「幸せ」ってなんだろう
小さい頃
ハサミを使うのが下手だった。
左利きだったから
右利きのハサミを使うのは
たやすくはなかった。
何回やってもまっすぐ切れない
おりがみも苦手だった。
左利きだったから
先生の説明が
左右反対だったから。
ぶきっちょげに
箸を使っている孫を
祖母が見逃すわけはない。
ほら、こう持って、人差し指を
ああ、そうじゃないって、
不器用な子だねぇ、と
茶碗にいれた煮豆をつまませた。
おかげさまで、めでたく
左利きは矯正されたが
両利きになった今でも
真っ直ぐにハサミを入れても曲がってしまう…
ハサミで人生を切り取れるとしたら、
器用な人は美しい人生になるのだろうか…
曲がって切り取ることしかできなかったら
不器用な人生が待っているのだろうか…
眠れぬ夜
真っ暗な闇に目をこらし
紆余曲折 考える。
大きく曲がった人生も
思い通りにいかなかった人生も
おもしろかったと
切り紙をひろげてみたら
きれいなお花が切れていなくても
よおく見れば
これもまた美しく愛おしいと
そんな日々になるように
ひたむきに生きよう。