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「幸せ」ってなんだろう

作者: 詩織



小さい頃


ハサミを使うのが下手だった。


左利きだったから


右利きのハサミを使うのは

たやすくはなかった。


何回やってもまっすぐ切れない



おりがみも苦手だった。


左利きだったから


先生の説明が

左右反対だったから。



ぶきっちょげに


箸を使っている孫を


祖母が見逃すわけはない。



ほら、こう持って、人差し指を


ああ、そうじゃないって、


不器用な子だねぇ、と



茶碗にいれた煮豆をつまませた。




おかげさまで、めでたく


左利きは矯正されたが


両利きになった今でも


真っ直ぐにハサミを入れても曲がってしまう…





ハサミで人生を切り取れるとしたら、


器用な人は美しい人生になるのだろうか…



曲がって切り取ることしかできなかったら


不器用な人生が待っているのだろうか…





眠れぬ夜


真っ暗な闇に目をこらし


紆余曲折 考える。




大きく曲がった人生も


思い通りにいかなかった人生も


おもしろかったと




切り紙をひろげてみたら


きれいなお花が切れていなくても


よおく見れば


これもまた美しく愛おしいと




そんな日々になるように


ひたむきに生きよう。





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― 新着の感想 ―
[良い点] とても、心に残る詩でした。 自分の幼少期と重ね、祖母に躾けられたことを懐かしく思い出しつつ読ませていただきました。 [一言] 己を振り返った時、過ごして来たすべてを大らかに受け止めて、「満…
[良い点]  バカとハサミは……なんていいますね。  人それぞれだと思います。  ただ。  この詩のようにひたむきに生きる。  これはとても大切なこと。  不器用でもひたむきに生きる。  いいですね。…
[良い点]  おおぉ、これは物凄く良い詩ですね……! 今までたぶん七百話ぐらいは森ノ宮作品を見てきましたが……、個人的には過去最大級に良かったです……!  いやあ、ハサミの切り筋を人生になぞらえてる…
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