは励ましてくれたのです。私はもう何も気にせず練習が出来ました。次の日監督からオリンピックの時に陸上で最後に走るアンカーを決めて欲しいと言われました。私は「弘か幸一郎がやったら良いと思う。タイムを測った時も速かったし、私はこの前迷惑をかけたしみんなもこんな人にアンカーやって欲しくないと思うから。」と話しました。「俺達は輝にアンカーをやって欲しいな。タイムなんか関係ないし、何か迷惑をかけたからってやるなとは言わない。俺らは輝が力を発揮出来るって思ってるから。」と言い「みんな、本当にありがとう。選ばれたからには迷惑をかけずに精一杯頑張りたいと思います。」と意気込みを言いました。私はよりプレッシャーがかかって不安が出て来てたのですが、回りのみんなが支えてくれているのもあったので勇気が出て笑顔になれる自信がつきました。今までよりも練習を頑張りたいと心の中でそう思いました。アンカー決めが終わった後、「みんなありがとう。私もう少しやってから帰るね、アンカーだからしっかり覚えなきゃ。」「分かった。あまり無理だけはするんじゃねーよ。俺達の期待のエースなんだから。」「分かってるよ。」と言った後、練習をし始めました。「ちょっと」と私の事を呼ぶ声がしました。そこには静佳の姿がありました。「どうしたの」と聞くと「一緒に居るなって言ったじゃん。なんで言う事聞かなかったの」と言って来て、その一言に私は「私はもうあなたの言う事は聞かない。なぜだか教えてあげる。私の事を心配して支えてくれる仲間がいる。そして、助けてあげたいって思ってる人がいるから。だから頑張れる。私はもう正直に生きたい、あなたなんかに負けない。」と言ったら悔しながら帰って行きました。その日私は次の日朝四時までやってしまい途中寝てしまい気づいて起きてみたら他の四人が練習してしまいました。「ごめん。」「気にすんなよ。疲れるくらいまでやってたんだろ。と気遣ってくれました。「いよいよ明後日本番だね私もう手が震えてきてる。でも楽しくやろうと思ってる。」と話しました。そして本番の前日、私は静佳の所へ行き「私、もう決意出来てるから。どっちが選ばれても絶対責めないで」「わかったわ。」と話してきました。そしていよいよオリンピックが始まりました。陸上の競技では凄く強いチームもいましたが、心の中では絶対勝ちたいと思いました。いよいよスタートしました。前半弘と幸一郎は速かったけど途中和道と一幸が転んでしまい遅れたのですがアンカーの私が最後全力で走りきりました。気になるのは順位です。他のチームが発表されていく中まだ発表されず諦めかけていたその時、私達のチームが勝ったのです。嬉しくて涙が出ていたのですが私と静佳は幸一郎の所へ行き気持ちを伝えました。「俺は輝と共に行きたい。そして二人で新しい未来を羽ばたきたい。これからよろしく。」と言われとても嬉しくなりました。二人は楽しく仲良く過ごすのでした。